学校推薦型選抜 受かる人の特徴と不安

みなさんこんにちは。下村英理と申します。
私は東京大学に学校推薦型選抜により入学しました。
そのような私から、今回は近年話題になっている学校推薦型選抜についてご紹介いたします。
どのような人が受かる傾向にあるのか、また実際に受かった人がどのような不安を抱えていたのでしょうか。
「受けてみたいけどどうすれば良いかわからない」という人はぜひご覧ください!

目次

学校推薦型選抜の目的

大学がなぜ学校推薦型選抜を行うのか

まず、なぜ多くの大学が学校推薦型選抜を行う理由をまず理解することが重要です。参考として、東京大学の学校推薦型選抜のページを引用してみましょう。

学校推薦型選抜は,学部学生の多様性を促進し,それによって学部教育の更なる活性化を図ることに主眼を置いて実施します。実施に当たっては,日本の中等教育における先進的取組を積極的に評価し,高等学校等の生徒の潜在的多様性を掘り起こすという観点から,日本の高等学校等との連携を重視します。
学校推薦型選抜に当たっては,本学の総合的な教育課程に適応しうる学力を有しつつ,本学で教育・研究が行われている特定の分野や活動に関する卓越した能力,若しくは極めて強い関心や学ぶ意欲を持つ志願者を求めます。東京大学は,学校推薦型選抜で入学した学生が,東京大学,ひいてはグローバル社会の活力の源として活躍することを期待しています。

つまり「一般選抜で取り逃しそうな多様性を取り入れることで、大学の教育と学生全体に刺激を与えて活性化させたい」「高校での学業以外の取り組みを評価したい」ということができるでしょう。まずはこのことを念頭に、大学・高校・自身という三つの立場から、自分はどんな良い影響を与えることができるだろうかと考えることが重要です。あなたのための学校推薦型選抜であり、大学のための学校推薦型選抜であり、高校のための学校推薦型選抜であるということを意識しましょう。あなたのことばかり考えていては良くないですよ!!

学校推薦型選抜を受験する意義

学校推薦型選抜は受験で最も大切な冬の時期に志願書を作成したり面接の準備をしたりする必要があり、時間的にも精神的にも大変であると言えるでしょう
では学校推薦型選抜を受験することの意義とはなんなのでしょうか。受験生の視点から考えてみましょう。

一つには「自分を客観的に振り返ることができる」ということが挙げられます。自分がこれまで何をしてきたのか、そしてそれがどのように今や未来につながっているのかを振り返る機会を与えてくれるのがこの学校推薦型選抜だと思います。スティーブ・ジョブズの名言に「Connecting the dots」という言葉がありますが、これまでやってきたことのコネクションを探すまさにきっかけです。

もう一つには「大学でのモチベーション向上につながる」ということが挙げられます。学校推薦型選抜を受ける方であれば、志望動機というものがセットになるでしょう。その志望動機をしっかり考えることは、「何をするために大学に入ったのか」を見失うのを防ぐことにもつながるでしょう。さらにその志望動機を学校に伝えて、それを認めてもらって入学できたという感覚は、間違いなく自信につながるでしょう。その自信を胸に大学生活を送ることができるからです。

さらには「大学受験が早く終わる」「一般入試で再チャレンジできる」というメリットもあります。

学校によっては特別な扱いがなされることもあるというのも特徴です。(東京大学の場合だと前期教養学部での点数に関係なく特定学部に進学が内定するなど)

学校推薦型選抜での評価基準

当然ながら、学校ごとに何を求めているかが多様なので、一概に言うことはできません。
評価基準を調べる方法として最も適切なのは、その学校が求めている人物像を調べることです。ここでも東京大学の例を引用してみましょう。

東京大学は,このような教育理念に共鳴し,強い意欲を持って学ぼうとする志の高い皆さんを,日本のみならず世界の各地から積極的に受け入れたいと考えています。東京大学が求めているのは,本学の教育研究環境を積極的に最大限活用して,自ら主体的に学び,各分野で創造的役割を果たす人間へと成長していこうとする意志を持った学生です。何よりもまず大切なのは,上に述べたような本学の使命や教育理念への共感と,本学における学びに対する旺盛な興味や関心,そして,その学びを通じた人間的成長への強い意欲です。そうした意味で,入学試験の得点だけを意識した,視野の狭い受験勉強のみに意を注ぐ人よりも,学校の授業の内外で,自らの興味・関心を生かして幅広く学び,その過程で見出されるに違いない諸問題を関連づける広い視野,あるいは自らの問題意識を掘り下げて追究するための深い洞察力を真剣に獲得しようとする人を東京大学は歓迎します。

東京大学は主体的に学ぶ人物を求めているようですね。

なお、学校推薦型選抜について一般に言われることとして、「高校での3年間、主体的に取り組んできたか」というところが評価されがちである、というものがあります。評定平均の基準などが設定される理由はそこにあるのでしょう。

学校推薦型選抜で受かるためには

学校推薦型選抜における受験生の志望動機のポイント

最も大切なことは、背伸びをしすぎないことです。等身大の自分をそのまま志望動機にするのです。特に高校生活を通してこれまで何をやってきたのか、振り返ることを意識しましょう。自分の身の回りの発見をもとに志望理由を書く人が多く受かっている印象があります。

また、一貫性も大切です。ですが、過去・現在・未来で思い描くものが全く同じ必要はありません。時がたつにつれて多くのものを学んでいくのであり、小学校のときの夢が高校生になっても全く変わらないということの方が珍しいでしょう。一貫性とはストーリーです。志望動機を読む人が「必然的な流れだな」と共感するようなものを書くことが求められます。そしてその流れの中にあなたのこれまでの経験とこれから目指すことが入ってきます。

あとは上に書いた評価基準・求める人間像を意識する必要もあるでしょう。大学側が「この人にぜひ入ってもらいたい!」と思ってもらえるような志望動機であれば、合格間違いなしです。

志望動機はずっと前から持ってなければいけないものだ、というようなイメージを持っているかたが多いようですが、そのような必要はありません!むしろ、志望動機を考えるチャンスというのが学校推薦型選抜なのではないかと思います。

もし受験までに時間的余裕があるのであれば「ストーリーとしての競争戦略」(楠木建・東洋経済新報社)を読むのが良いかもしれません。

学校推薦型選抜を受験するための準備

もし少しでも「学校推薦型選抜を受けてみたいなあ」と思っているのであれば、希望する学校・学部が何を求めているのか目を通しておきましょう。「全国規模の大会で一定の成果」というような条件がある場合、その条件を満たすためにはそれなりの時間と努力が必要でしょう。

また、学校生活に積極的になっておくことは最も良い準備です。成績は取っておく、学校行事は積極的に参加する、学校で紹介された大会に参加してみる、学校の課外活動に積極的に取り組んでみるなどです。

私の場合は学校推薦型選抜の受験を考え始めたのが志願書提出の1カ月前であり、あまり意識して上記のような活動をしていなくて、不安要素となっていたので、いろいろ挑戦することをお勧めします!(私はたまたま友達に誘われて参加した大会などで賞を取っていたのでなんとかなりました・・・)

自己分析と志望動機

自己分析を通じて適切な志望動機を見つける方法

ポイントは、自分を過去、現在、未来に分けて考えることです。大学受験においては、過去は高校生としてやってきたこと、現在はこれから大学で学びたいこと、未来は大学を出た後にどうしたいか、と考えて良いでしょう。これが自己分析です。

そしてその後、自分は何をしたいのかという軸を決めます。軸の太さを意識しながら、自分が大学に入ることでどのようなメリットがあるのかを考えましょう。そしてそのメリットは「高校」「自分」「大学」「社会」といったあらゆる観点から考えましょう。

推薦状の書き方と受験エントリーシートのポイント

志願書などを書く際には上でも述べたとおり、「ストーリー」が大切です。
具体的なエントリーシートの書き進め方は以下の記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。

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高校生活での自己成長をアピールする方法

「そんなこと言われてもわからない」という人も多いと思いますが、あなたは必ず成長していますので安心してください。「伝え方」の問題です。ここでも軸がポイントになりますので、上の記事を参考になさってください。

模擬面接や適性検査の対策方法

一番良いのは学校の先生と面接の練習をすることです。聞かれたことへの解答集を「推薦ノート」にまとめておくのが良いでしょう。ある程度典型的な質問(志望動機など)への回答は用意しておくべきです。また自分の専門にしたい分野についてのことを聞かれるかもしれないので、それも答えられるようになっておきましょう。同じ質問が聞かれるということは可能性としては低いでしょうけれども、このように回答を準備しておくと、それらを組み合わせることで対応できる場合も多いので、焦ることなく面接を受けることができます。

あと、最近だとchatGPTなどの生成AIを活用することも手段として考えられます。志望動機に対する質問などをAIに考えてもらいながら進めるというのがおすすめです。

過去の合格者の体験談から学ぶ

当社は学校推薦型選抜での合格者を多く有しております。合格者へのインタビューをご参考になさってください

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合格者が選考過程で工夫したポイント

大切なのは、「他者との違いを明確化すること」です。
面接官や採点官にとって「この受験生は⚪︎⚪︎の人だね」と印象に残ることがポイントであると考えています。

私の場合は志願書のテーマを「料理」にして、「調理法」「具材」のような単語を比喩的に用いながら記述しました。また面接では面接官に東京のお土産を聞いたりしました。
上の添付記事で紹介されている原田さんは「トイレ研究」というテーマを持って臨まれています。また面接官の「これから(将来)どうしていくつもりなの?」という質問に対して、「お母さんと合流して昼食を食べます」と答えたそうです。

学校推薦型選抜と他の進学選択肢の比較

一般入試・私立大入試との違い

一般入試では「ミスのないように」「いろいろな教科のものを」行いますが、学校推薦型選抜ではしっかり自分で考えられるかが重視されます。質疑応答や口頭試問を行う場合もあります。ミスは悪ではなく、むしろ雰囲気でやってたまたま合うというのが悪として認識されます。

なお、学校推薦型選抜で共通テストの点数に下限を設けている場合がある上、不合格になった場合に一般入試を受けるつもりであれば一般入試の勉強も共通テストの勉強も実質的には必要です。

公募推薦との違い

学校推薦型選抜はあくまで「学校長」が出願主体になる場合が多いです(東京大学の場合、学校長が出願の作業を行います)。そのため、学校単位で出願できる人数が大学から決められていることがあり、人気の学校であれば、学校内選抜が行われることもあります。

一方、公募推薦は「入学志願者」が出願主体になります。大学から与えられた評定平均の条件を満たし、学校長から推薦を受けた人なら誰でも出願できるというものです。

学校推薦型選抜のための大学選びのポイント

学校推薦型選抜実施校一覧を確認する

実施している学校を調べることはまず第一歩です。
あなたの志望校を中心に調べてみましょう!

学部・学科ごとの推薦入試の特徴を知る

・どのような力が求められているのか
・どれくらいの評定が必要なのか
・同じ学校から何人出願できるのか
・どういう人が受かっているのか
・何を提出する必要があるのか
・どのような実績が必要であるのか

などを調べてみましょう!

大学の教育理念やカリキュラムを理解する

上で書いた通りです。
なぜこの学校が学校推薦型選抜を行っているのか、考えてみましょう。

現学生へのアンケート調査結果を参考にする

人気のゼミや教授の話などができると「この人は学校のことをよく知っているな」ということになるでしょう。それが「入学したいという気持ち」として伝わるかもしれません。
先輩や実際に入学している人などの意見を聞いてみたり、またはネットで探したりしてみましょう。
ただし、とりあえず学校のことを書いてみよう、というような安直な考えは避けた方が良いでしょう。「こいつは何も知らないのに適当に書いてるな」と思われたら良くありません。

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学校推薦型選抜への不安を解消する

受験生が抱える不安とは

当社所属の学校推薦型選抜合格者に聞いた不安をご紹介します。

受験前

・どのようなことが聞かれるか不安だった
 →さまざまな質問に対応できるように推薦ノートを作成して回答を準備しておいた

・一般入試の勉強時間が削られた
 →学校推薦型選抜の準備をする時間を自分の中で決めて、メリハリをつけながらやっていた

・自分のような人が本当に受かるのかわからず、ギャンブルをしている気分だった
 →自信をなくすと面接などで勝てないので、自分を鼓舞していた

・自分のことを振り返るうちに、自分に自信がなくなってきた
 →先生や友達を巻き込んで、自分を客観的にみた時の強みなどを教えてもらった

受験後

・答えた内容や書いた内容に後悔する
 →ああすればよかったと思うことは多いが、「できたこと」を思い浮かべて心を落ち着けていた

・2次試験の勉強をしていても、推薦のことを思いだす
 →「もしかしたらこの2次対策は不要かもしれない」と思ってしまった時は、「絶対落ちてるからやばいぞ」と自分に言い聞かせていた

・他の受験生との勉強時間に差ができてしまった
 →面接での移動も含めると結構なマイナスだが、「入学後のことを考える機会があった」という利点の方に注目した

合格者の体験談から不安を解消する

上のように皆同じような不安を抱えているわけです。そして、その不安は合格後には笑い話として推薦生の中での話のタネになっています。

今はその不安を楽しんでみましょう!

保護者のサポート方法とコミュニケーション

基本的には自分で考えたことを自分の口で自分で考えて話すことができるのかということを問われているものであるということを踏まえると、介入のしすぎはよくないものでしょう。

サポートの仕方としては、面接官の立場で気になることを指摘すること等、志願書などを含めて客観的に判断する最後の砦としての役割を果たすのが良いでしょう。

学校推薦型選抜対策の予備校選びのポイント

学校推薦型選抜という試験の特性として、世の中に出回っている情報が少ないということがあると思います。また、面接対策や志願書作成など、ある程度合格する法則を理解している人に対策してもらうことが重要になります。

その点で推薦の予備校に行くことは有効でしょう。まとめサイトなどで確かめてみましょう。

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学校推薦型選抜への挑戦のススメ

自分を見つめ直すきっかけになる学校推薦型選抜は受けるだけでとても価値のあるものであると思います。皆さんもぜひ「自分もいけるかもしれない」と、自信を持って望んでみてほしいと思います。「2次試験で受かる自信がないから。。。」と思っている人こそが、この選抜の対象者であるはずです。さあ、前のめりに挑戦しましょう。

ということで今回の記事は以上です。ありがとうございました!一緒に頑張りましょう!


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この記事を書いた人

メディア事業部、教育事業部。
学校推薦型選抜で入学し、現在東京大学1年生です。関西出身。
高校の時は放課後に地元を散歩し、地域の人と交流したりしていました(受験の前日もやっていたことは内緒)
今年の夏休みに2ヶ月かけて日本縦断(いわゆる最長片道切符の旅)をするなど、旅を趣味としています。放課後に温泉に行ったりします。
瀧廉太郎のファンです。荒城の月を目覚ましにしています。
日本の文化を次の世代へ伝承するための地方創生に向けて大学で勉強中です。

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