皆さんこんにちは!教育事業部の永田です。
昨日のM-1グランプリ、皆さんはもうご覧になりましたか?
僕はテレビに釘付けになって観ていました。実は僕は小さい頃から大の漫才好きで、昔のM-1のコレクションDVDを持っているほどのM-1ファンなのです。なのでこの「M-1グランプリ」が開催される日を毎年心待ちにしているのですが、今年はさらに興味深い漫才が登場しました。
その名も、「見せ算」です。
結成してまだ10年目ながら、今年で3回目のM-1グランプリ決勝進出を決めた吉本興業所属のお笑い芸人である「さや香」。
昨年は準優勝だったため、今年の優勝候補だと噂されていました。今年も安定感のある漫才で予選を1位で勝ち抜き、いよいよ優勝か…?と思われたところで、最終決戦で披露された「見せ算」。結果は0票で3位となってしまい、審査員にこそ響きませんでしたが、一部のファンや漫才オタクの中で話題になるネタとなりました。
この「見せ算」、「四則演算に加えて、令和の時代に新しく登場した5つ目の演算方法」ということで、漫才オタクであり、かつ計算の申し子である僕にはとても興味深いネタでした。今回は、このネタをぜひ解説したい!と思い、急ピッチで記事を執筆させていただきました。漫才が好きな方も、算数・数学が好きな方も、そのどちらも必見です!
そもそも「見せ算」とは?
「見せ算」の発案者であるさや香の新山さんによると、「見せ算」とはその言葉の通り、数字と数字を見せ合わせて「どう思うか」を考える演算方法のようです。数字に感情があると想定されている部分がポイントですね。
すでに存在する四則演算の足し算「+」や引き算「-」のような記号は漫才の中では出てこなかったため、表記を分かりやすくするために「@」という記号でこの見せ算を表すこととします。また、この見せ算の結果、つまり答えのことを「眼(がん)」とよびます。つまり、表にするとこのような形になります。
五則演算 | 使用する記号 | 演算結果の名称 | 答え |
足し算 | + | 和 | 計算結果 |
引き算 | – | 差 | 計算結果 |
かけ算 | × | 積 | 計算結果 |
割り算 | ÷ | 商 | 計算結果 |
見せ算 | 不明(記事では「@」) | 眼 | どう思うか |
「見せ算」の基本ルール
さて、「見せ算」が一体どのようなものなのかわかったところで、まずは基本ルールを見てみましょう。漫才の中で紹介されていた基本的なルールは次の2つです。
①同じ数字どうしを見せ合った場合、その眼は「0」になる。
(例:「2@2 = 0」「3@3 = 0」)
②違う数字どうしを見せ合った場合、その眼は大きい方の数字になる。
(例:「1@4 = 4」「7@5 = 7」)
①同じ数字どうしを見せ合った場合、その眼は「0」になる。
一つずつ見ていきましょう。まず①についてです。
見せ算は、冒頭でも説明した通り「数字がどう思うか」を考える演算方法です。例えば「2@2(2見せ2)」であれば、数字の「2」どうしを見せ合った場合に
「2」がどう思うか?を考える必要があります。
皆さんは、街を歩いていて向こうから自分と全く同じ人が現れた時、どう思いますか?
おそらく多くの人が、びっくりしてしまってその場から走って逃げ出すことでしょう。新山さんは、この現象は「2」でも同じだ、と語るのです。同じ数字どうしが接触すると、両方がその場から逃げてしまうため、その場所には何もなくなります。そのため、「眼」は0になるのです。
②違う数字どうしを見せ合った場合、その眼は大きい方の数字になる。
続いて、②を考えてみましょう。②では、見せ合った2つの数字が違うパターンを考えています。ここで新山さんは、「自分より大きなものを見ると、誰しも怖気付いてしまう」と語っています。例えば「7@5(7見せ5)」であれば、自分より大きな存在である7を見た5が怯えて逃げ出してしまうため、7が残るのです。よって、この問題の「眼」は7となります。
この2つが基本ルールです。今のところ、かなりシンプルですよね?しかし、これで終わらないのが「見せ算」なのです。
「見せ算」の応用ルール
ここからは応用ルールです。まずは皆さんに一つ問題を出します。
「9@6(9見せ6)」は、いくつになるでしょうか?
これまでの基本ルールを踏まえると、違う数字どうしの見せ算であるため、眼は9になると考えられます。しかし、これが9にならないのが見せ算の難しいところなのです。
新山さんによると、「6」と「9」は数字が反転すれば同じになる似た形をしているため、数字を見せ合った際に、お互いがお互いのことを「あれは自分か?」と確認しようと近づきます。その近づいた姿が数字の「11」に見えるため、「6見せ9」や「9見せ6」の眼は「11」になるのです。この時点でもかなり高度ですが、さらに複雑なパターンとして「2@5(2見せ5)」があります。
「2」と「5」は通常の文字ではあまり似ていませんが、時計などで使われるデジタル数字で記述すると反転したら同じになる数字となります。そのため、「6@9(6見せ9)」と同じで、お互いがお互いのことが気になって近づいていきます。しかし、「2」と「5」はよく見たら全く違う数字です。そのことに驚いた「5」が手に持っていたスマートフォンを落としてしまうため、地面に落ちたスマートフォンが小数点の役割をして眼が「1.1」になるのです。
もうこの時点で理解不能な人もいるかもしれませんが、安心してください。
僕も同じです。「面白いじゃん!もっと色々考えてみたい!」と思った人は、漫才の後半で新山さんが出題していた「1@100(1見せ100)」の答えがいくつになるかを考えてみてください。答えはぜひ、漫才をご覧ください。僕からは、せっかくなので最後に1つ新しいルールの提案をしたいと思います。
東大生が「見せ算」のルールを作るなら…?
漫才の最後でも、「ここから先は大学院のレベルです」と締めくくられていた「見せ算」。かなりレベルの高い学問であることが伺えます。最後に、現役東大生であり、数学オリンピックにも出場経験のある数学マニアの僕が、1つ「見せ算」のルールを考えてみたので共有させていただきます。
皆さん、「13@8(13見せ8)」の眼はいくつになると思いますか?
これまでのルールで考えると、大きい方の数字である「13」になりますよね。しかし、僕はこの問題の眼は「13の関係性による」と考えます。
「13」を構成する「1」と「3」がただの友達である場合は、基本ルールの通り眼は「13」です。しかし、「1」と「3」が付き合っていた場合は眼は「0」になります。このルールについて、簡単に解説します。
「1」と「3」がラブラブなカップルである場合、手を繋いで歩いていることでしょう。そうすると、「3」に左側の「1」がくっつき、合体して「8」になります。よって、「13@8 = 8@8 = 0」となるのです。
皆さんもお気づきかもしれませんが、この問題では「付き合っているかどうか」だけでなく「1」と「3」の関係が円満かどうかも問われています。喧嘩中のカップルであれば、手を繋いでいるとは考えにくいですからね。数字どうしの複雑な関係性まで考えなければいけないことが、「見せ算」の醍醐味と言えるでしょう。
終わりに
皆さん、「見せ算」はいかがでしたでしょうか?
もちろん賛否両論の分かれるネタではあると思いますが、僕にとっては思わずいろんなルールを考えてしまうほど面白いと感じるネタでした。そして何より、もちろんボケの一つではあると思いますが、漫才の冒頭で新山さんが発した「数学は人間の思考の根幹」という発言が、数学マニアとしてはめちゃくちゃ嬉しかったです!
それでは、今回の記事はここで以上となります。皆さん、ぜひまた次の記事でお会いしましょう!
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