【保存版】大学の学部の選び方を現役東大生が解説!

 進路希望調査を提出しなければいけないのに、やりたいことがわからなくて学部が決まらない……。そんな悩みを抱えている高校生は多いと思います。私も結局東大に入学してから後期に進む学部を決めたくらいですから、学部の選び方やどこに進めばいいかがわからず、いろいろ調べてここにたどり着いた方の気持ちはよくわかります。

 今回は、大学の学部の選び方・決め方がわからない方のために、まずは何をすればいいか、代表的な学部で主に学ぶことなどを、現役東大生、碓氷明日香が解説します!

目次

学部選びのためにまずやるべきこと

 学部を1つに決めると言っても、大学はこの世にたくさんあり、その中でも学部となるとさらに選択肢が膨大に膨れ上がって、とてもではないけれど選べそうにありませんね。

 そこで、学部選びのためにまずはじめにやるべきことについて説明します。

自分の興味・関心を書き出して整理してみる

 大学で学ぶのは、高校までの勉強とは違い、その分野の専門的な事柄です。その分野が好きでなければ、90分をこえる授業などとても退屈で聞いていられないでしょう。

 だから、まずは自分の興味・関心がどの分野に向いているのかを考えることが大切です。趣味や嗜好(しこう)、好きな教科や普段勉強する中でより詳しく知りたいと感じることなど、思いつく限りノートやメモ帳に書き上げてください。

 ひととおり箇条書きにしたら、優先順位を決めるとさらにわかりやすくなります。何が最も好きなのか、何が趣味にとどまるものなのかを踏まえて順位をつけていくのです。

 そうしたら、次はその興味・関心はどの分野につながっているのか、どの学部で学べるのかを調べます。すると、どの学部に進めば自分が一番やりたいことができるのか、見えてくるかもしれません。

なりたい職業から逆算して学ぶべき分野を考える

 将来、自分がなりたい職業があるのなら、そこから逆算して学部を決めることもできます。例えば、医者を目指す場合、医学部に進んで医師免許を取るのがやはり一番手っ取り早いです。 他にも資格が必要な職業に就くには大学で専門的なことを学ぶ方法が近道であることが多いでしょう。

 また、資格がいらない職業でも、必要な知識・スキルを分析してみれば、選ぶべき学部・学科が見えてくることもあります。学部ごとの就職実績などを調べてみるといいでしょう。

 もちろん、近道が一番いい道と決まっているわけではありません。学びたい分野を学んで、そこからなりたい職業にアプローチしてみる、という道もあります。ただ、選択肢の一つとして、その職業に就いている人の多くが進んできた道をたどる、というのは前例があるというだけでメリットが大きいでしょう。

学部フローチャートを使ってみよう!

 ここまでで行きたい学部が見えてきた方は、今度はどの大学がいいか、どの教授がどんな研究をしているのかを調べてみましょう。学部を絞ったら、あとは自分の学力レベルや大学の立地なども踏まえて、かなり選択肢を絞れるはずです。

 この記事を読んでいる多くの方は、まだ学部を決めきれていないと思います。そんな簡単に決まるなら苦労していないよ!と思っていることでしょう。そこで!そんなみなさんのために、「学部フローチャート」なるものを用意しました。

 文系学部・理系学部に分かれていて、それぞれ最大8つのYES/NOクエスチョンに答えることで、興味のある学問を学べる学部がわかる、という仕組みになっています。文理選択が決まっていない方は、どちらもやってみてください。

文系用学部フローチャート
理系用学部フローチャート

各学部で主に学ぶこと

 ここでは、フローチャートに登場している学部でそれぞれ何を学んでいるのかを簡単に説明しています。フローチャートでたどり着いた学部だけでなく、少しでも興味がある学部についても読んでみると参考になるはずです。

教育学部

 「教育」と聞くと、学校や子育てがまず思い浮かぶと思います。ですが、そもそも「教育」とは「他人や自分をより良くするために、知識や技術などを伝える行為」です。だから、学校を卒業してもなお、自分への教育は続くものなのです。

 そして教育学部は、教員を養成する、教育学を研究する、という二つの側面があります。教育学の研究では、他者を育てるのに効果的な方法や自分を成長させるために必要なことなどを知ることができ、それを踏まえて生徒に向けて実践するのが教員、といったところでしょうか。

 主な就職先としては、教員、出版業界、人材業界などがあります。およそ3分の1ほどが教員にならず、別の道を選んでいるそうです。

法学部

 法学部は、現在社会で適用されているさまざまな「法」の解釈やその運用の仕方について学ぶ学部です。

 憲法や六法だけでなく、日本には無数の法が存在します。そしてそれらの法律には抽象的な表現が使われていることが多いです。法学部では、このような法律の解釈を学び、実際に起きた事件に当てはめながら法律を運用する力を養います。

 また、法学部では、政治学についても学ぶことができます。弁護士や政治家などが代表的な進路ですね。

文学部

 文学部とは、人間の生み出した文化や人間そのもののあり方を研究する中で、人間への理解を深める学部です。

 文学作品を学ぶ学科ももちろんありますが、それだけではなく、美術史や言語について分析したり、心理学・宗教学・哲学などで「人間とは何か?」という問いを突き詰めていくこともできます。また、人間がどのように歩んできたのか、その歴史についてや社会そのものも研究対象になり得ます。

 出版・マスコミ業界などが代表的な進路ですが、学科によって、学芸員や司書、公認心理士などの資格を取ることもでき、幅広い就職先があります。

経済学部

 経済学部は、ヒト・モノ・カネ・情報の動きを捉え、経済が回る仕組みを学ぶ学部です。経済を回している主体はざっくり分けると、家計、企業、政府の三者となり、それぞれがどのような役割を担っていて、どのように経済活動を展開しているのかをさまざまな観点から研究していきます。

 また、経営学も学ぶことができます。企業に焦点を絞って、どのように経営管理をすると成功できるのかを考える学問です。

 主な就職先として、金融業界や商社、メーカーなどがあります。

理学部

 理学部では、高校で学ぶような理科や数学についてより深く学び、世の中のさまざまな自然現象を理論的に解き明かす学部です。主に数学、物理学、化学、生物学、地学の5つに分かれています。

 工学部がものづくりの「応用」の部分を研究するのに対して、理学部ではその応用の前提である「基礎」の部分を研究していきます。それぞれの学問ごとに、地球上、さらには宇宙上に残された謎を解き明かしていくのです。

 理学部の進路として、最も割合が高いのは大学院進学です。さらに深く研究するために、院進をする人が多いのですね。もちろん、卒業後すぐ就職する人もいて、メーカーが代表的な就職先です。

農学部

 農学部とは、見えない微生物から植物・動物に至るまで、人間が利用する生物全般を研究対象とする学部です。根底にある謎を解明していく理学部とは異なり、技術を応用した生活の質の向上を目的とした研究が行われています。

 大きく分けると「動物」と「植物」の分野があり、動物の分野では、人間の体の中でどのような反応が起きているのかを明らかにしたり、海の生物を専門に研究したり、獣医学を学ぶことができます。一方、植物の分野では、森や公園などの緑地について研究したり、植物の見た目を細かく調べることができます。

 農学部も大学院進学者が多いですが、食品業界や製薬、化粧品メーカーなどが主な就職先です。

工学部

 工学部は、さまざまな技術、材料を駆使したものづくりについて学ぶ学部です。ロボットなどが最初に浮かぶ方が多いでしょうか。他にも、生活の拠点となる家や移動に欠かせない道路なども研究の対象です。

 また、電子情報工学のような、目に見えないものを扱うものづくりも工学部で学ぶことができます。近年では、AIに関する研究などがその代表でしょう。

 もちろん、工学部も大学院進学者が多いです。主な就職先としては、自動車業界や電機・機械メーカーなどが挙げられます。

薬学部

 薬学部では、医薬品などの薬品に関することを総合的に学ぶことができます。

 大きく分けると、基礎薬学と臨床薬学の2つがあり、基礎薬学は薬を創るために有機化学、生物学、物理学などの基礎的な知識を習得した上で、薬の成分がどのように人体に影響するのかを学ぶ学問です。一方、臨床薬学では、人々が適切に薬を服用できるようにサポートするための知識を学びます。

 薬学部を卒業したのち、薬剤師として病院や薬局に務められますし、製薬会社に就職も可能です。また、学んだ知識をいかして、食品メーカーや化学系メーカーにも進む人もいるようです。

医学部

 医学部と聞いてみなさんがイメージするのは医学科、医師になるための学科のことでしょう。医学科は6年制で、医師免許を取得して医者として人々の病気を治療し、命を守るための学科です。

 また、医学部の中には4年制の学科も存在し、看護学や健康科学などを学ぶことができます。どの学科でも、扱われるテーマは医学や看護学に密接に関わるものであり、健康の維持、増進を目指すものです。

 医学部卒の進路としては、臨床医、研究医の他に、医療行政に関わる仕事などもあります。また、製薬会社などに就職して学んだ知識をいかすという道もあるようです。

教養学部

 教養学部は、専門分野を一つに絞らず、複数の学問を横断的に学んでいく学問です。文系・理系の垣根をこえて、自然科学や社会科学、国際学などの多様なテーマを研究します。

 一つの視点だけでは見えない、解決できない問題が世の中にはあります。他の学部のように、一つの専門分野を極めることも大事ですが、それだけでは足りない部分を教養学部が補っているのです。

 教養学部は、幅広い選択肢の中から学ぶことを選ぶことができるので、進路選択に迷っている人は教養学部を選択するといいでしょう。ちなみに、東京大学は入学から2年間、全員が前期教養学部に属し、さまざまな分野を横断的に学びます。まだ進路がはっきりしていなくて、いろいろなことを学んでから専門を決めたい!という方はぜひ東大へ。

 また、卒業後の進路についてですが、教養学部は学ぶ内容が多岐に渡るため、就職先もさまざまです。商社や金融、メディアやサービス業などが多いそうですが、他にも多様な職業に就いている人がいます。

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まとめ

 いかがでしたでしょうか。自分の進む道を決める上で、何か参考になったでしょうか。

 将来の夢、なりたい職業など、決めるときに参考にする要素の一つにすぎません。実際は、どの学部からでも何にでもなれます。興味の赴くままに進むのが一番です。自分の人生なのですから、好きなことをしましょう。

 もちろん、この記事で説明した以外にもさまざまな学部・学科があります。大学調べのサイトを使ったり、資料を取り寄せたりしてみて、さらに進路学習を深めていきましょう。フローチャートの結果はあくまで参考程度に。

 みなさんの将来に幸あらんことを。


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この記事を書いた人

大学では教育学部基礎教育学コース所属。世界史が好きだったことを踏まえ、教育の国ごとによる違いやその歴史に興味を持っている。趣味はアニメ鑑賞、読書。

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