【東大生インタビュー】高校を再受験。地域みらい留学

あっという間に4月も終わり、汗ばむような日も増えてきました。少しずつ新生活にもなれ、色んなことにチャレンジしている方も多いでしょう。

今回は、この春晴れて東京大学に推薦合格した川瀬さんに、なぜ東大を目指したのか、や、東大合格までの道のりはどのようなものだったのかについて教育事業部の永田耕作がインタビューしてみました!

プロフィール紹介

川瀬ありさ(かわせありさ):東京大学教育学部1年。2024年度入学。東京大学9期目の推薦合格生。

目次

自己紹介

永田:今回は、カルぺ・ディエム講師の川瀬さんにインタビューをしてみました!川瀬さん、よろしくお願いします!

川瀬:よろしくお願いします!

永田:まず、自己紹介をお願いいたします。

川瀬:はい。現在東京大学教養学部に所属しています、1年生の川瀬ありさです。
私は東京都出身なのですが、高校時代に「地域みらい留学」という制度を利用して島根県へ3年の間留学を行い、島根県立津和野高校を卒業してこの春に東京大学へ推薦入試で入学しました。

永田:そうだったのですね。島根県の高校出身であることはうかがっていたので、出身も島根県だと思っていたのですが、そのような経緯があったとは…。
ちなみに、「地域みらい留学」とはどのような制度なのですか?

地域みらい留学とは?

川瀬:「地域みらい留学」とは、自分の興味関心にあった高校を都道府県の枠を超えて見つけ出し、その地域で学校生活やその他の日常生活を過ごす国内進学プログラムのことです。私は都内の中高一貫校に入学したのですが、高校1年生のタイミングで「自分が本当にやりたいこと」を見つけたいと思い、島根県への国内留学を決心しました。

永田:そんな素敵なプログラムがあるんですね!
知らなかったです。ということは、川瀬さんは高校2年生から転入、という形をとったのですか?

川瀬:いや、それは実は違うんです。私が留学を決めたのは1年生の終わりの1月ごろだったため、その年の3月に津和野高校の一般受験を受けて、もう一度新1年生として入学しました。なので、私の高校生活は4年間あります(笑)。

永田:なるほど。1年間やり直してまで島根県での高校生活を送ってみたい、と思ったきっかけはどのようなものだったのですか?

川瀬:そうですね。一つ大きかったのは、4年前の新型コロナウイルス蔓延という出来事です。
当時私は高校1年生に進学したタイミングだったため、レベルの上がった学校の授業を全てオンラインで受けることになりました。
オンラインの授業、もちろん良さもあるとは思うのですが、どうしても私には合わなかったんです。
私は教室で行われる授業の、時に雑談が混ざったり、周りの生徒の反応が見えたりする雰囲気が好きだったのですが、オンラインだと淡々と授業内容が進むだけで、自分だけ分からずに取り残されているんじゃないか、と思い悩むこともしばしばありました。

永田:それ、めちゃくちゃ分かります!
僕もちょうど大学に入学して新しい環境になったタイミングでのリモート化だったので、授業についていけなくてとても困っていたのを覚えています。

川瀬:そうなんですよね。その流れで、あまり勉強やその他のやることに身が入らないまま文理選択の時期を迎えてしまったんです。そこで私は本当に本当に困って。ぼんやり文系に行こうかな、とは思っていたんですけど、その先のビジョンが決まっているわけでもなくて。こんな思いで適当に大学に行くくらいなら、高校のうちにやりたいことや、自分ができることを思いっきりやりたいな、と強く思ったんです。

永田:文理選択が、自分の将来を考えるきっかけになったのですね。そこで、「国内留学」という選択肢が出てきたのは、何か理由があったんですか?

国内留学という選択肢

川瀬:そうですね。最初は「やりたいこと」と言われてもそれすら分からない状態だったのですが、分からないのはなんでだろう?と考えたときに、「自分は東京で生まれ育って、外の世界を知らないからだ」と自分の中で仮説を立てたんです。海外への留学を視野に入れたこともあったのですが、自分が何がしたいかも固まっていない状態で海外に飛び込むのはリスクが大きいかな、と思い、国内への留学プログラムを調べることにしました。

永田:物事の判断、決定を何となくで決めるのではなくて、自分の中で「こうなんじゃないか」と仮説を立てて俯瞰して考えているところ、とても素敵ですね。ちなみに、不勉強で恐縮なのですが、この「地域みらい留学」というプログラムはどのくらいの規模で行われているのですか?

川瀬:これ、意外に思われる人も多いと思うんですけど、私が通っていた島根県立津和野高校は、学年の生徒80人のうち3.5割を国内留学プログラムの受け入れ枠としているんです。

永田:3.5割!?それは相当な人数ですね。

川瀬:そうなんです。なので、私と同じ東京都出身のクラスメイトもいました。実はこの制度は地方の学校の支えにもなっていて、入学者が年々減っている学校に導入することで学校が合併したり廃校になったりすることを防止しているんです。

永田:地域経済を活性化させる上で、学校の存在は大きいですからね。
ちなみに、津和野高校ではどのような3年間を過ごしたんですか?

川瀬:そうですね。1,2年生のときは、ボランティア活動や町おこし、お祭りの運営などさまざまな活動に積極的に参加しました。住む場所も大家さんが管理するシェアハウスのような場所だったので、地域の色んな人とかかわったのですが、その生活を通して、「周りの大人」の重要性を強く感じたんです。

永田:周りの大人というと、家族や先生とかではなくて、いわゆる「お隣さん」とか、「ご近所さん」と言った感じですかね?

川瀬:まさにそうです!
私が生まれ育った場所では、「お隣さん」なんて文化がなくて。島根での生活で、親や先生以外に相談できる大人がいることの心強さを身をもって感じました。些細なことでも、学校や自治体のカウンセラーさんとかに言うほどじゃない悩みでも、気軽に自分の悩みや感じたことを打ち明けられる頼りになる大人っていいな、と思いました。実は、この現体験が、「人とのつながりを促すまちづくり」という自分が今やりたいことに繋がっているんです。

永田:なるほど。自分自身で体験することで、悩みであった「やりたいこと」に対するその時点でのアンサーを出せたということですね。

東大推薦受験を決めた理由

永田:川瀬さんは東京大学の推薦受験に現役で合格していますが、どのタイミングで東大受験を決めたのですか?

川瀬:自分の中で明確に東大への志望を決意したのは、高校3年生になる4月のタイミングでした。しかし、最初のきっかけは高校1年生の時だったと記憶しています。私が国内留学をした津和野高校には、東京大学工学部に推薦合格しているOBの方がいて、課外活動や放課後の時間に学校に定期的に来てくださっていたんです。その方を見て、東大生のイメージが自分の中で大きく変わりました。勉強だけをしているのかと思っていましたが、勉強以外にも色んなことにまっすぐ取り組める方たちだと感銘を受けました。その時点では、自分が志望できる大学ではない、とあきらめていたのですが、高校3年生になるタイミングで、東京大学教育学部に推薦で入学している先輩と課外活動でたまたま一緒になる機会があって、その時に自分の進路について相談したところ、背中を押してくれたんです。

永田:自分がこれまでやってきた探究活動を話したら、東大の推薦入試に活かすことができる、とアドバイスをくれた、ということですか?

川瀬:まさにそうです!自分が行ってきた活動は全て自分が今やりたいことに繋がっていたので、その想いをぶつければ大丈夫だ、と自信を持つことができました。

永田:なるほど。さまざまな方の言葉が、川瀬さんの東大合格を後押ししたんですね。今、まさに東京大学で学んでいる最中だとは思いますが、この大学生活でどのようなことをしたいとか、ビジョンはありますか?

川瀬:そうですね。実は色々な経験を経て、今やりたいことは「大都市圏の社会教育」なのです。

永田:生まれ育った東京に戻ってきた、ということになりますか?

川瀬:そうです。ただ、島根県で過ごした時間は決して無駄ではなくて。何をしたいかが分からなかった私が、「自分のやりたいこと」を見つけられたのは、一度東京を離れて新しい世界に飛び込んだからなのです。自分は「東京しか知らない」とずっと思っていましたが、地方に行くことで、「あれ、自分って東京の教育とか、人がどうかかわっているのか、ちゃんと分かってるかな?」と自問自答できるようになったんです。なので今は、見つけた自分のやりたいことに打ち込もうと思っています。皆さんも、自分に夢ややりたいことがないな、と思ったら、立ち止まるのではなくて身の回りにあるチャンスに飛び込んでみると、新たな発見が生まれると思います!

永田:全ての経験には意味がある、ということですね。川瀬さんのこれからのご活躍を、心から応援しています!

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終わりに

改めまして今回は、東大推薦合格者の川瀬さんにインタビューしました。国内への留学という選択肢は高校生当時の僕にはなかったものだったので、とても新鮮で楽しかったです。

それではまた、次回の記事でお会いしましょう!


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この記事を書いた人

理系で東京大学に入学したが、教育をより深く学びたいと思い現在は教育学部に所属。高校まではずっと野球部に所属し、大学でも野球を続けている。趣味はピアノと旅行で、旅先のストリートピアノで流行の曲を弾くことが一番の楽しみ。

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