はじめ
2023年、国際連合の調査によると日本の幸福度は国連加盟国の137か国の中で47位と前年からは大きく上がりましたが、先進諸国の中では最も低い結果でした。
なぜ日本の幸福度はこんなにも低いのか、今回は「幸福度とは何か」、「幸福度が高い国との比較」という点から日本の幸福度が低い原因を考えていこうと思います。
そもそも幸福度とは?
まず幸福度とはなんでしょうか。上記の国際連合の幸福度調査「 World Happiness Report」は各国の約1000人に最近の「自分の生活にどれくらい満足しているか」を尋ね、
0(完全に不満)から10(完全に満足)の11段階で答えてもらう方式で国ごとの幸福度を測ります。そして次の7つが幸福度に関係する指標(説明変数)です。
・1人あたりのGDP
・社会的支援
・健康寿命
・人生における選択の自由度
・寛大さ
・社会の腐敗の認識
・ディストピア(各指標が最低の架空の国)との差
幸福度が高い国
ここまで日本の幸福度が低い原因についてその指標などを見て考えてきましたが、それでは上位の国はどうなっているのでしょうか。
2023年、最も幸福度が高かった国はフィンランドでした。なんと6年連続で1位ととても高い幸福度を維持し続けています。なので当然7つの指標は全てバランス良く高いです。ここではいくつかその要因を紹介していきます。
・充実した社会保障
2019年のフィンランドの国民の社会保障負担率は61パーセントと日本の44パーセントに比べて17パーセントも高いです。ただその代わり、社会保障がとても充実しています。大学までの学費が無料、高い育休、有給の取得率とその充実ぶりが伺えます。
・高水準の教育
フィンランドの教育はメジャーな詰め込み型ではなくPBLのような問題解決型の授業形態で、内容もかなり教師に委ねられます。
そして教師の資格にも修士号が必要で毎年研修もあり教師自らの成長も求められるような環境です。
このようにフィンランドでは7つの指標の高い評価と結びつくような社会を形成していることがわかります。
日本の幸福度が低い原因
では日本の幸福度が低い原因はどこにあるのでしょうか。
国際連合が発表している先ほどの6つの指標から見ると、日本は健康寿命、社会の腐敗の認識という点では上位でしたが、人生における選択の自由度、寛大さという点では下位とその2つの指標がかなり足を引っ張る結果でした。この原因として私は「日本の学歴社会」と「文化の違い」があると考えています。
まず日本の学歴社会についてです。人生における選択の自由度にはこの点が大きく関わっていると私は考えています。私は今高校生で進路のことについて同年代の方と話すことが最近かなり多いのですが、「どこの大学にいこう」や「いい大学に行っていい企業に」というような「大学に進学→いい企業に就職」という価値観がかなり強い印象でした。実際厚生労働省が公表している「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、学歴別の月ごとの賃金の平均は高校が27万1500円、大学が35万9500円、大学院が45万4100円とかなり学歴ごとに差があることがわかります。つまりいい大学、大学院に進学していないという時点で人生の職業の選択が狭まっているのではないでしょうか。
続いては文化の違いについてです。これは寛大さにかなり関係があります。
この寛大さという指標は過去1ヶ月の間にチャリティーに寄付をしたかというようなものです。欧州各国ではキリスト教の慣習により献金をする文化があるためこの指標が高いということです。ただ、日本にはそんな文化はありませんよね。さらにこれは私の個人的な主観ですが、自分は寄付を全然していないから幸福度が低いとはならないのではないでしょうか。確かにこの寛大さという指標は日本の幸福度を下げている要因なのですが私はここで1つ疑問が出てきました。このように指標が低い、もしくは高い理由として国特有の文化が存在しているのに果たして幸福度というのは本当に人々の幸福を測ることができているのでしょうか。
まとめ
このように日本の幸福度が低い理由は色々挙げられますが、私は根本の幸福度という指標にも問題があるのではと考えています。そしてこれは日常にも使えると思うのですが今回のようにただ「日本の幸福度が低い」という情報をただ表面的に受け取るのではなく、それがどういうものなのか、何が問題なのかといった本質を見抜くという意識を持つことが重要なのではないでしょうか。
筆者:石井湖虎
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