文部科学省の現役官僚が高校教師になるという斬新な設定で話題を呼んだ本作。
カルペ・ディエムも監修の立場で携わらせていただきました。
先日迎えた最終回の余韻も収まらない中、演出部の皆さまにインタビューをさせていただき、ドラマにリアリティを生む、小道具へのこだわりをお伺いしました。
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演出部のお仕事について
──演出部の業務内容についてお聞かせください。
「演出部」では、チーフ、セカンド、サード、フォースで役割が分かれています。チーフは撮影現場全体の段取りを組み、カメラマンや監督との連携で撮影を滞りなく進める役割です。セカンドはメイクや衣裳、エキストラを担当しています。フォースは台本に書かれていないような細かな設定、例えばシーンの時間設定や、キャラクターの名前、会社の名前などを決めていきます。私たちサードは主に出演者が使う小道具の準備を担当しています。
──撮影前の準備についてお聞かせください。
撮影開始の約2ヶ月前から準備を始めます。今回は29人の生徒それぞれのキャラクター設定を詰めていくところから始まりました。台本を読み込んで、セリフや行動から、その生徒がどんなキャラクターなのかを考え、それに合わせて筆箱やグッズを選んでいきます。
──キャラクター設定で特に工夫されたポイントはありますか?
今回は特殊で、生徒が多かったこともあり、キャラクター設定に関して私たちからも提案する機会が多くありました。例えば、脚本には明確な描写がない部分なのですが、企画書の段階で生徒会の会長(村岡)と書記(戸隠)はカップルがいいのではなど、遊び心をもって設定を加えていきました。
──若手スタッフの意見も積極的に取り入れられたそうですね。
そうですね!監督やチーフが率先して意見交換会を開いてくれました。般的なドラマ制作ではあまり
ない事だったと思います。
こだわりの小道具づくり
──小道具はどのように準備されるんですか?
既存の商品を購入することもありますが、特定の企業の商品とわかってしまう場合は許諾を取ります。あるいは美術部に依頼して一からデザインして似た テイストのものを作ってもらったり。予算と時間との兼ね合いで判断しています。
──小道具の準備で特にこだわった点を教えてください。
撮影が始まる前に実際に進学校にリサーチに行きました。街を歩いている時も、高校生や若者たちが何を持っているのか、鞄に何がついているのかなど見たりして、小道具視点の日々でしたね(笑)
こういったリサーチとキャラクター設定を組み合わせて、生徒別に筆箱やキーホルダーなど持ち物を決めています。一人ひとり違うので、ぜひチェックしてみてください。
こうすることで、生徒役のキャストさんのモチベーションアップにもつながりますし、キャラクター性にも深みが出ると思います。
──小道具がリアルだと、自然に物語やキャラクターが理解できそうです。
視聴者には映らない部分でも手を抜かないようにしています。
例えば、生徒のノートは、画面には映らないところも書いています。キャストの皆さんはノートが白紙だったり、セリフとは違うことが書いてあったとしても、演技力でカバーしてくれると思いますが、その信頼に甘えるのではなく、作品の世界観に誠実であろうと心がけています。
──その細かな準備が実際の撮影でも活きたそうですね。
そうですね。例えば、現場で監督やキャストさんから「この試験の問題を黒板に出したい」とか「このページをめくりたい」といったアイデアが出た時に、「準備していません」とは言いたくないです。
問題を事前に作っておいたり、せめて1ページめくっても大丈夫なように中身を準備しておくようにしています。
──具体的にどんな準備をされるんですか?
iPadやスマートフォンを使用するシーンでは、機器の調子が悪くなることも想定して、スクリーンショットを用意したり、別のアプリでも開けるようにしたり。パワポが使えなくなったときに備えて、別のアプリを用意しておいたり。プランBやプランCを常に用意しています。先に考えておくことで、現場で慌てずに済みますから。
お仕事のやりがい
──最後に、この仕事のやりがいを教えてください。
一番は、細部まで作り込んだ小道具をキャストの方が喜んでくれること。特に主要キャラクター以外の生徒たちにも同じように作り込んだ小道具を用意したことで、多くの出演者から喜んでいただけました。
また、私たちがこだわった部分が良いシーンづくりにつながり、視聴者からの反響があった時は本当に嬉しいですね。毎回の撮影で120%の準備を心がけていますが、それが作品の質につながっていると実感できる瞬間が、何よりのやりがいです。


