共通テストも目前となりました…!
受験生の皆さんは各教科の過去問をこなしていることでしょう。
来年度以降受験する皆さんは、共通テストをどのようなものだと捉えているでしょうか。
1年後だからまだ時間がある、直前に過去問を解けば大丈夫。そう思っている方もいるかもしれません。しかし、学習指導要領の改定により、共通テストの形式も変わりました。内容が変われば、過去問が真価を発揮するとは限らないのです。
テストで高得点を取るためには、テストについて正しく理解することが大切です。
今回は、地理・歴史・公民、すなわち社会科目について、学習指導要領の変更点とそれに伴う共通テストの変更点、そして新課程入試の対策方法について、東大教育学部生の碓氷明日香が徹底的に解説します!
新課程の学習指導要領の要点
まず、学習指導要領はどのように変わったのでしょうか。
これを読んでいるあなたが受験生だとしても、「教える側の事情でしょ~!」と突っぱねず、仕組みを知るところから始めていきましょう。
地理・歴史について
地理・歴史科目は、これまで世界史A、世界史Bから1科目選択、そして日本史A、日本史B、地理A、地理Bから1科目選択した合計2科目の授業が必修となっていました。
ところが新課程では、このA、Bという区分をなくし、地理総合と歴史総合という分類が導入されます。この2つが両方とも必修となるのです。つまり世界史A、B、日本史A、Bが統合され、地理A、Bが統合されたという見方ができますね。
また、発展的な学習科目として地理探求、日本史探求、世界史探求の3科目が導入されました。これらは実質的に以前のB科目と同等のものです。
これまでは日本史、世界史、地理から2つの分野しか学ぶ必要がありませんでした。実際、私も世界史Bと地理A選択でしたので、日本史は受けたことがありません。しかし、これからはこの3分野全てを満遍なく学習する必要が出てくるのです。
中身についても、近現代史に重きを置いたり、持続可能性に焦点を当てたりと、現代社会で求められている知識・思考力・判断力が身につけられるように変更がなされています。
公民について
公民は、これまでは現代社会、倫理、政治・経済の3科目のうち1科目が必修となっていましたが、新課程では、現代社会がなくなる代わりに公共という科目が加わり、公共、倫理、政治・経済の3科目から1科目を選択する形式になりました。
中身については、諸課題の解決能力や議論する力などが身につけられるような変更がなされています。これは、公民に限らず、どの科目でも言えることでしょう。
共通テスト新課程の変更点
それでは、学習指導要領の改定を踏まえ、共通テスト新課程では旧課程と比較してどのような変更があるのでしょうか。ここからは科目選択の仕方や各科目の問題に分けて説明していきます。
科目選択について
新課程では必修科目の変更により、「地理総合、地理探求」「歴史総合、世界史探求」「歴史総合、日本史探求」「公共、倫理」「公共、政治・経済」「地理総合/歴史総合/公共」の計6科目から最大2科目を選択する形に変わりました。また、選択科目の組み合わせに関して、細かな決まりが追加されています。どの組み合わせが認められていて、どの組み合わせが受験できないかは以下の表の通りです。
ここで言う(a)とは「地理総合/歴史総合/公共」のことで、(b)とはそれ以外の5科目のことです。(a)を選択した場合は、地理総合、歴史総合、公共から2つ選んで解答しなければならないのですが、そこで選んだ2つと同じ名前が含まれている(b)の科目は選択することができません。例えば、(a)の地理総合と公共を選んで解答したら、もう1科目として(b)の「歴史総合、日本史探求」「歴史総合、世界史探求」しか選べません。また、(b)のうち、「公共、倫理」「公共、政治・経済」を選択することもできません。
このことから、学習する分野が偏らないように満遍なく知識をつけることが求められていると言えますね。2026年度入試(来年)からは既卒生用の経過措置は用意されません。どの科目を選択するかで得点にも大きな影響が出てきます。自分の得意不得意を踏まえて、最適な科目選択をするようにしましょう!
地理の変更点
試験形式に大きな変更はありませんが、出題される問題がより「探究」を意識したものに変わります。近年、自ら問いを決め、仮説を立てて、検証する探究活動を通して問題解決能力の高い学生を育てる教育が活発に行われてきています。それに伴って共通テストでも、身の回りのあらゆる物事に対して問いを立て、それを検証するような流れの問題が増えてきているのです。具体的には、未完成のポスターを完成させたり、図や資料を読解したり、という問題が多い印象です。
また、「持続可能」というワードが多く使われていることから、身の回りの諸問題に常に目を向け、解決策を模索する癖をつけておくことが求められていると言えるでしょう。
ただ、知識問題は変わらず出題されています。資料読解の力だけでは太刀打ちできない部分ももちろんあるので、知識を入れ、その上で資料を読めるように両方とも並行して力をつけていく必要があるといえます。
歴史の変更点
歴史については、「歴史総合」の問題が出題されるという点が最も大きな変更点でしょう。これまでは世界史なら世界史の問題のみ、日本史なら日本史の問題のみが出題されていました。しかし、新課程では世界史と日本史の融合問題が少なくとも大問1つ分は出題されるとされています。
世界史を学習している人は、世界がこうなっている時、日本はこの時代でこんなことが起きている、というように世界史と日本史の知識を繋げて勉強する必要が出てくるのです。「横のつながり」として少しは意識しているでしょうから、日本の関する出来事を少し掘り下げるよう意識すればいいでしょう。
日本史を学習している人は、世界の出来事が日本の歴史にどのような影響を及ぼしたのかという視点で勉強することが求められます。日本周辺の地図だけでなく、その年代の世界地図も片手に「横のつながり」を意識して勉強しましょう。
公民の変更点
これまで、倫理と政治・経済は独立した科目でしたが、新課程では、これらの科目を受験する場合には公共を勉強しなくてはなりません。より幅広い知識が必要とされるというわけですね。
公共の内容は現代社会のそれと大きくは変わりません。現代の世界や日本の出来事を政治や経済の観点から捉える政治経済の基礎的な内容と、人間社会の秩序や人間どうしの守るべきルールを突き詰める倫理の基礎的な内容を合わせた科目が公共です。倫理と政治・経済の2科目を繋げる存在として公共を捉えると効率的に勉強できそうです。
また、主体的に問題を解決する能力が求められているのはこの科目も他教科と変わりません。グループワークのような問題や資料読解が多く問われるはずなので、それらの対策もマストで行いましょう。
対策のポイント
新しい形式のテストは過去問がない(少ない)ため、対策が難しいと思います。とはいえ、対策方法をこれまでと大きく変える必要はありません。今まで通り、教科書をしっかり読んで、市販の問題集で繰り返し問題を解けば、必ず高得点を狙うことができます。
どの科目も文量が増えることが予想されているので、長い文章から要点を正しく抑え、適切に情報を処理することが必要になりそうです。そして、グループワークなど探究活動を想定した問題に慣れるために、共通テスト型の資料読解問題を数こなすといいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。新課程共通テストの社会科目について、変更点や対策のポイントを説明しました。テストをしっかり分析して、それを踏まえた対策をこなす。これがテストで高得点を取るための鉄則です。新しい学習指導要領が何を求めていて、それが共通テストにどのように反映されるのか、受験する側としても理解しておきましょう。
みなさんの共通テスト対策に少しでもお役に立てたなら幸いです。少しでも早く対策を始めて、高得点を狙いましょう!
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