高校球児から現役で東大に合格した講師インタビュー「一人一人と向き合った教育活動をしたい」今後の野望とは?

高校3年生の夏まで野球部の活動に明け暮れた後、徹底的に質を高めた勉強法により短期間で東京大学に現役合格を果たした、東京大学教育学部3年生の永田耕作さん。理系で大学に入学した彼の中には、教育に対する課題意識が隠れていました。それを自覚するようになったきっかけ、そして今後実現していきたいこととは?

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信じてくれる人がいたからこそ掲げられた「大きな目標」

──名古屋出身ということですが、東京大学を受験したのはどうしてですか?

僕の出身高校は、地方の中ではレベルが高めの大学、例えば名古屋なら名古屋大学を目指そう! という風潮が強い学校でした。その中で自分も大きな挑戦をしたいと思ったのがきっかけですね。

僕の父親はすごく自分のことを信じてくれる人で、「耕作ならできる」と日頃から言ってくれていました。信じてくれる人がいるからこそ、東大受験という大きな目標に向けて頑張りたいと思うようになりました。東大にした理由は他にもあって、僕は高校生の時、大学でやりたいことが決まっておらず、むしろ大学でいろいろなことを経験しながらやりたいことを見つけていきたいと思っていました。そんなこともあり、大学2年生の時に進学先の学部を選ぶことができる東京大学を選びました。

──信じてくれる人がいたからこそ、大きな挑戦に踏み出すことができたのですね。野球部を引退まで続けていたとのことですが、受験勉強は大変ではありませんでしたか?

高校3年生の7月末くらいまで部活動をしていたので、引退してすぐ夏の模試があったりもして大変でしたね。でもその分、時間がないことは明確だったので、部活の時間と勉強の時間をしっかりと区切ることができたのだと思います。

また、ずっと勉強していたらしんどかったと思いますが、自分の場合受験までの期間が短いからこそ、その短い期間に誰よりも質をあげて勉強していこうと思えました。「いかに短い期間で頑張れるか」というところでやる気が出ていましたね。

──勉強ではどんな工夫をしていましたか?

8月に引退してから本格的に勉強を始めたんですが、僕の場合は塾に行きませんでした。そうやっていうと、どうやって勉強していたの?  と聞かれたりするんですが、僕は「参考書」で勉強していました。

実は参考書がすごく好きで、高校3年生の8月になってからは30冊くらい買ったと思います。このタイミングで参考書の買いすぎは良くないと言いますが、実際全部やり切れています。プロが書いた参考書なのだから、それを吸収しようという姿勢で取り組んでいましたね。自分のペースで、自分のやりたい時間にできるので、すごく自分に合っていたと思います。

──得意科目は数学とのことですが、どんなところが好きですか?

小さい頃は、答えがビシッと決まっているのがかっこいいなと思っていましたね。あとは数が好きだったというのもあります。数を数えたりするのが好きで、レストランやスーパーで合計を数えて、レジで値段があっていたら嬉しい、みたいな子どもでした。そこからどんどん勉強をしていって、好きになっていったという感じですね。

──なるほど。2019年には数学オリンピックの本選まで出場されたとのことですが、問題は難しかったですか?

数学オリンピックの予選は、制限時間3時間で問題が12問ありました。数学オリンピックと聞くと記述をたくさんするというような想像をされる人も多いかもしれませんが、予選って答えしか書かないんですよね。勘で書いても絶対に当たらないような答えだからだと思います。僕は12問中6問解けて合格したんですけど、最高得点でも8点だったんですよね。全国の数学が得意な高校生が、最低でも4問は解けなかったというのは、かなりレベルが高いなと思いましたね。

ちなみに本選は記述式で、5問を4時間で解くというものでした。本選は通過できなくて、まともに戦えたのは5問中3問でしたね。

「あの言葉がなかったら僕はここにいない」──教育を軸にしようと思ったきっかけとは

──大学に入学してからはどんな活動をしているのですか?

小学校から高校まで野球をやっていたので、大学でも野球サークルに入りました。高校までは部活漬けの日々でしたが、大学ではさまざまな活動もしたかったので、週2回程度の頻度で活動しています。

──カルペ・ディエムには大学2年生の時に入られているとのことですが、きっかけはどういったものだったのですか?

僕は両親が高校教師という家庭環境もあり、昔から教育には興味がありました。その気持ちが強くなったきっかけとして、「高校受験の合否に内申が使われていることに違和感を感じた」という経験があります。内申の基準は学校によっても違いますし、不平等じゃないのかなと思ったんですよね。ただ、教科としては理系の方が好きだったので、理系として大学に入りました。

大学1年生の時には運動会ラクロス部に入ってバリバリ活動していていました。初めてやるスポーツですごく楽しかったのですが、練習時間が長くて、大学の授業や一人暮らしと両立させるのがかなり大変でした。高校生の時は部活漬けだったので、大学ではいろんなことをやりたいなという思いが強くなり、1年生が終わる時に部活動をやめたんですよね。その時にコーチの方から、「耕作が色々考えた上で出した結論だと思うから尊重するけど、部活を辞めると1日の時間がごっそり空くことになる。君はその時間をふらふら過ごさずに、何かに打ち込める人だと俺は思っているよ」という言葉をもらって。その言葉を機に、何か軸を持ちたいと思ったんです。

こうして、もともと興味のあった教育関係で、ガッツリ関われるような活動がしたいと思っていた時に、カルペ・ディエムで講師の募集をしていて、応募したことがきっかけでした。

──新しい生活の軸に、カルペ・ディエムの活動を据えたというわけですね。講師になって生徒さんと話してみてどうでしたか?

僕は人に物事を伝えることが好きなので、伝えるべきものがあって、伝える場所があって、それを生徒さんに伝える、というはすごく楽しかったですね。全員に刺さるわけではないですが、その中でも頷いてくれる子、質問を返してくれる子、自分で一歩踏み出してくれる子がいたりするのはすごく嬉しいことです。

ただ、1つ課題として考えているのは、「こうあるべき」という思いが強すぎると、生徒自身が望んでいない形で誘導してしまうということですね。あまり押し付ける気はなくても、思いがけず押し付けてしまうというのは気をつけていかないといけないことだなと思いますね。一人一人の生徒さんとどう向き合っていくかはすごく考えていますし、個別面談の時間も大事にしています。

一人ひとりの生徒さんを深く理解したい

──明豊高等学校さんで取り組まれている九大専科についてお伺いします。高校1年生から3年間で九州大学を目指すというかなり大きなプロジェクトだと思うのですが、永田さんはこのプロジェクトについては立ち上げから関わっているんですよね?

そうですね。4月に九大専科が始まる前の企画段階から携わっていました。大分という立地もありますので、勉強のモチベーションを上げるための話であったり、計画を立てると勉強がしやすくなるという話であったりを、月に1回ペースで授業しに行っています。前に実施して面白かったのは、グループで全員が協力しないと解けない課題を解決してもらうワークで、専科としての仲間意識が生まれたなと思いますね。

──受験は団体戦という言葉もありますよね。

僕は、受験は団体戦という言葉を全肯定しているわけではありません。同じ大学を受けるのであればライバルとも言えますしね。ただ、1人で勉強をするよりも、誰かに教えたり、困ったら一緒に考えたりできる仲間と一緒に勉強をした方が、得られるものって大きいと思います。

──なるほど。 創成館高等学校さんでは、個別で勉強を教えていくというような取り組みをされていると伺っていますが、具体的にどういったことをしているのですか?

創成館高校さんでは「東大生ゼミ」というものを実施していて、希望者を募って活動を行っています。東大生が定期的に面談をする他、勉強したい分野について宿題を出したり、モチベーションや計画というようなテーマの講演を実施したりしています。

──さまざまな取り組みをされているのですね。最後に、これからカルペディエムで実現したいことを教えてください。

今までいろんな学校さんでお話しさせていただきましたが、生徒さん一人ひとりの顔と名前を把握し、個別の状況を詳しく知った上で関わる機会がなかなかありませんでした。アンケートや合格実績が良かったとしても、それが自分の影響によるものなのか、本人の力量によるものなのかは定かではありません。生徒さんから僕たちは「外部の人」と捉えられていて、「一緒にやっていく」という意識が強くないことが課題だと感じていました。

ただ、今実施している明豊高等学校さんの九大専科は生徒さんが少なく、一人一人と深いコミュニケーションを取ることができるので、個別の状況が分かった上で生徒さんと一緒にやっていくことができます。「一人一人の生徒さんへの深い理解が得られた状態で関わっていく」というのはまさに僕がやりたかったことで、これから他の学校さんでも広めていけたらと考えています。

講師プロフィール

永田耕作(ながた こうさく)
2001年生まれ 東大教育学部3年生

公立高校から学習塾に入らずに東大へ現役合格。中学・高校は野球部に所属、部活動と勉強を並行し「練習で自分の苦手を潰して、試合で自分の力を最大限に発揮する準備をする」という努力の「型」を勉強にも活かして受験勉強を乗り切る。

『東大生の考え型』著者インタビューはこちら
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この記事を書いた人

大学では教育学を専攻。学業の傍ら、中高生向けのイベント企画や本の企画・編集に従事してきた経験から、人に新しい「出会い」を提供することに興味がある。ジブリとロードバイクが趣味。

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