『文系・理系はどう違う?東大生が教える文理の違い・選び方』

高校生になると、避けては通れない文系・理系の選択。

文系と理系の違いをきちんと知っていますか?
今回は、どんなそれぞれ違いがあるのかに加えて、どのように文系・理系を選べば良いのかについて説明していきます。

目次

文系と理系の大まかな違い

文系と理系の違いと聞かれると、文系は社会を勉強して、理系は理科を選ぶという違いしか思い浮かばない人も多いのではないでしょうか?
しかし、ただ勉強する科目が違うだけでなく、大学での勉強や就職など、将来にも大きな違いが生まれます。まずは、文系と理系が学ぶ内容や考え方に関する違いを見ていきます。

 研究対象の違い「人か物か」

大学における文系と理系という区別は、主に何を研究するのかによって変わります。

文系は主に、文学・歴史学・経済学・心理学といった、人や社会についての研究がさかんに行われる分野のことを指します。これらは全て、人の行動や思考・社会の動向・文化などについての研究が行われています。

一方で理系は主に、数学・農学・理学・医学といった、物について、より正確に言えば自然についての研究がさかんに行われる分野のことを指します。医学は人についての研究をしていますが、その内容は人体の構造や体の仕組みなど、人に関する自然現象について研究する内容となっています。

文系の学科:法学部、経済学部、文学部、教育学部など

理系の学科:医学部、薬学部、農学部、理学部、工学部など

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ただし、最近は文系理系問わず、両方の分野に共通するような研究も進められており、文系理系を一度決めてしまうと、もう片方は勉強できないということは少なくなってきています。

考え方の違い(文系脳、理系脳の違い)

文系と理系では研究する物が異なるため、考え方の傾向にも違いが生まれます。

文系脳の人は、言葉の意味を直感的に捉えたり、物事を感情的に捉えるという傾向があります。言葉に込められた意図や感情を敏感に察知したり、物語に登場するキャラクターの感情を深く考えられる人は、文系脳の持ち主かもしれません。

それに対して理系脳の人は、物事を数値として正確に捉えたえり、感情よりも論理を大事にする傾向があります。「とても」「たくさん」といった曖昧な表現よりも「3倍」「50個」のように具体的なデータを好んだり、物事を筋道立てて論理的に理解することが好きな人は、理系脳の持ち主かもしれません。

しかしこれらはあくまで傾向であり、データを大事にする文系の人も感情を大事にする理系の人も存在しています。

受験の時の科目の違い

勉強する科目の違いにも似ていますが、受験の時に使う科目にも違いがあります。

まずは文系の人は、数学ⅠAⅡBと理科の基礎科目は習いますが、数学ⅢCと理科の発展科目を習いません。そのため、大学入試でもこれらを課している大学はほとんどありません。一方で理系は社会が1科目で十分な場合が多く、社会が2科目必要な文系よりも少ないです。

そのうえ、大学入試では勉強する科目が全て出題されるわけではありません。私立大学においては、文系は「英語」「国語」に加えて「地理歴史」「公民」「数学」の中から1科目、理系は「英語」「数学」「理科」を出題される場合が多いです。大学によって必要な科目や出題される範囲が異なるので、行きたい大学がある場合は先に確認しておきましょう。

文系のメリットと理系のメリット

文系と理系の違いは、勉強することや考え方以外にもあります。ここからは、それぞれどのようなメリットがあるのかを見ていきます。

文系のメリット

自由な時間が多い

文系のメリットとして、自由な時間が取りやすいことがあげられます。理系は1,2年生の間は必修科目が多く、3,4年生の間は実験や研究活動に時間を費やさなければならなくなり、あまりゆっくりしていられません。一方で文系は比較的必修科目も少なく実験もないため、サークルやバイトなど、授業以外の活動に時間をかけることができます。東大の1,2年生で取らないといけない単位数も1割以上文系のほうが少ないです。就職では大学での勉強以外のことも見られるので、就職対策をする時間が多いとも言えます。

学費が安い

理系の学科は実験に必要な特殊な器具や設備を揃えるために、学費が高くなりがちです。そのため、一般に文系の学科の方が大学の授業料が安いです。私立大学では四年間を通して、文系は約390万円、理系は約540万円かかり、150万円近く文系の方が安いと言われています。特に大学で学びたいことが決まっておらず、とりあえず大学を卒業したいという人は、文系学科をめざしたほうがコスパは良いでしょう。

コミュニケーション能力が磨かれる

文系の学科は実験がない分、グループディスカッションなどの周りの生徒と協力しなければならない授業が多いです。その中で自然とリーダーシップを高めることができ、協調性や周りを見渡す能力が身につくと言われています。これらの能力は、大学をでて社会人になってからもとても重要視される能力です。

理系のメリット

専門性の高い知識をつけることができる

理系は文系に比べて大変な場合が多いですが、その分専門性が高いです。大学の設備は高価なものもたくさんあり、何も学んでいない状態から独学で実験など経験することはほぼ不可能です。学部によっては大学で学んだ知識をその後社会に生かしやすく、大学での4年間を有意義に過ごすことができます。

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専門職への就職が強い

大学で専門性の高い知識をつけることができるため、自分の学んだ分野に関する職業であれば就職を有利に進められます。特に工学部など一部学科では、大学で勉強する内容で資格が取れるものも多く、そういった資格を要する職業であれば就職する際のライバルが格段に減ります。資格を必要としない職業も、会社で基礎知識のない人を育てるのは大変なため大学で学んだ人を優先的に取る場合が多いです。

理系職業以外にも文系が選びやすい職業にも就ける

理系は専門性が高い内容を学べますが、学んだ内容とは全く関係のない職業に就くことも可能です。文系が選びやすい営業やマーケティングなどの職業は比較的専門性が低く、理系だから不利になるということはありません。特に金融系や商社では数学の知識を使う機会もあるので、理系の学部で数学を扱っていれば差別化することもできます。このように、就職先の可能性が増えるのは理系の大きなメリットです。

文系と理系どっちが就職に有利なの?

文系と理系のそれぞれのメリットを見ると、理系の方が就職に有利だと感じるかもしれませんが、実は文系と理系で就職率に大きな差はありません。文部科学省の調査によると、令和3年度の文理別の就職率は文系が95.4%、理系が97.4%とたった2%しか差がありません。

大学で学べる知識や、理系の選択肢の広さなどで理系のほうが就職に有利だとされがちですが、それぞれの強みは違うため、どちらに進んだとしても、自分の強みを生かせるよう就職することが大事です。

文系理系の選択のポイント

文理選択は将来の仕事にも影響してくるため、人生において大事な選択です。ここからは、どういった基準で文理を選べばいいのかを紹介していきます。

将来の職業・夢から逆算して選ぶ

今すでに将来の職業・夢が決まっている人は、その夢を叶えるためにはどちらを選べばいいのか考えてみましょう。文系と理系では就く職業の傾向があり、医師や弁護士など一部の職業はどちらかからでないと就職するのはほぼ不可能なこともあります。目指すものが決まっているならば、それに向かって突き進むのが一番だと思います。

なりやすい職業
文系:公務員、営業、記者・編集者、学芸員、広報、弁護士など
理系:技術・商品開発、研究職、医師・看護師、薬剤師、エンジニアなど

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自分の趣味・興味関心から選ぶ

自分の夢で決めるといっても、なかなか高校生のうちから自分の将来像を明確に持っている人は少ないと思います。

しかし、みなさん何かしらの趣味を持っていると思います。そんな人は、自分の趣味に関係しそうな学問を見つけて、とりあえずその道を目指してみてはいかがでしょうか? 例えば、子どもが好きなら教育学部、ゲームが好きなら工学部、花が好きなら農学部のような選択をすることができます。

大学や研究室で学びたい学問から選ぶ

これまでの基準に当てはまらない人も多少なりとも科目ごとに好き嫌いがある人は多いのではないでしょうか? そういうときは、自分の好きな科目をちゃんと学べる方を選ぶことをお勧めします。得意不得意にかかわらず、大学入試で合格するには長い時間勉強しなければなりません。そのとき、少しでも好きな教科を選んだ方が精神的にとても良いです。

自分の適正・得意科目から選ぶ

この記事をここまで読んで、文理選択をまじめに考えてくれている人は、きっと大学受験をすると思います。そうなれば、文系理系によって受験科目が異なるため、自分の得意科目を使える方を選ぶのも一つの手です。今苦手な科目を、苦手意識を持ちながら受験勉強し続けるのはなかなか辛いものです。できるだけ得意科目で受験した方が勉強が長続きします。

しかし、「できる」ことと「やりたい」ことは必ずしも一致しないので、できれば「できるからやる」よりも「やりたいからやる」を選ぶことを強くお勧めします。

「数学が苦手だから文系」は良くない

よくありがちな選択として、「数学が苦手だから文系」のように、苦手な科目から逃げるように文理選択をする人がいます。しかし、これはあまり推奨できません。なぜなら、大学に行けば結局苦手科目も使うからです。例えば文系では、経済学などではその大部分が統計学という数学の一分野でできており、数学ができなければ到底理解できません。

東大生達が文系理系を選択した理由

東大生たちは実際どのような基準で文系理系を選択したのでしょうか?

後述しますが、東大には入学時点で文理選択はあるものの、専攻する学部は決まっていません。そのため、何か勉強したい学問で決めたというよりも、自分の好きな科目が理系よりか文系よりかで決めている人が多かったです。得意科目で選んでいる人もいましたが、結局は得意科目と好きな科目が一致している場合がほとんどでした。

一方で、もともと学びたい学問を決めているひともいました。そういった人は、学部が決まる前から自分の好きなことを自分の力で勉強し、前のめりに勉強して大学でも活躍している人もいました。

どうしてて決められなければ、一旦東大へ

高校の間で文系理系や自分の専攻する分野を決めれない場合、東大をはじめとする一部の大学では入学後に学部を決められる制度があります。

東大では、入学時点で文理選択をする必要はあるものの、実際に専攻する学部を決めるのは2年生の夏になっています(推薦生を除く)。そのため、他大学よりも文転(理系の人が文系学部に行くこと)・理転(文系の人が理系学部に行くこと)がやりやすくなっています。どうしても決められない人は、一度仮決めしておいて、大学の制度に頼ることもできます。

文系理系の垣根を超えた学部

他にも、最後まで文理選択をしなくていい大学や学部も存在します。途中で述べたように、最近は文系理系の両方に通じる研究も進められており、文系理系の方を取り払った「文理融合型」の学部が増えています。東京大学でも、教養学部学祭科学科という学科が文理融合型として設けられており、新たなトレンドとして様々な大学に広がってきています。

まとめ

今回は理系と文系の違い、そしてどのように選択すればいいのかを紹介しました。

何度も言いますが、文系と理系の選択は、将来に関わる重要な選択です。是非いろんな情報を調べて、自分とよく向き合った上で決めてもらいたいです。

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この記事を書いた人

教育事業や出版事業での取り組みを様々な媒体を通して発信しています。自社メディア「カルペディア」では、「人生を”ちょっと”前のめりに」をテーマに、教育・学習を取り巻く様々な疑問・関心について記事を掲載しています。

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