勉強の強い味方、参考書。しかし、いざ参考書を買いに書店にいくと、その数の多さに圧倒され、どれを選べばいいのか困惑してしまうという方も多いのではないでしょうか。今回は、理系の学生に向けて、東大生へのアンケートの結果をもとに参考書の中から選び抜かれた良書をご紹介いたします!
参考書えらびのおきて
参考書は、その活用のしかた次第で、勉強の味方にもなれば、落とし穴になりえます。ここでは、参考書を選ぶ際の落とし穴について説明していきます。
まずは手元にある参考書から始めよう
最もよくある落とし穴が、勉強を始める前にいきなり参考書を大量に買って満足してしまうことです。人によっては、手元にある教材ではやる気が出ない!という人もいるかもしれません。しかし、参考書も一度買ってしまえば、時間がたつにつれて「手元の教材」の中の一冊の仲間入りしてしまいます。すると、せっかくモチベーションアップのために買った参考書でも、結局やる気がでなくなってしまいかねません。
そこで、まずは教科書やワークなど学校指定の教材を使って、とにかく勉強を始めましょう。模試や定期試験も、既習内容を復習するにはとても有益な教材です。すでに手元にある教材から、まずは手探りでも勉強をしてみることが大切です。この手探りの勉強が、実は自分にあった参考書選びの第一歩となります。
やる気の出し方については、こちらの記事を参考にしてみてください!→https://carpe-di-em.jp/media/944#index_id10
自分が欲しい機能・特徴をつかもう
参考書選びにおける二つ目の落とし穴は、とりあえず人気のある参考書を買うことです。確かに、人気のある参考書は一般に使いやすいことが多いですが、必ずしも自分に合ったものとは限りません。それでは、どうすれば自分にぴったりの参考書を見つけることができるのでしょうか。
自分に最適の参考書を選ぶ鍵は、自己分析にあります。そして、そのときの道しるべとなるのが、先述した手元の教材を使った勉強です。手探りで勉強していたときに使っていた教材をひとつひとつ振り返ってみましょう。「このような機能があればよかったな。」「あのページは使いやすかったな。」「解答解説がもっと丁寧だといいな。」といったように、それぞれの教材の使いやすかったところと使いにくかったところを思いつく限りリストアップしてみましょう。リストにあがった特徴をもっている参考書が、自分にとって理想の参考書なのです。
参考書は数ではなく質で
リストができあがったら、いざ参考書を買いに書店に行ってみましょう。しかし、ここでも一つ注意すべきことがあります。本棚に並べられたさまざまな参考書を目前に、ついついあれもこれも欲しくなってしまいがちですが、勢いでたくさん買ってしまってはいけません。
参考書は、買って手元にたくさん並べるだけで「勉強をしている!」という気になってしまうことがあります。しかし、あれもこれも手を出していると、体系的な勉強がなかなかできず、結局どこまで勉強が進んだのかわからなくなってしまいかねません。参考書に限らず、どの教材も何度も何度も繰り返し復習することで、内容が定着し学力が身に着くものです。
まずはお気に入りのものを一冊購入し、それを何周もしながら使い込んだうえで、次の参考書に手を出すことが鉄則です。
国語・数学・英語
ここからは、東大生が高校生や受験期のときにつかっていたおすすめの参考書を紹介していきます。それぞれの特徴を読んで、自分に合うものを見つけていってくださいね。
国語
入試現代文へのアクセス(河合出版)
現代文の参考書は、他の教科に比べて限られており、なかなか自分に合ったものをみつけるのが難しいと感じるかもしれません。その点、このシリーズは、基本編・発展編・完成編の3つに分かれており、幅広いレベルに対応している良書です。基本編では文章の読み方の基礎を扱い、発展編ではその応用を練習し、そして完成編では共通テストで8~9割くらいの点数が安定して取れるレベルまで到達できるような構造となっています。問題で出てくる文章も良質で、解説では本文中のキーワードについて深堀した説明があるため、ひとつひとつの文章から多くのことが学べます。
わかる読める解ける古文単語330(いいずな書店)
古文読解では、単語の暗記が重要な鍵を握ります。しかし、多くの古文単語は多義語であるため、覚えるのに苦労する人も多いのではないでしょうか。こちらの単語帳は、各単語のもつ意味をそれぞれ頻出度合いによって色分けしているため、どの意味から覚えていけばよいかがわかりやすいつくりになっています。例文は、実際の入試でもよく使われる古文から引用されているため、実用性も高いです。
漢文早覚え速答法(漢文総合)
読み物のように楽しく学びながら、漢字や句形を覚えることができる漢文の参考書。網羅的であるため、漢文の基礎を身に着けるにはこれ一冊で十分でしょう。ただ、効率よく漢文の基礎を理解することに重きを置いているため、より深く漢文を理解したい人には少し物足りないかもしれません。
数学
Focus Gold シリーズ(啓林館)
こちらの問題集は、基礎から応用まで仕上げるのに最適な一冊です。問題が、星の数(最大4つ)でレベル分けされているので、自分の志望校などに応じて進め方を工夫することができます。確実に数学の力をつけるためには、何周も繰り返し解きなおすことがおすすめです。各単元の最後には、step up問題という難問がいくつか用意されているので、応用問題の演習にも取り組むことができます。
ハイレベル数学Ⅲの完全攻略(駿台文庫)
こちらは、一通り基礎的な内容が仕上がった段階で取り組みたい中上級レベルの問題集です。1問1問比較的丁寧な解説があるため、問題を解いてから解説を読み、解説の中にある類題を解くというサイクルで取り組むとよいでしょう。特に、夏休みを活用して数学に磨きをかけたい人には、おすすめの良書です。
英語
英単語ターゲット1900(旺文社)
ご存知の通り、英単語の習得は、英語学習において大変重要です。こちらの単語帳は、100単語1セクションになっているため、暗記する際に区切りやすいのが特徴です。おすすめの暗記法としては、「返し縫い暗記法」です。1ページ暗記したら1ページ戻ってテストします。次は、2ページ進んで暗記し、1ページ戻ってテストします。これを繰り返しながら進めていきます。基礎的な単語が網羅されているため、1冊目の単語帳には最適です。
東大英単語熟語 鉄壁(鉄緑会)
こちらは、難関大学をめざす受験生の相棒といっても過言ではない英単語帳。これ一冊で、基本的には全国どの大学の受験にも対応することができます。単語を分解して、同じ意味の幹を持つ単語をまとめて紹介しており、体系的に単語を理解しながら覚えることができることが特徴です。非常に網羅的ですが、かなり難易度の高い単語をそろえてあるため、難関大学志望者向けといえるでしょう。
基礎英文解釈の技術100(桐原書店)
こちらは、基礎編と発展編に分かれており、基礎編は100個、発展編は120個のセクションがあります。各セクションのはじめに英語の文章が抜粋されており、構文をもとにその文章を読み解いていきます。論理的に英文を解釈する力が身に着くような設計になっており、和訳の練習にも有効です。こちらの問題集と平行して長文問題にも取り組めば、実践しながら論理的に英文を読む力を身に着けることができます。
理科
物理
物理のエッセンス シリーズ(河合出版)
物理学の基礎から丁寧に解説してくれる、初学者向けの一冊。教科書や授業で習った知識が、セクションごとに整合的にまとめられています。これ1冊で定期テストにも対応できるでしょう。応用力をつけるには物足りないかもしれませんが、模試前の知識の確認にはぴったりでしょう。
漆原晃の物理解法研究(角川出版)
こちらの参考書は、ほかの物理の参考書に比べて「この性質、本当にわかっている?」と問うてくる本質的な問題がつまっています。問題数は少ないですが、とても詳細でわかりやすい解説がついております。また、小さく書かれているコラムにも重要なことが書かれているので、目を通しておくことがおすすめです。基礎的な内容がある程度出来上がった人であれば、さらに理解を深めることができるでしょう。
化学
鎌田の理論化学の講義(旺文社)
こちらの化学の参考書では、教科書から得られる表面的な理解だけでなく、根本的な理解も深めることができます。「なぜこのような反応が起こるのか」「なぜこういう動きになるのか」が詳しく解説されているため、他の反応などの理解にも応用することができます。また、別冊付録には、単語帳のような形で入試に必要な化学の知識が整理されているため、暗記にも非常に役にたつ構成になっています。本冊で理解を深め、別冊で知識を定着していけば、効率よく学習を進めていけるでしょう。
化学の新演習(三省堂)
こちらは、一通り基礎的な学習が仕上がった人向けの難しめの問題集となります。旧帝国大学レベルの大学を目指す人が、二次試験の対策に向けて、過去問を解く前に取り組みたい一冊です。基本的な事項を問う小問もありますが、既知の情報を組み合わせて解く応用問題もバランスよく配置されており、着実に化学の力を高めてくれる設計となっています。また、解答解説も丁寧にわかりやすく記載されています。問題数が非常に多いため、苦手分野の補強など、自分のニーズに応じて取捨選択しながら解いていくのもよいでしょう。
生物
生物合格77講(東進)
こちらは、教科書の理解を促すために最適な参考書です。教科書は、一冊で必要な情報をすべて網羅しなければならないということもあり、どうしても説明が簡略的になってしまう部分があります。その点、こちらの参考書では、断片的な知識に背景知識が加わることで、体系的に内容をインプットすることができます。基本的な知識を深堀する問題が多く扱われており、より深い知識を身に着けることに適した一冊です。
まとめ
参考書選びはなかなか時間がかかりますが、勉強の楽しみの一つでもあるかと思います。文系編では、国語や英語の難しめの参考書も紹介しているので、そちらも参考にしながら自分にぴったりの一冊を見つけてみてください。
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