薬学部は何を勉強するところ?〜現役薬学部生が伝える薬学部の全て〜

薬学部に興味があるけど実際に何を勉強するのかよくわからない…

そう思っている人も多いのではないでしょうか。この記事では、薬学部で学ぶことをはじめとして、薬科大学の特徴や研究内容、卒業後の進路までさまざまなことを取り上げました。進路選択で悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

薬学部とは?

薬学部というと、薬剤師になるための学部と思っている人が多いのではないでしょうか。その認識も間違っているとはいえませんが、薬学には、薬剤師の養成と研究者の養成という二面を持っています。一般に薬剤師になりたい人は六年制、研究者になりたい人は四年制の薬学部に通うことになります。こういった学科の分類については後ほど詳しく解説します。

薬学部で学ぶこと

薬学とはどのような学問なのでしょうか。簡単にいうと薬に関するあらゆることを学び、研究する学問です。その中でも二つの学問分野に分けられます。

 基礎薬学

一つ目は基礎薬学です。これは薬の作用の理解、そして新薬の開発を主に行います。医薬品の体内動態(体内でどのくらいの時間をかけてどこに作用するか)を調べたり、副作用の程度、その医薬品による考えうる被害などを調べます。

医療薬学・臨床薬学・社会薬学

二つ目は医療薬学・臨床薬学・社会薬学です。こちらは薬を新しく作るというよりは、薬を正しく扱うための方法を確立するためのものです。例えば薬剤師は薬に対する最終責任を負うことが多いため、あらゆる面から薬の特徴を把握しておくことが必要なのです。

これらの学問分野をまんべんなく学び、自分の研究内容を決定していきます。

薬学部にはどんな種類がある?

一言で薬学部といってもその種類はさまざまです。大学の形態別、学科の形態別にその種類をみていきましょう。

総合大学と薬科大学

まず、総合大学に通うか、薬科大学に通うか決めなくてはいけません。

薬科大学とは薬学に特化した単科大学で、その大学には薬学部しかないことになります。薬学を学びたい人が集まるのでモチベーションの維持ができるほか、研究設備も充実しているという特徴があります。しかし薬学部のみなので全体としての人数は少なく、学部を超えた友人ができにくかったりサークルや一般教養の科目が少ないというデメリットもあります。

一方で総合大学とは薬学部以外の学部も存在する大学のことです。他の学部と同じキャンパスで勉強することもあるため、人脈が広がったり共同研究をしやすい、サークルが多いなどのメリットがあります。一方で研究設備の投資が遅れたりキャンパス移動があるなどのデメリットもあります。

薬学科と薬科学科

続いて学科の種類についてです。細かく分類するともう少し学科の種類はありますが、今回は主な二つである薬学科と薬科学科についてみていきます。

いわゆる薬学部として想像されるのが薬学科で、薬剤師になるための六年制の学科です。座学や実験、薬局研修などを行いながら国家試験合格のために勉強していきます。なお、薬剤師国家試験の受験資格は薬学科を卒業しないと受けることができません。

一方で創薬研究者の養成に力を入れた四年制の学科を薬科学科と言います。この学科では薬剤師国家試験受験資格は得られませんが、九割以上の学生が卒業後研究の道に進むといわれています。

薬学部で学ぶこと

では具体的にどのような授業があるのでしょうか。学部生のときに学ぶことをベースに、研究系統ごとに分類しました。

主な授業内容

薬学は簡単にいうと薬に関するあらゆることを学び、研究する学問で、基礎薬学と医療薬学・臨床薬学・社会薬学という2つの分野に大別されます。基礎薬学ではいわゆる創薬の勉強をし、医療薬学などでは実際に医薬品にどのくらい効果があり、どのくらい害を及ぼす可能性があるかなどを学びます。そちらの分野でも科学と生物学をベースとしており、授業内容に実験が多く組み込まれていることも大きな特徴の一つです。

研究系統:製薬学

ここからは研究内容を四つの系統に分けて解説していきます。分け方は学校や考え方によって異なるのであくまで参考としてください。

まず一つ目は製薬学です。製薬学とはその名の通り製薬について勉強する学問で、新薬の開発や効率的な薬の生産方法などを明らかにする学問です。薬に正面から向き合う学問と言えるでしょう。

研究系統:医療薬学

続いては医療薬学です。これは製薬学よりは臨床の要素が強く、薬がどのように病気に効き、どのような副作用があるかを明らかにする学問です。臨床実験では医師免許が必要なものもあるので、医学部と連携をとって研究を進めていくことも多いです。

研究系統:衛生薬学

衛生薬学は医薬品をはじめ食品添加物などの人体への影響を明らかにする学問です。社会活動を通して人に摂取、吸収される物質によって健康に被害が及ぶことを防ぐことを目的にしています。

研究系統:生物薬学

微生物などの生物を医薬品に応用しようとするのが生物薬学です。ワクチンなどの医薬品に応用されることが多いです。

薬学部生の卒業後の進路

薬学部生は全員が薬剤師になると思っている人も多いのではないでしょうか。もちろん、薬剤師なる人は多いですが、その他にもいろいろなところで活躍しています。今回は薬学部卒業後の主な進路について紹介します。

薬剤師

薬学科卒業生の中で、やはり最も多いのは薬剤師です。薬局や病院の薬剤師として、目の前の患者さんに薬を処方することにやりがいを感じる人は多いです。

大学院進学

近年増えているのがそのまま大学院に進む学生です。特に四年制の薬科学科卒業の学生はそのまま研究をすることが多いほか、大学院で規定の実務実習を受ければ薬剤師国家試験の受験資格を得られることも人気の理由の一つです。また企業研究員として大学院相当資格が求められることも多いため、人気が出ているとも言えます。

企業の研究・開発員

薬科学科卒業の学生に多いのが、企業に就職して研究開発員になることです。製薬会社に就職すると新薬の研究開発に携わることができます。また化学・食品・化粧品などの企業では新製品の開発に関わることになります。

その他

そのほかに人気の就職先として公務員やMR(医薬情報担当者)などが挙げられます。公務員としては、国の薬事行政に関わる国家公務員や保健所の職員などさまざまです。MRとは医薬情報を医師や薬剤師に提供する仕事のことで、いわゆる営業業務を担います。

まとめ

いかがでしたか。薬学部と言ってもその対象や目的によって勉強する内容や研究が大きく異なってきます。卒業後の進路もさまざまなものがあるので、ぜひこの記事を参考にキャリアプランを立ててみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

東京大学で薬学や心理学を中心に勉強しています。高校時代に発達障害の方とその支援者を中心に様々な人と関わってきた経験があり、人と話しその人の人生を知るのが好き。ボカロとお笑いが大好き。

目次