東京大学といえば、日本最難関の大学。そこに通う学生の多くは、小さなころから塾通いをして名門中高を通ってきた、いわゆる「エリート」たちです。
しかし、まったくエリートらしからぬ道筋をたどって東大に合格した学生もいます。ここでは、元落ちこぼれや休学経験者など、「普通の東大生」ではない道を辿って東大へ入学した、みなさんの知らない「リアルな東大生」の姿をお届けします。
大学での研究について
今回お話を伺うのは、現役東大生で哲学の研究をしている鈴木優斗さん(仮名)。彼が大学でどのような研究をしているのかを伺っていきます。
「大学では哲学を専攻しています。特に、英米哲学で、19~20世紀のプラグマティズムを研究中です。プラグマティズムとは『実験主義』とも呼ばれています。ある真理や理論を信じて行動するのではなく、実際に行動した結果から真理を見つけ出す考えをいいます。特に、ネオプラグマティズムと呼ばれる一派は、『真理は真理なのではなく、まだ訂正されていない信念なのだ』と考えるんです。ちょっと難しいですが、社会的な事情によって変化し続けることを織り込んだ面白い考え方ですよね」
たとえば「人を殺してはいけない」と命題を立てたとして、プラグマティズム的にはこれは真理とはいいません。これがもとから正しい考え方なのではなく、いったんそうした仮定を置いて、うまくいくか試してみる。そうしてうまくいったなら、新しい信念として「正しそうなこと」認定する。
これは画期的な考えでありながら、一方で相対主義に陥る危険性もあります。相対主義とは、ざっくりいうと「人それぞれでいいんじゃないか」とする考え方。「人生人それぞれ」といえば聞こえはいいですが、これは「では人を殺しても人それぞれで済ませるのか?」と批判されます。
バランス感覚が重要な、大変危うい考え方です。
プラグマティズムについて
どうして彼はプラグマティズムに傾倒したのでしょうか。
「1年生のころはコロナが直撃して、家でじっとしていました。ひきこもって本ばかり読んでいる日々に、だんだん頭がおかしくなっていきます。鬱っぽくなって精神がおかしくなっていく中で、たまたま読んだ本が僕の考えていることと全く同じことを指摘していたんです。哲学の本でした。僕の考えていることは、普通に考えたら世間一般からは受け入れられないような考えなのに、そうした考えでも哲学の世界なら受け入れてもらえる。それが、たまらなく面白く思えたんです」
哲学は、考える世界で完結します。だからこそ、なんでもできるし、応用もきく、大変自由な学問です。いまはネットが発達して、なんでもインスタントな答えが出てきます。だからこそ、考えることが難しい。そんな時代に、自分の主観を入れないままで、いろいろな特徴を捨象して抽象化していく過程が面白いのだそうです。
例えば「親とは何か?」「家族とは何だろう?」つらい環境に置かれた人なら、だれでも考えることですが、哲学ならこれを追求し続けることができます。
考え続けて自分の中の問いに答えを出せるのが、哲学の強み。だからこそ、自分の中の疑問から逃げずに、彼は今日も難題に立ち向かうのです。
将来について
最後に、彼の将来について伺いました。
「いまは目の前のことで精いっぱいです。考えることが楽しいって言っても、腹は減りますし、学ぶためにはお金も必要。進路も決まっていない自分には、まず目の前の課題を片付け続けることしか考えられません。
ただ、これからどうなるにしても、どんな手段をとっても哲学の研究はしていきたいと考えています。お金がなくて大学に進学できない人たちに対して話をする活動をしていたんですが、時には自分の中で思ってもいないことを本当のことかのように話さなくてはいけない場面もありました。
うそを言ってでも人を救うって、矛盾しています。でも、どう矛盾しているのか。どうすれば解消できるのか。これに答えを出したいんです。そうして考え続けて出てきた答えを、何かの媒体で世間に発表したい。
ただ、そのためにはお金も地位も必要です。だから、野望を達成するために、まずは日々の糧を紡いでいきたいと考えています」
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