【衆院選2024】東大生が考察!選挙には行くべき?

突然ですが皆さん、選挙行ってますか?

いよいよ明日は衆院選の投開票日。国民の権利として18歳以上の人に与えられた選挙権を行使する貴重なタイミングです。

期日前投票などを活用して、忙しい中でも投票に行く方もいれば、「選挙に行くのは正直めんどくさい」「行っても意味ない気がする」という方もいるでしょう。

実際、日本では、選挙のたびに投票率の低さが問題になっています。前回、2021年に実施された衆院選の投票率は55.93%で、20~24歳に限ると、33.64%でした。

では、どうやったら人々は投票しに行くんでしょうか? または、そもそも投票なんてする必要がないのでしょうか?

今回は、東大生が選挙やそこでの投票についてどう考えているか、その意見を一部ご紹介します。

目次

やっぱり選挙には行くべき!

まずあったのは、「選挙にはちゃんと行ったほうがいいよね」という意見です。

・30代以下の投票率が50%を切っているのはさすがに低すぎる

・「なんとなく今の政治ではダメだと思う」と感じているなら、与党(自民と公明)以外のどこかに入れるだけでも立派な意思表示

・若者が投票しないことに味を占めて政治家が好き勝手した結果、巡り巡って学費値上げや研究費不足につながっているのではないか

という意見がありました。若者が声を上げないと変わらない、という意識が背景にあるようですね。
他にも、

・特定の政治信条があるというわけでもなく、行事に参加してる気分身近な大人(親)が当然行くでしょ、ってノリだったから自分も行くようになった

・個人の目線で「なぜ行った方が良いか」を説明するのは難しく、だからこそ「行って当然である」という価値観を育てることが大切

など、明確な主張こそなくても、とりあえず行くというだけでもいいのでは、という意見もありました。

私自身、特に選挙権を得てすぐの頃は、正直言って各政党の候補が何を主張しているのか、よく分かっていませんでした(恥ずかしながら、今でもわからないことだらけです……)。そんなときでも、周りの大人や熱心な友人に刺激される形で、「とにかく選挙に行こう」とは思っていて、投票していました。特に若年層の場合、投票率を向上させて、政治家たちに「彼らもちゃんと選挙で意見を表明しようとしている」と思わせるだけでも、十分な意義があるといえるかもしれません。

どうやって投票先を決めたらいいかわからない、という人には、

・公約を見てもピンとこない、項目が多すぎるという場合は、経済政策と外交(国防)など、重要だと思う点だけでも確認してみるのがいいのでは

などとおすすめする意見もありました。

若者は選挙に行くべきではない!?

逆に、若者は選挙に行く必要がない、と大胆な主張をする人もいました。

・若者が選挙を通じて意見表明をしたところで、若者の望む政治が実現されるわけではないということは事実

という意見で、この背景には、そもそも若年層の人口が少ないことなどがあると思われます。関連して、

・若年層以外の人口ボリュームがあまりにも多いため、現状、若者が選挙に行く意味はほとんどないのではないか。そこで、年代ブロック制の比例代表や年代別選挙区(例えば20代だけが投票できる選挙区から何人当選します、みたいな)を導入すべき

という意見もありました。

ここまで見ると、そもそも今の制度では選挙に行く必要がないということになり、そこから政治参加自体ができない・意味がないという話にもなりそうです。しかし、冒頭で大胆な主張を紹介した人は、政治参加自体に意味がないと言っているわけではありませんでした。むしろ、

・若者が政治を変えたいと思うのであれば、選挙外にて高齢者などの有権者に働きがけをするのが良い

・政治家の支持母体となり得る組織団体や若年層以外の人々の判断を揺らがすほど、選挙外で若者の意見をぶつけることが有効

という意見です。

私自身は、選挙で投票することそのものは、やはり重要なものだと考えています。しかし、「選挙に行こう」「選挙は政治参加の機会だ」というメッセージを強く打ち出しすぎると、あたかも選挙だけが政治参加の手段・機会のようになってしまい、それ以外のチャンスが見過ごされてしまいかねないとも思っています。

選挙は、あくまで一つの手段に過ぎません。政治とは、私たちの日々の生活全てに関わるものであり、政治家も、人々の生活と日々向き合っている(はずな)のです。選挙のときに限らず、日々政治家やそれに関係する人々に働きかけていくこと、いわゆるロビイング活動は、ハードルこそ高く見えますが、非常に重要だと考えています。

ちなみに、2020年度の東大法学部の推薦入試では、以下のような問題が出題されました。

選挙人が投票しないことに対して罰則を設けるオーストラリアのような選挙制度について、あなたはどう考えますか。単に賛成か、反対かを述べるだけではなく、十分な根拠をあげて評価してください。その上で、日本において投票率が低いという状況に対処する施策はいかにあるべきかを議論してください。

投票に行くべきか、半強制的にでも行かせるべきか、ということは、東大が問題として問うほど難しい問題です。みなさんも、この機会にぜひ考えてみてください。

政治家の汚職問題にどう向き合うか?

具体的な政策の内容についても、意見がありました。たとえば、政治家の汚職問題との向き合い方についてです。

・いつまでも汚職問題を扱っているのはどうなのか

・人々の生活が国民世論として政治とカネの問題が取り上げられやすいが、それは国民の不満を政治というわかりやすい非難対象にぶつけているだけで、望ましくない

という意見がある一方で、

・いつまでも汚職問題が出てくる政党はそもそもおかしく、信用できない

・野党は、国会審議等以外で争える場所が限られている以上、そこで議論することになるのは仕方ない

・特定団体との癒着回避等という合理的理由のもとに作られた、既存の政治資金規制に関するルールは守るべき

という意見もありました。

このあたりは、そもそも政治家がどれくらいお金をもらうべきか、という話にも関わってきますね。それについては、

・政治家が多すぎるとか、政治家の収入が多すぎるといった意見を目にすることがあるが、それは感情論が過ぎる

・むしろ、世襲の政治家以外で優秀な人材を確保していくためには、政治的なリスクを背負ってでも政治分野に入りたいと思わせるだけのインセンティブ設定が必要

という意見がありました。個人的にも、政治家になることの金銭的なメリットが小さいと、優秀な人が政治家を避けてしまい、かえってマイナスな結果になると考えています。ただし、政治家がどれくらいお金をもらうべきかという話と、ルールに基づかない裏金をどこまで厳しく規制するかという話は、本来区別されるべきです。そこを冷静に考えられるかは、一つ重要なポイントでしょう。

そもそも選挙制度はどうあるべき?

現状の選挙制度そのものに対する問題意識を示す人もいました。すなわち、

・参議院比例の場合は50位まで当選するが、衆議院比例の場合は、最も多くて28位(近畿ブロック)、最も少ないとは6位(四国ブロック)までしか当選しない。この結果、衆議院で議席獲得に必要な最低得票率は3.1%(近畿ブロック)、10.1%(四国ブロック)ということになり、小規模政党にとても不利な選挙システムである。

というものです。どんな選挙制度がいいか、ということについては、大学の政治学の授業でも勉強することになります。興味がある人は、ぜひ大学で勉強したり、入門的な書籍を呼んだりしてみてください。

いかがでしたか? この記事が、みなさんが選挙や政治について考える切っ掛けとなっていれば幸いです。

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この記事を書いた人

現役時、進路を見つめ直した結果、センター試験の2日後に突然東大受験を決意。1浪の末東大へ合格し、現在は法学を専攻。法律の文章や日々の雑談を含め、「ことば」と向き合うのが好き。趣味はお昼寝。

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