【カルペ・ディエム書評コンテスト入賞作品】
本記事は、金沢高校3年生の亀田さんが『ミクロ経済学の力』
(著;神取道宏、出版社:日本評論社)について、書評したものを、原文まま掲載しております。(改行のみ、編集部にて適宜を加えさせていただきました)
自分は常々、なぜ日本の政治議論は、経済学的・数理に基づくモデルを導入した会話が行われないのかと疑問に思っていた。
最近でも衆議院選挙の影響から、「103万円の壁」が話題になっており、それに対して「7兆円の減収」といったことが叫ばれている。が、それは基本的には、経済学的な理論に基づいて議論されるべきなのではないか。103万円の壁を撤廃することがどのような効果があるのか、7兆円の減収によって日本国民の経済はどのように変わっていくと考えることができるのか、数理モデルを用いて議論されていないのは一体どうしてなのか、と。
一部の政治家の言葉や、一部の国民の言葉を聞いて、自分は経済学を用いずに勝手なことを言っているような印象を受けた。経済学は難しいものであるため、経済学的なアプローチを無視してしばしば議論が進展しがちである。が、本当に必要なのは、全員が経済学的な知見を得た上で、議論をすることではないか。そうではないと、議論は空中戦になってしまい、意味のないものになってしまう。
本書、『ミクロ経済の力』は、神取道宏氏によって書かれたミクロ経済学の入門書であり、経済学の基本的な概念や理論を分かりやすく解説している。市場メカニズムの理論と現代経済学の先鋒であるゲーム理論を用いて、実際に行われていた政策をどう評価するのかについて、高校生の自分にもわかりやすく伝えてくれていた。
そして、その中で一貫して伝えられていることは、「経済学的に物事を考えることの重要性」であった。
当たり前のように考えているようなことでも、それが本当に当たり前の事実なのかはわからない。きちんと数学的に説明できないのであれば、それは全く明らかな事実ではない。
本書では、当たり前の事実として自分が考えていたようなことが、「当たり前」としてではなく「数理モデルに基づいて」説明可能なものであるのかを検証されていた。
それはまさに、自分が求めていたものであり、本書を読んで、「経済学的という学問」は日本のこれからの政治議論において本当に必要になってくるものなのではないかということを強く感じた。
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