TBS日曜劇場『御上先生』特別イベントが、2月8日に開催されました。『御上先生』は、国内外で様々な議論がなされてきた教育制度と教育現場の現状を、「考える」ことをテーマに据え、官僚教師と生徒の対話を通じた成長を描く新たな学園ドラマです。
本イベントでは、「『御上先生』vs現場の先生」というテーマで、公立・私立の高校、中学校から、地域も都市部から地方まで幅広い学校の現場の先生方をお招きし、『御上先生』に登場するテーマからピックアップした8つの問いについて意見が交わされました。
この記事では、イベントの模様についてご紹介いたします。（全3回）
学習指導要領は重要か
第3話では『御上先生』に登場する東雲温のお父さんが、中学校の教員だったが、教科書を使わず独自の教材だけを使っていたことでクビになってしまったエピソードが描かれます。これは本当に悪いことなのでしょうか？
蓮田市立平野中学校の校長先生でもある松島先生は、「もっとこうしたい」と思っても勝手なことが言えない、教科書にそってやんなきゃいけないという難しさはある。と話しました。
奈良県育英西中学校・高等学校で国語を担当している山本先生は、私立の学校なので着任当時は正直あまり学習指導要領を意識していなかったとしつつも、学校で国際バカロレアを導入した際に、「本来受けるべき日本の中学校教育は保障されるのか」という保護者の不安を感じたと話しました。
独自教材はどんどん使うけど、教科書にも素敵な教材はあるので、保護者の安心感を兼ねて、両方どこまで混ぜて使うかに難しさがあるようです。
学校スローガンの意義の見直し
第3話で登場する「学校スローガン」。クラスで設けられるスローガンは教員も実行できているのでしょうか？
先生たちからは「実行できていない」という声が多く、先生も生徒も実行できている人と、できていない人でばらつきがある、日々意識している人はほどんどいないという意見が出ました。
また前橋南高校の星野教頭は、スチューデント・エージェンシーへの取り組みについて話しました。生徒主体で、先生と戦うといった構図も時には出ているが、自分たちの考えを貫く方策を考えるということができている状態が出来上がっているそうです。
最後に西岡は「自分ごと化」について話します。クラス・学年・教科などの枠組みに縛られているから、スローガンを自分ごとできていない側面がある。その学校の生徒であれば全員に関係があることであるのだから、「関係ない」という考え方を変えることが大切だと語りました。
エリート教育とは
最後は先生同士でグループを組み「あなたにとってエリート教育とは？」をテーマに話し合いを行いました。各グループで話し合いが進む中、下記のような意見が出されました。
「周りの人たちに影響を与えられること」
「クリエイティブマインドをベースに、自分の弱さを認め、支え合えることである」
「教育界隈の考えるエリートと、保護者の考えるエリートは異なっている。社会的ステータスなのか、周りを巻き込む力なのか、エリートの定義から捉え直す必要がある」
「 エリートは全体の一部ではなく、母体をどことするかという考え方もできる。金融界のエリート、教育界のエリート、もっといえば給食のエリートなど、どのセクションにおいてかも意識する必要がある」
最後に
西岡は次のように話しました。「御上先生では、いろいろな問題提起を行なっているので「議論が起こって欲しい」という想いがあります。答えはなくても構わないので、考えるということを、子どもも大人も実践するようなきっかけ作りになって欲しい」
