不登校の子どものための「第二の学校」:フリースクールの特徴と選び方を徹底解説!

いじめられている、勉強についていけない、先生とそりが合わない……様々な理由で学校に行けなくなってしまった子どもたちがいます。自分の子どもが不登校になってしまって、学校の代わりの施設を探していらっしゃる親御さんも多いのではないでしょうか。

不登校の生徒は年々増えていて、それに伴ってそんな子どもたちを支援する施設も増えつつあります。その筆頭が「フリースクール」です。今回は、フリースクールとはどんな施設なのか、メリットデメリットと合わせて、現役東大生ライター碓氷明日香が詳しく説明していきます!

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フリースクールとは?

フリースクールは、不登校の子どもたちにとって安心できる居場所になってくれる「第二の学校」です。様々な理由で学校に行けなくなってしまった子どもたちが、小中高校の代わりに通います。

では、どんな場所なのか、さらに詳しく見ていきましょう。

フリースクールの運営団体と主な目的

フリースクールは民間の団体が運営しています。その団体の活動理念に沿った教育が行われているため、スクールごとにできることは様々です。

ですが、その目的は一貫していて、「子どもたちひとりひとりの自主性を尊重し、社会復帰を支援する」が大きな目的です。

そのため、フリースクールには学校のように厳しい校則やルールはなく、ひとりひとりが自分に合った教育を受けることができます。また、専門家のカウンセリングや、学校に復帰するための支援を行っているスクールも多く、子どもたちが安心して自信を持って羽ばたいていけるように手伝ってくれる場所でもあるのです。

フリースクールの入学資格

フリースクールには基本的に入学資格がありません。学校に行けなくて困っている子どもたちは誰もが対象になります。

スクールによっては、年齢制限がされている場合もあります。一方で、小学生から高校生まで広く受け入れているところもあるので、スクールを選ぶ際はホームページを確認するようにしましょう。

適応指導教室との違い

フリースクールに似た施設に、「適応指導教室(別名:教育支援センター)」というものがあります。適応指導教室とフリースクールは何が違うのでしょうか。

この2つの施設には大きな違いがあり、フリースクールは民間団体が運営しているのに対し、適応指導教室は自治体などが運営している公的な機関です。適応指導教室は費用がかかりませんが、その分フリースクールよりも活動範囲が狭いのが特徴です。

社会に復帰できるように、より様々な支援が受けたいと子どもが考えている場合は、フリースクールがふさわしいでしょう。

サポート校との違い

また、他にも不登校の子どもを支援する場として「サポート校」というものもあります。これはフリースクールとどのような点が異なるのでしょうか。

フリースクールもサポート校も、どちらも民間団体が運営している施設ですが、対象としている生徒層が違います。サポート校は、通信制高校に通っている生徒の支援を主な目的としているところが多く、そのため、「中学校卒業者」「通信制高校在籍」などの入学資格が存在しているのです。

一方、前述の通り、フリースクールには入学資格が基本的にはありません。学習面のサポートか、精神面のサポートか、という大きな違いが2つの施設の間にはあるのです。受けたい支援と提供してもらえる支援を照らし合わせて、どちらがより子どもに合っているか考えて選ぶことをお勧めします。

フリースクールに通うメリット

では、フリースクールに通うことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

学校との連携で出席扱いにしてもらえる

まず、フリースクールに通った日を、在籍している学校の出席日数としてカウントしてくれる可能性があります。

不登校の大きな懸念点は、出席日数が足りず、進級・卒業が難しくなることだと思いますが、それが解決できるかもしれないのです。これは非常に大きなメリットでしょう。

義務教育段階の生徒は、フリースクールに通うことになったとしても、元の学校に籍は置いたままになります。文部科学省によると、小中学生は次の条件を満たすことで、フリースクールへの登校を出席扱いにできるそうです。

・保護者と学校が十分な連携・協力関係にあること

・学校長と教育委員会が適切だと判断した施設であること

・その施設に通って相談や指導を受けていること

・施設での学習の評価を学校側が指導要録に記載し、子ども、保護者、施設に伝えること

(出典:文部科学省)

つまり、学校と連携を取ることによって、出席扱いを認めてくれるかもしれない、というわけです。

居場所を作ることができる

多くの場合、不登校になってしまった子どもたちは学校にも家庭にも居場所がないと孤独を感じています。学校ではうまく馴染めず、家に帰っても、学校に行っていないことで親に迷惑をかけていると考えて、申し訳なさから伸び伸びとできないことが多いのです。

そんな子どもたちに安心できる新たな居場所を提供してくれるのがフリースクールです。似たような境遇の友だちを作ることができたり、親身になってくれる先生と出会えたりと、孤独感を軽減するきっかけになってくれるでしょう。

生徒ひとりひとりが自分に合った学校生活が送れる

フリースクールでは、生徒の自主性を重んじているので、子どもたちは自分に合った学校生活を送ることができます。勉強の遅れを取り戻したい、学校の生活リズムに少しずつ慣れていきたい、新しい環境で友だちを0から作り直したい、そんな子どもたちひとりひとりの希望に応えてくれるのです。

個別指導や少人数指導のスクールが多く、1人の先生が一度に見る生徒の数が少ない分、学校とは違って、ひとりひとりの学習ペースに合わせた指導が行われます。また、校則も緩い場所が多く、風紀を乱さない程度であれば、自由におしゃれをすることもできます。子どもの個性を縛るような教育は基本的にはありません。

時間の縛りがない

不登校の子どもたちの中には、起立性調節障害などの病気で、学校の生活リズムに合わせるのが難しいという人もいることでしょう。そんな子どもたちのために、時間の縛りがないスクールもあります。

何時までに来ないと遅刻、何時までいないと早退、というルールがないため、行きたい日、行きたい時間に自由に登下校することが可能なのです。学習ペースだけでなく、登校スタイルも自分に合わせて確立することができます。

フリースクールに通うデメリット

一方で、フリースクールに通うことのデメリットも存在します。ここでは費用、学習レベル、進路に関するデメリットを挙げています。子どもの意志を尊重しつつ、家計や子どもの将来のことも考えて選ぶ必要があるのです。

費用がかさむ

まず、フリースクールは民間の団体が運営している施設なので、通うのには費用がかかります。

文部科学省によると、入学金の平均が53,000円、1月の授業料の平均が33,000円となっているようです。(出典:文部科学省)

無料で支援を受けられる適応指導教室もあるので、家計と相談しつつ、どこを選ぶのか、子どもと相談することが大切です。

学習レベルが低くなりがち

フリースクールでは、ひとりひとりの学習ペースに合わせて指導をしてくれますが、その分、どうしても学習レベルが低くなりがちです。

学校では細かなカリキュラムが決められていて、それに沿って授業が行われていますが、フリースクールはカリキュラムがないところが多いです。それゆえ、同年代の学校に通っている子どもたちに比べて、深く学ぶことが難しく、また、学習の進度も遅くなってしまいます。本来身につけるべき学力を身につけられない、というデメリットがあるのです。

進路に影響が出る可能性も

また、フリースクールに通うことによって、将来の進路に影響が出る可能性があります。特に高校生ですが、フリースクールだけでは高校卒業資格が得られません。自分で高校卒業程度認定試験(通称:高認)を取る必要があるのです。

就活のサポートもない場所が多く、高卒で就職しようと考えている子どもたちにとっては不利といえるでしょう。

どんなフリースクールがある?

フリースクールには様々な種類があり、子どもにとって精神的な成長の場となるか、負担になるかはスクール選びに影響されます。目的や特徴ごとに主な種類を7つ挙げるので、選ぶ時の参考にしてみてください。

子どもたちの居場所となるスクール

学校で人間関係や学習につまづいてしまって、自己肯定感が下がって悲観的になってしまった子どもたちに、温かい居場所を提供するスクール。学校の復帰よりも、心の回復を優先したい方におすすめです。

学習サポートがメインのスクール

学習についていけなくなってしまった子どもたちに、個人に合ったペースで授業をしてくれるスクール。勉強の遅れを取り戻したり、苦手な科目、単元を重点的に教えてくれます。

学校復帰の支援をしてくれるスクール

学校の生活リズムに徐々に慣れていき、社会性を身につけ、学校に復帰することを支援してくれるスクールです。不登校の原因に合わせて、必要なサポートを提供してくれます。

医療機関や専門家と連携しているスクール

病気が原因で学校に行けなくなってしまった子どもたちに、治療やカウンセリングを施してくれるスクールです。起立性調節障害や転換性障害、うつ病といった精神的な病気に専門的に対応してくれます。

ホームスクーリングがメインのスクール

外に出ることが難しくなってしまった子どもたちのために、スタッフが直接家に出向いてくれるタイプのスクールもあります。オンラインで話したり、授業を受けたりできるスクールも、最近では増えてきているようです。

寮制のスクール

寮に入って共同生活をすることで、協調性や生活スキルを身につけ、社会復帰を目指すスクールです。ネット依存や昼夜逆転などを矯正し、集団生活に慣れることが目的になっています。

独自の教育方針があるスクール

教室がなく、自然の中で授業が行われるスクールや座学よりも体験活動メインのスクールといったように、独自の教育方針があるスクールもあります。やりたいこと、将来の夢がはっきりしている子どもたちにおすすめです。

まとめ

フリースクールについて詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。どのスクールを選ぶにせよ、子どもの意志を尊重することが何よりも大切です。何が原因で学校に行けなくなってしまったのか、子どもの悩みに真剣に耳を傾け、寄り添うことで、どのような支援が必要なのか一緒に考える必要があります。

話し合いを経て、子どもも親も納得できる選択をするためのお役に立てれば幸いです。

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私たちの講師は現役東大生で 偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠をはじめ、地域格差や経済格差などの多様な逆境を乗り越えた講師たちが、生徒の皆さんに寄り添って全力でサポートいたします。

ご質問やご相談だけでも結構ですので、お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

大学では教育学部基礎教育学コース所属。世界史が好きだったことを踏まえ、教育の国ごとによる違いやその歴史に興味を持っている。趣味はアニメ鑑賞、読書。

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