東大生が語る!競技かるたの世界③〜0.1秒で勝負が決まる〜

読手からの音が聞こえるか、聞こえないか。声が発せられたと思った瞬間にその音は聞こえなくなる。

代わりに押し寄せる札と選手の熱気。もう勝負はついていた。。

本シリーズでは、伝統のある競技かるたの世界について紹介します。

3回目の今回は、試合が開始した後に競技かるたがどのように展開していくのかについて詳しく解説していきます。

競技かるたのゲーム性を支える重要な要素も登場しますよ!

※読手:競技かるたの試合中に歌を読む人

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 (前回の記事)

 

目次

暗記時間

 前回の記事で、暗記時間が設けられることを紹介しました。札を自分の好きな位置にお互い並べた上で、その位置を覚えるために15分の時間がとられます。もちろんずっと暗記する選手もいますが、栄養補給をする選手、トイレに行く選手、ストレッチをする選手など、自由に過ごすことができます。大会などで長丁場になってくると仮眠をとっている選手も見られます。

 暗記時間も終盤を迎え、13分が経過した時、異変が起こります。会場内のアナウンスで「試合開始2分前です。」と伝えられると選手が一斉に素振りを始めます。

 実はどの会場でも見ることができるもので、暗記時間の残り時間が2分になると、選手は札をとるイメージをしながら素振りをすることができます。どのように札をとるのかを暗記時間中にイメージしておいて実際に体を動かすことで記憶と結びつけるのです。

 この時間は素振りをしながら畳を叩く選手が多く、「バンっ。バンっ。」と音が聞こえるので、試合開始が近づくのを感じて興奮が少しずつ湧き上がってくるようになります。

試合開始

 暗記時間が終了すると、会場内でアナウンスされます。読手が紹介され試合がいよいよ開始します。この際に、選手は正座したままでお互いに礼をし、その後に詠を読んでくださる読手に対しても正座したままで礼をします。

 競技かるたの目指すべきゴールは自分の前にある札、自陣の札を全て無くすことです。なので、自陣の札をとった時は1枚減る。敵陣の札を取った時には、代わりに敵に1枚好き名札を送ることが出来ます。そうすると自陣は送った札の分で-1、敵は1枚減ったけど1枚送られたから-0となります。

 序歌

 何度か紹介している序歌は、試合開始の合図で選手が礼をしている時から読まれ始めます。これは百人一首の百首には含まれていません。詠の意味はまた今後の記事で紹介していきます!

 なお、試合中に読まれる札は基本的に「前の下の句→次の上の句」の流れで読まれますが、序歌のみ1番最初なので、「上の句→下の句→下の句→次の上の句」と読まれていきます。

 払い

 選手は札をどのようにとるでしょうか。

 通常のかるた遊びであれば、直接札を触らないととることができません。競技かるたでも直接札を触ることで、取りとして認定されます。

しかし、実は競技かるたは直接札を触らなくても取りに認定される場合があるのです。そこで重要になってくるのが、前回お見せした以下の画像です。

この大きさでそれぞれ敵陣と自陣の二つの陣があるのですが、この線で囲われている枠。この枠から外に出した場合にも、取りとして認定されるのです。なお、この線のことを競技線と言います。

「え!?でも触らずにどうやって外に出すの?」そう思いませんでしたか。ここで綺麗に札を並べていることが関係してきます。札をくっつけて並べることで、例えば1番内側のふだを競技戦から出るように払ってあげると、それより外側にあった残りの札が競技線の外に出ていきます。これで、直接触らなくても札を取ることが出来ました。

 一見するとずるいようにも感じるこの払う技術が重要な鍵を握っているのです。

 お手つき

 「あ!お手つきしちゃった!」「お手つきは1回休みね、よしこの間にいっぱいとるぞ〜」こんな記憶はありませんか。遊びのかるたにもお手つきはあります。

競技かるたにも同じようにお手つきがあります。しかしそのペナルティはずっと重いものです。

でも、競技かるたって札をとるのに別の札を触ってしまうのでは?と先ほど思った人もいるのではないでしょうか。そう思った人、鋭いです。

実は競技かるたのルールとして、読まれた札と同じ陣にある札はいくら触っても良いのです。

そもそもお手つきしてしまうケースは2種類あります。

 1つ目は場にはない札を読まれた時です。この時は、どちらの陣か片側の札でも触ってしまった時点で相手から1枚送られます。これで、自分は1枚増えて、相手は1枚減るので2枚差つきます。また、どちらの陣も触ってしまった場合は、相手から2枚送られてしまいます。厳しいですね。

 2つ目は場にある札を読まれたケースです。この時は、読まれてない側の陣の札を触った場合にお手つきとなり、1枚送られます。今回は、読まれている側の陣はいくら触っても問題ないので、1枚も送られないことはありません。

本当にそうでしょうか。

実は、ちょっとした引っ掛けでした。場にある札を読まれているので、例えば自陣の札が読まれて、自分は相手陣を触ってしまい、相手が札を取った場合どうなるでしょうか。同じように2枚送られてしまうのです。ただ、1つ目の例と違うのは、自陣の札も読まれて1枚減ってるので、枚数は3枚差つきます。それでも大きいですが。。

このように、お手つきはとても重いペナルティで、1回に2枚もの差が生まれてしまう恐ろしいルールなのです。

だからこそ、失敗できない緊張感の中で、それでも爆速で札をとりあう様子は見ていて興奮します。

最後に

いかがでしたか。

今回紹介した払いとお手つきは競技かるたのゲーム性をおもしろくしてくれる重要な要素です。実際の試合観戦の時に飛び交う札の様子は大興奮ですよ!

次回は競技かるたの試合展開について紹介していきます。お楽しみに!

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この記事を書いた人

東京大学では教育哲学専攻。小学校でのボランティアの経験から学校教育のあり方について模索している。趣味は旅行とドライブ。最近は高遠そばのねぎを普通は食べないことを知り、衝撃を受けた。

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