東大生が教える過去問の取り組み方

受験の天王山といわれる夏が終わり、いよいよ本格的に実践練習を積む時期に入ってきました。実践力をつける上で欠かせないのが、過去問演習。これから過去問に取り組むうえで、おさえておきたいポイントを、東大生が徹底解説します!

目次

なぜ過去問を解くの?~敵を知り己を知れば百戦危うからず~

そもそも、なぜすでに終わってしまった過去の入試問題を解くのでしょうか。実は、過去問を解く意義を一言であらわすと、まさに「敵を知り己を知れば百戦危うからず」なのです。

敵を知る

自分の受験校を「敵」だとすると、受験という来たる「戦」で合格という勝利を手に入れるためには、「敵を知る」という最初のステップが必要となります。受験において、過去問は、敵を知るための唯一無二のツールといっても過言ではありません。過去問というのは、敵のもっともありのままの姿をみることができるものなのです。

過去の姿をみても意味がないのではないか、という人もいるかもしれません。確かに、過去の入試問題が、今年度もまた出題される可能性は限りなく低いでしょう。しかし、過去問を解くことには、具体的な問題を解くこと以上の意義があるのです。

第一に、問題の型や出題形式、さらには出題されやすい分野を把握することができます。各校の入試問題は、毎年全く一から作られているわけではなく、特定の形式を踏襲することがほとんどです。各科目で、どのような問題がどれくらいの分量で出題されているか把握することは、受験に向けて準備を進めていく上で欠かせない情報です。

第二に、出題者の意図を把握するという目的もあります。入試問題の作成者が、問題を通してはかろうとしている力は何なのか。大学は、どのような能力を求めているのか。問題を実際に解くことで、志望校合格のために必要な具体的な能力が見えてきます。しかし、出題者の意図は、直近数年の問題を解くだけで、簡単に浮かび上がってくるものではありません。10年20年、さらには30年も遡って解くなかで、脈々と受け継がれている出題者の一貫した意図が浮き彫りになってきます。過去問を何年分も解く意義は、まさにそこにあるのです。

己を知る

「戦」に勝つためには、やはり「敵」を知るだけでは足りません。みなさんもご存じの通り、受験という「戦」は、一筋縄ではいかない厳しいものなのです。そこで、必要となるのが、「己を知る」という次のステップです。

受験勉強において、己を知る手段として最もよく使われるツールは模試ですが、実は過去問は模試よりも有効なツールであるといえます。その理由は、自分の現在の能力値と、志望校が求める能力との差をより正確に測ることができるからです。模試は、基本的に実際に出題される問題を模倣して、それにできる限り近い形で作成されますが、やはり本物には勝りません。実際に出題された問題を解くことで、自分に足りない力は何なのか、自分がすでに目標に到達している分野はどこなのか、ということが把握しやすくなります。

己を知る作業は、冬の直前期を迎える前に必ずやらなければならない重要なことです。いくら努力をしていても、闇雲に勉強を続けているのでは、なかなか目標に届きません。すなわち、己を知らずに勉強している期間が長いほど、損をしていることになります。どこを重点的に補強すべきか正確に把握するためにも、過去問演習は必要なのです。

過去問はいつから取り組めばいいの?

それでは、いつから本格的に過去問演習にとりかかればいいのでしょうか。ここでは、国公立大学を第一志望とする場合を想定して、それぞれの試験の特徴を踏まえながら、適切なタイミングを解説します。

解き始めの時期を見極めるポイント

過去問に本格的に手をつける上での絶対的な基準は、基礎力の完成です。基礎的な学力が身についていない状態では、いくら過去問をやっても正直意味はありません。英語や古文・漢文では、基本的な文法事項や単語がきちんと身についている状態、数学では、青チャートの問題がほとんど完璧な状態に仕上がっていることが理想です。もちろん、志望校のレベルにもよるので、一概にはいえませんが、まだあやふやな分野がある状態で過去問にとりかかることは、むしろ時間の浪費となってしまいかねないため避けましょう。

逆に、基礎学力がしっかり整っている場合は、秋を待たずとも過去問演習にとりかかって問題ありません。実際、受験生の中では、得意科目だけ、他の科目よりも早めに過去問演習にかかったという人も少なくありません。もう解き始めてもいいのか不安な場合は、学校の教科担当の先生に聞いてみるのも手でしょう。

共通テスト編

過去問演習とはいっても、共通テストと二次試験とでは、解き始める時期に注意が必要です。特に、難関大学を受験する場合は、あまり早く共通テスト対策に手をつけることはあまり望ましくありません。

一般に、共通テスト対策にとりかかる理想の時期は、共通テスト本番の1か月前です。長くても、2か月前で十分です。そんなに短くていいの?と不安に思う人もいるかもしれませんが、いいのです。共通テストで問われるのは、基礎学力。すなわち、普段の受験勉強、特に夏の間に行った受験勉強が、すでに共通テスト対策となっています。共通テストを突破するために最も必要となるのは、スピードや時間配分ですが、それには1か月の集中的な特訓が最適なのです。

二次試験~第一志望校~

共通テスト後に実施される二次試験ですが、難関大学を受験する場合、過去問演習は共通テストの演習よりも前にとりかかることが理想的です。すなわち、10月くらいから二次試験の過去問を解き始め、共通テスト直前に共通テストの集中対策をはさみ、共通テスト後に再び二次試験の過去問演習を再開するというスケジュールとなります。なぜ二次試験の過去問を先に解き始めなければならないのでしょうか。

二次試験の過去問は、共通テストよりも解いたり復習したりするのに時間がかかります。分量はもちろんのこと、難易度が、共通テストよりかなり高いためです。また、共通テストでは基礎的な学力が問われる一方、二次試験では基礎力に加えてより深い理解や発展的な応用力が問われます。すなわち、二次試験の演習を通して、基礎力の再確認ができるため、共通テスト対策も兼ねているのです。

併願校

併願校がある場合、あまり併願校の入試対策に気を取られないことが重要です。第一志望校に合格するのが、受験勉強の目的でだるため、その妨げにならない程度に対策を行いましょう。とは言え、全く対策を行わない場合、滑り止めで受験した大学も全て不合格になってしまい、精神的なゆとりを失った状態で第一志望校の入試に挑まなければならない状況に陥りかねません。入試本番の数日前から、3年分ほど解いてから受験に臨むといいでしょう。

共通テスト過去問の取り組み方

ここでは、実際に共通テストを解くうえで、押さえておくべきポイントを紹介します。

共通テストの過去問に取り組む意義

先述のとおり、共通テストの過去問を取り組む主な目的は、本番に慣れることです。共通テストでは、短時間で多くの問題を正確に解かなければなりません。そのためには、十分な練習が欠かせません。一方、共通テストで出題される問題は、ほとんどが基礎学力を問うものです。それは、みなさんがこれまでの受験勉強で、すでに培ってきたものですね。

すなわち、共通テストの演習では、「短時間で正確に問題を解き切る」ことに集中すればいいのです。毎回、時間を測って、時間配分を意識しながら取り組みましょう。そうすることで、時間配分やスピード感が磨かれ、本番でも落ち着いて解くことができます。

過去問演習後の復習法

もちろん、模試と同様、過去問も解くだけではいけません。復習を怠らないことが、確実な点数アップの肝となります。

過去問復習の鍵は、間違えたり解けなかったりした問題について、どうして間違ったのか分析することです。時間が足りなくて解けなかったのか、知識不足なのか、問題文の読み間違いなのか、原因をしっかり把握することで、対策して次に生かすことができます。知識不足の場合は、改めて教科書や参考書を用いてその分野を復習しましょう。また、時間が足りなかった場合は、どこに時間を使い過ぎたのか、確認します。そのうえで、時間配分を調整してみましょう。

さらに、余裕がある場合には、一歩進んだ復習がおすすめです。数学は、少し理解があやふやだった問題の類題を解いてみましょう。また、英語や古文・単語の場合は、本文に出てくる単語や文法の中で、問題には取り上げられなかったがいまいち意味などが把握できていないものを探して、一つ一つ確認していきます。共通テスト過去問を一つの教材としてフル活用することで、着実に受験勉強のなかで抜け落ちていた部分を拾い上げることができます。

二次試験過去問の取り組み方

二次試験の演習には、共通テストよりもさらに一工夫必要となります。ここでは、第一志望校の二次試験を中心に過去問演習のポイントを紹介します。

添削の重要性

二次試験は、一般に記述式の問題が多く出されます。ただ、記述式の問題を解く際、自己採点だけですませることは少し危険です。記述式の解答では、問題に沿った的確な表現で記述ができているかが、高得点の鍵となります。解答は合っているようだけど、点数が取れないということは、よくあることなのです。そのため、志望校の過去問を解く際、解答を添削してもらうことは非常に重要です。

まず第一に、添削を通じて自身の誤りや弱点を明確に把握できます。自己評価だけでは気付かないミスや理解不足を先生に指摘してもらうことで、学習効率が向上し、次回の試験に生かすことができます。また、添削を通じて書き方や表現力の向上も期待できます。志望校の過去問は、解答だけでなくその表現も評価されます。添削を受けることで、より論理的で明快な文章を書くスキルを磨くことができます。

さらに、添削を通じて自信をつけることもできます。添削を繰り返すことで、徐々に進歩を実感し、勉強へのモチベーションを高めることができるのです。 塾や学校の先生などに定期的に添削をお願いするように心がけてみましょう。

各教科の取り組み方

二次試験の過去問演習も、復習が非常に重要です。過去問を解くことで見えてきた課題を、教科書や参考書を利用して補強しましょう。数学の場合は、類題を解いたり、解答のステップを確認しながら自分がつまづいた部分を分析したりすることが重要です。英語では、どの分野で点数が取れていないのか、点数が取れない原因(単語力・速読・文法など)は何なのか、自分の解答を一つ一つ見ながら考えます。国語も、添削と解答を参考にしながら、改善点を考えます。特に、現代文は、自力で分析することが難しい科目なので、先生などの力を借りることがおすすめです。

社会科目に関しては、教科書こそが原点にして頂点である教材です。とにかく、教科書を開いて何度も何度も読み返すようにしましょう。また、細かいところは、資料集を用いて確認していきます。知識の穴がないように、繰り返し復習することが、点数アップの鍵を握ります。理科に関しても、教科書・資料集・参考書を使って理解があやふやな部分がないか確認し、さらに問題集を用いて補強していきます。

また、余裕がある場合は、苦手な大問を中心にもう一周することがおすすめです。復習して完璧にしたつもりでも、実際に解き直してみないと本当に克服できているのか、正直わかりません。確認の意味もこめて、解けなかった問題は解き直しをするように心がけてみてください。

併願校

多くの人は、併願校を複数受験するかと思います。先述の通り、第一志望校の入試対策が最優先ですから、併願校の過去問に取り組む際には、第一志望の大学にどのように活かせるかが重要となります。問題を解き終わった後は、第一志望校の受験に必要な科目を特に丁寧に復習を行いましょう。

まとめ

過去問を解き始めた時期は、難しくてなかなか苦戦してしまうこともありますが、地道な復習を続けることで、着実に力をつけることができます。入試本番で、思いどおりの結果が残せるように、丁寧に過去問演習に取り組むといいでしょう。


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この記事を書いた人

東京大学では、法学を専攻。人権問題や環境問題に関心があり、学部卒業後は公共政策大学院に進学(予定)。高校時代から遅くとも22時半には就寝する、極度の朝型。趣味は、ランニング・映画鑑賞・サッカー観戦など。

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