皆さんこんにちは!現役東大生の永田耕作です。
突然ですが、皆さん「100マス計算」を知っていますか?恐らく、名前は聞いたことがある、という人もいれば、小学生の頃に実際にやったことがある、という人も少なくないと思います。
「100マス計算」とは、縦横それぞれ10個ずつあるマスの左側、上側にそれぞれ0〜9までの10種類の数字を1つずつ書き、それが交差する所で足し算・引き算やかけ算・割り算の計算をした答えを書く計算トレーニング法のことです。
現在では、小学1・2年生の足し算・引き算や九九の学習の際に、その反復練習として学校現場などでも広く行われています。調べてみると、どうやら小学校に入学する前の幼稚園や保育園などでも、先取り学習として簡単な足し算引き算の100マス計算(あるいは、1行分だけの10マス計算)を行うところも少なくないようです。
日本で「ゆとり教育」が行われていた2000年初頭に、「やはり根幹となる基礎的な計算力は重要なのではないか」という声が上がり、簡単な四則演算をゲーム感覚で楽しく反復練習できる100マス計算が広まりました。そのため、この記事を読んでくださっている20代、30代の方は特に馴染み深いものなのではないかと思います。
僕が小学校に入学したのは2008年なので、まさに「100マス計算」ブーム真っ只中でした。そのため、クラスのみんなとどのくらい早く終わることができるか勝負をしたり、何問連続で間違えずに計算できるかを勝負したりしながら、楽しく計算力を伸ばすことができました。
さて、そんな100マス計算。ここまで説明した限りだと、「100マス計算は、3-6歳程度の幼児や、小学校低学年の子どもたち用だ!」と思ってしまいますよね。しかし、僕は100マス計算は中学生や高校生、大人にもとても勉強になる、意味のあるものだと思っています。実際に僕は高校時代に数学オリンピックに出場するほどの数学好きでしたが、中高生になってもいろいろな100マス計算を反復し、数学の力を高めていました。
では、実際にどのような100マス計算を行ってきたのか。そして、100マス計算にはどんな意味があるのか。その「魅力」を僕がここから説明していこうと思います!
簡単な計算だけではない100マス計算の奥深さ
僕は中高生向けに講演会などで勉強のお話をすることが多いのですが、その際に「100マス計算はいいぞ!」と言うと多くの生徒から、「え、100マス計算なんて簡単じゃん。今更やって意味あるの?」と返されることがあります。この記事を読んでくださっている皆さんも、そう思っている人も多いでしょう。
ですが、こちらだとどうでしょうか?
こちらは、数字を1から9だけでなく、1から99までに拡張した「たし算」の100マス計算と、数字を1から20までに拡張した「かけ算」の100マス計算になります。こう見てみるとどうでしょう?「一瞬でできるぜ!」とはちょっと言いにくいレベルになってきたのではないでしょうか?
この100マス計算に、僕はさらにルールを加えます。生徒にやってもらってタイムを競うのですが、ただ終わった時間で勝負するだけでなく、ミスをどれだけ少なくできたかもスコアに反映するようにしています。
例えば、先月とある静岡県の高校で1年生に対して計算力ワークショップを実施した際には、この2桁のたし算の100マス計算を以下のルールで実施しました。
スコア:解くのにかかった時間(秒)+間違えた問題×20(秒)
スコアが一番低かった人が優勝
このルールに則って考えると、Aさんが5分で100マス計算を解き終わり、間違えた問題が6問だった場合、
スコアA:300(秒) + 6×20(秒) = 420
となり、スコアは420点になります。Bさんは6分で解き終わったが、間違えた問題が2問だけだった場合、
スコアB:360(秒) + 2×20(秒) = 400
でスコアは400点になり、Aさんよりも解くのに時間がかかったBさんの方がスコアは良い、という結果になります。
このワークを実施した結果、生徒さんからもとても勉強になったという反響をいただくことができました。計算はそのスピードはもちろん、それよりもさらに正確さが大事になるので、ミスの数によってもスコアが変わるルールでできるとより数学力を高める勉強につながると僕は思っています。
100マス計算は自作の計算ドリルになる!?
さて、ここまで難しめの100マス計算について紹介していきましたが、最後にもう一つ、100マス計算ならではの魅力を説明しようと思います。
皆さん、こちらの図をご覧ください。
「あれ、何も書いてないぞ?」と思った人、正解です(当たり前ですが笑)
こちらは、左側と上側の数字が書いてある部分が白紙になっている100マス計算用のテンプレートになります。ここの色がついているマスに自分で数字を入れるだけで、色んな100マス計算を作ることができます。もっと言うとこちらの画像では一番左上のマスの記号も埋まっていないので、足し算・引き算・かけ算・割り算のどれにするかから自分で決めることができます。
実際に僕は小学生の頃、自由帳に自作の100マス計算を作って毎日のようにやることで、計算力をつけていました。それも、こんな綺麗なテンプレートがなかったとしても、自分で縦と横に線を引いて数字を書くだけで、簡単に作ることができます。実質、無料でできる自作の計算ドリル、といっても過言ではないので、この100マス計算、ぜひ皆さんも自分で作ってみて欲しいと思います!
広まる100マス計算
さて、ここまで100マス計算とその魅力について紹介していきました。この100マス計算は、算数・数学が得意な人はもちろん、苦手な人にもとても役に立つ、そして計算が楽しくなる勉強法だと僕は思っています。
実際に100問の計算問題を1問ずつ計算ドリルのように並べると、プリントは4〜5枚になってしまいます。そうすると、どうしても計算の苦手な子はやりたくないという気持ちを持ってしまいますよね。ですが、100マス計算であれば、100問の計算が1つの四角形に収まっているので、そこまで嫌悪感がなくやれると思いませんか?
これを読んで、「確かに100マス計算面白そうだな、やってみようかな」と思った人が少しでもいれば良いなと思っています。
それでは、次回の記事でまたお会いしましょう!