現代文はセンスじゃない!現代文の実力を確実に伸ばすための勉強法

現代文の実力を伸ばす勉強法 サムネイル

皆さんは現代文が得意だと自信を持っていえますか?

現代文は、多くの受験生に「勉強しても伸びない」「センスが重要」だと思われがちで、「現代文が得意で、いつでも安定して点数を取れます」という人は少ない傾向にあります。

しかし、現代文も数学や英語と同じく、受験科目の一つに過ぎません。必ず「ハック」する方法があり、効率的に実力を伸ばすことができます。

そこで今回は、現代文の勉強法について、カルペ・ディエムが実際に生徒さん向けに用いているメソッドを紹介しながら解説します。

目次

現代文の問題が解けない原因

そもそも、現代文の問題がうまく解けず、苦手だと感じている人が多いのはなぜでしょうか。たいていの原因は、以下の2つに集約されます。

現代文=センスだと思っている

まずは、「現代文なんてセンスでしょ」と思っていることが原因として考えられます。たしかに、現代文は他の科目に比べると勉強の成果が見えづらく、なかなか勉強する気にならない人が多いのは事実です。

また、昔から読書などに慣れ親しんでいる人は、何も考えなくてもそれなりの点数が取れてしまうことがあります。もちろん点数を取れているなら良いのですが、そういう「感覚」だけで向き合ってしまうと、どこかでつまづいてしまう可能性が高いです。

冒頭でお伝えした通り、現代文も他と同じく受験科目の一つです。つまり、勉強すればそれだけ成績が上がるようになりますし、感覚に頼らずに問題を解くことで、得点も安定してきます。

文章が読めないうちから問題を解こうとしている

現代文で高得点を取る上では、前提として日本語で書かれた文章を正確に読み解く必要があります。文章の読解力が十分に備わっていないうちからいきなり問題を解こうとしても、文章の内容が理解できなければ、当然問題も解けるはずがありません。

しかし、ここをきちんと切り分けられている人があまり多くないため、いきなり問題演習に走ってしまい、「やっぱり問題が解けない」と苦手意識が芽生えてしまうのです。

そこで、まずは文章を読むための力を養う必要があります。

現代文を解くために必要な3つの力

現代文の問題が解けない原因がわかったところで、解くためにはどんな力が必要なのか、3つの力お伝えします。

語彙力

まず、日本語の文章を読む前提として必要なのが語彙力です。そもそも単語の意味がわからなければ文章の内容など理解できないのは、英語も同じですよね。

ここで、「自分の母語をわざわざ勉強しなくてもいい」と思った人はいませんか? たしかに、日本人にとっては、英語などの外国語に比べて日本語の語彙力のほうが圧倒的に高いのは間違いありません。

しかし、現代文で出てくる単語は、思った以上に難しいものが多いのです。たとえば、「邂逅」という言葉をご存知ですか? これは「思いがけなく巡り合うこと」という意味で、2019年に東大で出題された問題に登場しました。

また、語彙力は、記述問題の解答を書く上でも非常に重要です。記述問題を解くためには、当然ながら解答の中に出てくる漢字を書けないといけませんし、正確な文章を書くためには、語句の意味も理解している必要があります。また、東大などでは、単純な漢字の書き取り問題が出ることもあります。

こうした、国語の基礎の基礎となる語彙力を身につけるのがファーストステップです。具体的な勉強法はこの後解説します。

読解力

続いて重要なのが、文章を正確に読み解ける力、つまり読解力です。

読解力の前提となるのが、「問題文を、飛ばしたり自分で勝手に補ったりせず、書いてあるまま読む」ことです。当たり前だと思うかもしれませんが、多くの人は知らず知らずのうちに文章を読み飛ばしたり、逆に書いていないことを勝手に頭の中で補完したりしてしまっています。

こういうクセをなくして、書いてあることをそのまま読めるようになることが第一歩です。

その上で、書かれていることを正確に理解することが必要となります。ここで、正確に理解した状態とは、文章の内容を自分なりに要約できる状態と言えます。文章の主題や、それぞれの文の論理関係がわかっていれば、まとまった分量の文章を自分の言葉で要約することができます。逆に、内容が正確に理解できていないと、重要なポイントを落としてしまったり、逆に本文に書いていないことを勝手に想像したりしてしまいがちです。

文章を要約できるようになるための読解力は、現代文を解く上で鍵となります。

解答力

最後は解答力です。これは文字通り、与えられた問題に対する必要十分な解答を選択・作成できる力のことを言います。

選択式問題なら、複数の選択肢の中から最も本文の内容に合致しているものを選ぶことになります。ここでは、本文の内容とは合わないポイントを探す消去法と、本文とズバリ一致するものを探す積極法という2つの方法があります。それぞれに長短があるので、組み合わせながら選択肢を選ぶ実力が試されます。

記述問題で最高の解答を生み出すためには、その前提として、問題文・問いが求めていることを把握できる必要があります。「どういうことか」という問いなら、該当箇所の言い換えや説明をすることになりますし、「なぜか」という問いなら、問題文に示された事象や考えがなぜ起こったのか、その理由を筋道立てて答えることになります。こうした問いのパターンは、事前に理解しておくべきです。

解答力は、他2つと比べると軽視されがちですが、最終的にはもっとも重要です。というのも、文章中に出てきた単語の意味や文章そのものの理解がどれだけ正確だったとしても、正確に解答できなければ、得点できるはずがないからです。

現代文の効率的な勉強法

ここからは、3つの力を身に着け、現代文で高得点を取れるようになるための具体的な勉強法についてお伝えします。

語彙力をつけるには、まず漢字を勉強しよう!

語彙力をつけるために最も基礎的なのが、漢字の勉強です。

日本語の、特に大学入試などで問われる難しい意味の単語の多くは、複数の漢字が組み合わさってできた熟語です。そして、熟語の意味は、その単語を構成する一つひとつの漢字の意味さえ分かれば、だいたい想像することができます。逆に、漢字が分からないと手がかりがなく、単語の意味が分からないままです。

そこで、なにか1つ漢字学習の参考書を選び、それを1冊やりきってみてください。それだけでも、現代文を解くために必要な語彙力はかなり身につくはずです。

ただ、「単に漢字学習をするだけではつまらない」という人もいるでしょう。そんな人におすすめの、応用的な勉強法が2つあります。

1つ目は、熟語を古文や英語の知識を使って分解してみることです。たとえば、「徒労」という言葉を分解してみましょう。徒労の「徒」は、「あだ(なり)」という古文単語を書くのに使われています。そして、「あだ(なり)」は「はかない、もろい」という意味です。これを労働・苦労の「労」と合わせると、「はかない働き・苦労」ということになります。ここまで来ると、「徒労」という言葉自体を仮に知らなかったとしても、「無駄な骨折り・苦労」という本来の意味を理解できるのです。

2つ目は、同じを使う言葉をセットで覚えることです。たとえば、「行」という漢字を使う熟語として、「行進」「行列」「旅行」「履行」などが挙げられます。これらを一緒に覚えることで、「行」という漢字の意味が熟語によって多様だと分かり、読解力や解答力の工場にもつながるのです。実際、これらの熟語で使われる「行」の意味を問う問題は、2023年の共通テスト国語でも出題されました。

読解力をつけるために必要な「量」と「質」

読解力をつけるためには、やはり量と質がそれぞれ必要です。

幅広いテーマにわたって「量」を確保しよう

まず量について、「好きな本をたくさん読めばそれでいいの?」と思う方もいるかもしれませんが、これでは不十分です。

ここで言う「量」とは、単純な冊数や文字数のことだけを意味しません。重要なのは、幅広いテーマにわたる文章を読むことです。

現代文では、以下のような頻出テーマが存在します。

  • アイデンティティ・自分らしさ
  • 自然科学・科学技術
  • 言語・翻訳
  • 文化・宗教
  • 哲学・思想(死生学等含む)
  • ポストモダン・近代批判
  • 歴史学・歴史認識

これらのテーマのうち、どれか1つばかり読んでしまうと、いくら冊数が多かったとしても、それ以外のテーマについての理解が深まらなくなってしまいます。そこで、複数のテーマの本をまんべんなく読むよう心がけましょう。頻出テーマについてある程度理解しておくと、いざ問題を解くことになったとき、筆者の主張や重要な論点が把握しやすくなります。

とは言え、様々なテーマに関する本を自分で選ぶのは難しいですよね。そこでおすすめなのが以下の書籍です。

(出典:岩間 輝生 (著, 編集), 太田 瑞穂 (著, 編集), 坂口 浩一 (著, 編集), 関口 隆一 (著, 編集)、2021『ちくま評論入門 二訂版』より)

この書籍は、現代文の頻出テーマ別に、それぞれ数本ずつの文章を掲載しています。入試でよく出てくる有名な作品の著者が勢ぞろいなので、これに取り組んでおけば、「量」の目標は十分クリアできるでしょう。

(出典:Z会編集部、2015『現代文キーワード読解[改訂版]』)

この参考書を読んでいて、「言葉の意味が分からない……」となったら、こちらの本も使ってみてください。

この本は、現代文の頻出テーマに関する難しい用語について解説した本です。

内容理解と関係性把握の2つが「質」を決める

読解の「質」を高めるために必要なのは、①段落ごとの内容を理解すること、そして②文や段落同士の関係を理解することです。

①段落ごとの内容を理解する

段落ごとの内容を理解するためには、要約の訓練をするのがおすすめです。量をこなすために読んでみた文章の中から1段落だけ抜き出してきて、それを50文字程度に要約してみてください。

要約の際には、「その段落で強調されていること、繰り返し語られていることはなにか」「『しかし』『逆に』など逆説の接続詞がどこで使われているか」「『なぜなら』など原因・理由を説明する接続しはあるか」などの観点に注目してみるとよいでしょう。

とは言え、何も知らないうちからいきなり上手く要約できる人はほとんどいません。学校の先生などに見てもらいながら、ゆっくり、しかし着実に練習していってください。

②文や段落同士の関係を理解する

個別の文や段落の内容がわかったら、次にそれぞれの段落同士がどういう関係にあるのかを理解する必要があります。

ある段落は次の段落を具体化したものなのか、同じことを繰り返しているのか、両者を対比することで主張を明確にしているのか……など、その関係性は様々です。

段落ごとの内容だけをぶつ切りで理解しても、文章全体の内容を把握することはできません。それぞれがどう繋がっているのかを意識して文章を読む訓練をしてみてください。

「そもそも段落同士の関係性って何? どんなものがあるの?」という人は、以下の書籍をおすすめします。

(出典:桜木 建 (著), 相生 昌悟 (著), 柳生 好之 (監修), 西岡 壱誠 (企画)、2022、『東大入試徹底解明 ドラゴン現代文』)

この本は、東大入試を使った現代文の参考書です。前半の第1章は、論理的な文章でよく用いられる4つの関係性について解説しています。読解力をさらに高めたい人におすすめです。

問題演習と復習のサイクルを回す

最後、解答力をつけるための勉強法は、問題演習と復習のサイクルを回すことです。

当然ながら、良い解答を選んだり書いたりするためには、その練習を積む必要があります。そのために、過去問や問題集を使って問題を解き、どうやったら自分なりに良い解答にたどり着けるか、その感覚をつかんでください。

ここで重要なのが、やりっぱなしで終わらず、復習まで必ずすることです。現代文に限らないことですが、問題を解いただけで復習せず終わってしまうと、再び同じような問題に出会ったときに、同じミスを繰り返してしまう可能性が高いです。問題を解いて間違ってしまったことは、何も恥ずかしいことではありません。むしろ、自分の伸びしろを発見できたという意味では、プラス面のほうが大きいといえます。復習を大切にしましょう。

共通テスト現代文を攻略しよう!

現代文の勉強法について説明したところで、ここからは共通テストの対策についても簡単にお伝えします。

共通テストの現代文はセンター試験の現代文と何が違う?

共通テストは、2021年からセンター試験に代わって始まりましたが、現代文の問題構成や出題傾向はそこまで変わりません。ただし、センター試験では大問ごとに1つの文章しか出題されなかったのに対し、共通テストでは1つの大問でも複数の文章が出題されます。これにより、複数の文章を関連付ける読解力やスピードなどが求められるようになりました。

よって、センター試験の過去問を使った学習はまだまだ可能ですが、制限時間を少し短縮して解いてみるなど、少し工夫して使う必要があります。

共通テストで点を取るための具体的勉強法

共通テスト現代文で高得点を狙うためには、以下のステップが効果的です。

まずは、語彙力や読解力を向上させて、問題に対応できる基礎を作りましょう。

続いて、ある程度力がついたと思ったところで、センター試験や共通テストの過去問を解いてみましょう。目安は5~10年分です。過去問を解くことで、出題傾向や問題のパターンを把握し、自分に足りていないところを把握できるようになるとともに、解くスピードも上がります。

ここで、各種予備校が出している問題集を使うことは、あまりおすすめしません。もちろん、共通テストはまだ過去問の蓄積が少ないので、特有の問題形式に慣れる意味で少し取り組むのはOKです。しかし、予備校の問題集は、センター試験や共通テストと比べるとどうしても問題の質が完璧でないことがあります。センター試験の過去問はたくさんありますし、多少工夫すれば今でも十分使えるので、ぜひ積極的に過去問に取り組んでみてください。

現代文の過去問題集としては、こちらがおすすめです。

(出典:河合出版、2022、『2023共通テスト過去問レビュー 国語 』)

共通テストの過去問と試行問題、そしてセンター試験の過去問が14回分載っています。問題数はこれで十分ですし、解説も丁寧で分かりやすくなっています。

積極法と消極法を使いこなそう

はじめの方でもお伝えした通り、選択式問題の解答方法には「積極法」と「消極法」の2つのアプローチがあります。積極法では、問題文の主題や論点を把握し、本文とズバリ一致するものを1つ選びます。一方、消極法では、選択肢の中で間違っているものを除外し、正しい答えを導き出します。

積極法ばかり使っていると、本文が十分読みきれていない時に間違いやすくなります。逆に消極法ばかりでも、細かい違いにとらわれすぎて選択肢を1つに絞りきれないことがあります。受験生は、これらの方法を使い分けることで、共通テスト現代文に臨む準備を整えましょう。

国立第二次・私立大の記述問題を攻略しよう!

現代文の記述問題では、共通テストとは異なるアプローチが求められるため、対策をしっかりと行いましょう。ここでは、記述問題の特徴や攻略法、答案で使うべき表現について解説します。

記述問題は共通テストなどの選択式問題と何が違う?

記述問題は、共通テストの選択式問題とは以下の点が主に異なります。

表現力が重視される

純粋な自分の意見は必要ありませんが、本文の主張をうまくまとめ、解答欄に収まる字数で記述する表現力が求められます。

時間管理が重要

選択式よりも時間がかかるため、効率的に解答を作成するのが大切です。

記述問題で点を取るための具体的勉強法

記述問題で高得点を狙うためには、以下のステップが効果的です。

まずは、共通テスト同様、語彙力や読解力を向上させて、問題に対応できる基礎を作りましょう。共通テストの過去問演習そのものも、記述問題に取り組むための基礎を作るのに役立ちます。

続いて、ある程度力がついたと思ったところで、志望校の過去問を解いてみましょう。目安は5~10年分です。

ここで、最初は制限時間をそこまで気にしなくて構いません。じっくりと時間を使って、本文と問いの要求に沿った十分な解答をまとめる練習を行いましょう。

また、共通テスト同様、過去問以外の問題集を使うのはあまりおすすめしません。過去問と正面から向き合いましょう。

東大の場合なら、読解力の項でも紹介した以下の書籍がおすすめです。

本書は、既存の過去問題集に比べ、各設問の解説が非常に充実しているため、なぜそういう解答になるのか納得して読み進められます。

答案で使う表現に注意しよう

最後に、記述問題での答案では、以下の点に注意して解答を作成しましょう。

  • 簡潔かつ且つ明確な表現:冗長な表現や曖昧な言い回しは避け、簡潔で分かりやすい文章を心がけましょう。特に、字数制限がある場合には、同じ意味でもより少ない字数で住む表現をストックしておきましょう。
  • 論理的な文章:たとえ数十文字の文章だったとしても、筋道が通った文章構造になるように注意してください。特に、文章の冒頭で設定した主語と、分松に来る術後が対応しているかどうかは気をつけましょう。
  • 誤字脱字や文法のチェック:最後に誤字脱字や文法のミスがないか確認し、丁寧な仕上げを行いましょう。

まとめ

いかがでしたか?語彙力・読解力・解答力を身につければ、現代文で高得点を取るのもそう難しくありません。現代文はセンスではなく、基礎を鍛え演習を積むことで必ず実力を伸ばせます。今回紹介した方法も参考に、学習を進めていってください。


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この記事を書いた人

現役時、進路を見つめ直した結果、センター試験の2日後に突然東大受験を決意。1浪の末東大へ合格し、現在は法学を専攻。法律の文章や日々の雑談を含め、「ことば」と向き合うのが好き。趣味はお昼寝。

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