【松島かれんがインタビュー】サッカーの世界でも鍵となる「聴く力」

プロサッカー選手としてご活躍され、現在では創成館高校サッカー部監督も務めていらっしゃる久留先生にお話をお伺いさせていただきました。サッカーのプレーヤーとしても、そして、指導者としてもご活躍される久留先生。サッカーと教育をテーマにインタビューをさせていただきました。サッカーをプレーされる生徒のみなさまにも、そして、サッカーのコーチや監督をされているみなさまにも、心に残るお言葉があると感じています。最後までご覧いただけましたら幸いです。

<久留先生のご経歴>

久留 貴昭(ひさどめ たかあき)

鹿児島県出身の元プロサッカー選手。

2006年から2年間は養護学校の臨時教員を務めた。

2008年にはV・ファーレン長崎とプロ契約を結んだ。

また、2007年はチームの主将を務めた。

2010年、シーズン終了後、契約満了となりプロを引退。

創成館高校(長崎)の保健体育教諭とサッカー部監督に就任。

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目次

サッカーをプレーするなかで見えてきた「聴く力」の大切さ

ーまず、「サッカー」と「学生時代」について、久留先生ご自身のご経験をお伺いさせていただきたいです。久留先生がサッカー選手になりたいと思われるようになったきっかけはどのようなことだったのでしょうか。

きっかけは、兄がサッカーをしていて、その応援に行った時、小学校の先生が「練習に来なさい」とおっしゃってくださったことでした。そして小学校の高学年のころ、Jリーグができて、それ以降、「プロサッカー選手」になりたいと思うようになりました。その夢が中学高校になっても揺らぐことはなく、日々サッカーに打ち込んでいました。

ーそして、プロサッカー選手の夢を実現されたのですね…!生徒さんのなかには、中学高校への進学や部活を機に、サッカー選手の夢を「どうしよう……」と少し悩まれたりされる方もいらっしゃるのではないかな…と思うのですが、そのような生徒さんにお言葉を届けるとしたら、どのようなことをお伝えになりますか?

そうですね。まず、謙虚に人の話をちゃんと聴く、ということを大切にしてほしいと思います。

僕自身、学生時代、謙虚な姿勢を大切にしていました。もちろん、生意気な時期もありましたが(笑)、どんなときも、指導者の話を信頼して、指導者の言っている内容が少しでも理解できるようにしていました。

サッカーでも、「聴く力」が大切です。指導者をしている今も、いろいろな話を聴ける子がすごく伸びていると感じています。素直にちゃんと話を聞いたり、意見を聞いたりできる子はすごく伸びるんです。

そして、プロサッカー選手になるためには、「聴く力」に加えて、「本当にプロになりたい!」という意思だけは誰にも負けないくらい強く持ってほしいです。この時代、参考になる人や参考になる情報は盛りだくさんにあると思うので、自分で調べながら夢に向かい続けてほしいと思います。

創成館高校サッカー部の生徒はアスリートコースの生徒が多く、自分の大好きなサッカーをするために学校に来て、サッカーをしています。そのため、実力を伸ばすことへの意思をブレずに持ち続けることが大切です。

指導者としてどうしても大切にしたい「全国選手権優勝」への想い

ーここからは久留先生の「監督」として大切にされていることや想いをお伺いさせていただきたいです。

指導者への想いの「源」

ー早速ですが、久留先生ご自身が「プレー」だけでなく、生徒様に「教える」先生としてもサッカーに携わりたいと思われたきっかけはどのようなことだったのでしょうか。

実は中学時代から指導者になりたいと思っていました。中学3年生のときの先生との面談でも、「サッカーの指導者になりたいです」と言っていたほどです。

高校生になって選手権を経験してから、その想いは一層強くなりました。母校である鹿児島実業の恩師や、高校2年生の時に学校へ来てくれた安達亮さんの情熱を見て、指導者への憧れが増したんです。

その後、養護学校の先生やサッカー教室などをさせていただき、現在の創成館高校サッカー部の監督になりました。

ー以前、先生や監督としてご活躍されるなかで深く印象に残っていることなどはございますか?

九州リーグのとき、V・ファーレン長崎に所属していたころ、養護学校の先生をしていました。マンツーマンで生徒さんと一緒に過ごしていたのですが、車椅子に乗り、歩くことが難しかった生徒さんが一瞬立ち上がったとき、すごく嬉しくて。一生懸命頑張っている生徒さんたちに、何か届けたいと思う気持ちが一層強くなりました。

当時、自分は平日の放課後にサッカーの練習をして、土日は試合に出場していたので、生徒さんと保護者の皆様を土日の試合にお呼びしたらとても喜んでくださって、その瞬間がとても嬉しかったです。

現在、部活の「監督」として意識している「環境作り」

ー現在、監督としてご活躍されるなか、サッカーやチームにおいて意識されていることはどのようなことでしょうか。

意識していることの一つとして、「部活のなかで、意見を言いやすい環境作り」というものがあります。

創成館高校サッカー部のゴールは、10月末に行われる県大会で勝ち、選手権に行くこと、そしてその選手権で上位に食い込むことです。そのため、10月末までにいかにチームを「ピークの状態」に持っていくか、が大事になっています。

そこから逆算すると、新チームになりたてのころは「意見をぶつけ合うこと」が大切です。なので、春はあえて自分の方から厳しく、「なぜ意見を言い合わないの?」などと問いかけるようにしています。黙ってはいるけれど、意見を本当は言いたそうな子には、少し強引に伝えながらでも、意見を引き出すことがあります。そのようなアプローチをした上で、少しずつ、僕が離れていくと、生徒たちが自分たちでお互いに意見を言い合える関係や雰囲気を築いていくのです。

生徒たちはおそらく、指導者の目を一瞬気にしてしまう時期があります。ですが、その時期を乗り越えていくと、指導者の言いたいこと、伝えたいことを生徒たちが自らわかるようになり、自分たちで口に出すようになってきます。

言い合いをしている間はチームが全然強くなりません。ですが、言い合いを受け入れて、みんなで話し合うようになると、チームがすごくまとまるようになるんですね。それが僕なりのチームの作り方で、大切にしていることです。

指導者として切り拓いていきたい「未来」

ー最後に、久留先生が目指される未来についてお伺いさせていただきたいです。

選手権に関わる指導者になりたい、その目標は昔も今も変わりません。そして、創成館高校サッカー部の監督として叶えたいのは、やはり「全国優勝」です。生徒だけでなく、関わってくださった保護者の方や、創成館高校でサッカーをしてくれたOBのみんなと、全員で「やったー!」と喜ぶことが夢です。

自分自身、学生時代に選手権のためにあれだけサッカーに打ち込み、達成感を少し味わうこともできた一方で、失敗や結果が出なかったことへの悔しさがあり、その反動もあって、「選手権」をとても大切にしています。

実は高校2年生のころ、選手権で準優勝まで行ったのですが、自身がキャプテンを務めていた3年生では、県大会の決勝で負けてしまったんです。その経験をしたからこそ、目に見えていることがいっぱいあって、それを伝えるお仕事がしたいと思っています。

そして、全国優勝の夢の先に叶えたいのは、プロサッカー選手を輩出して日本代表で活躍している姿を見ることです。

指導者としてサッカーに関わることが、僕のできる一番の力かなと思っています。厳しいことも言わせてもらいますが、教えた生徒が少しでもさらに成長したり、チームとしての力をみんなで分かち合いながら、一緒の方向を向いていきたいと思います。これからも、向き合うことも大切に指導者として歩んでいきたいです。



『無理せず自然に成績が上がる勉強のトリセツ 東大生の合格手帳術』
著者:松島かれん
日本能率協会マネジメントセンター(2023/5/28)

この本は、手帳を通して、自己管理・自己分析・自己肯定の三つのステップを行う方法を紹介しています。自分らしい「時間」「体力」についてより深く理解することができるとともに、後ろ向きになりがちな「気持ち」を前向きに持っていけるようになります。「無理なく」取り組める手帳術、そしてその手帳術を実践することで「自然に」なりたい自分へ近づける。そのことを大事に書き上げました。この本では、筆者の経験をもとに具体的な目標を受験とさせていただきましたが、受験の部分を読者のみなさんの目標や夢に置き換えて実践してみていただけたら嬉しいです。

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この記事を書いた人

海や生き物が大好きで、東京大学で勉強中。お部屋には、大きなアオウミウシの抱き枕がある。小さい頃から書くことが大好きで、今も毎日言葉と向き合い、書き綴っている。

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