「日本一生徒数が多い社会科講師」から学ぶ社会の第一線で戦うための仕事術

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「約束を守れない人はトランプを使え!?」

伊藤先生: 
ただ、それだけだとあまりに味気ないから、さっき言ったみたいに「飽きやすい人はどんどん切り替えちゃうのがいいですよ」みたいなのはある。こういうのもいくつか引き出しを持っておかないといけない。小道具みたいなもんですね。

布施川: 
再現性のある方法ですね。

伊藤先生: 
最終的には全部やらなきゃいけないことを片付ける方法として、僕は「トランプ」を使います。プロレスラーの方もやっていますね。やり方は単純で、たくさんのやるべきことがあるときに、トランプをめくるんです。その数字分だけ、仕事を進めていく。ルールは「一日のうちに必ず最後までめくる」だけ。プロレスラーはトランプで出た数だけ腕立て伏せをしたりします。どうせ最後までめくるから最終的に出る数は同じなんですが、このギャンブル性のおかげで一気に仕事がはかどるようになるんです。ゲームが好きな人なんかはかなり適した方法だと思います。

布施川: 
ゲーム性のおかげで仕事ができるようになるんですね。

伊藤先生: 
自分のエンジンとかスタイルが決まっていると、自分のやるべきことが分かるでしょう。今の話だって「ゲームイベントが好きな人」みたいな、ある程度の方向性が決まった人に効く方法ですよね。自分のエンジンを決めた上で、こういう方法を提示してやると、相手にも伝わりやすくなります。「あ、先生はこういうスタンスで僕にこの方法を提示してくれているんだな」ってよく分かるからです。

布施川: 
なるほど。

伊藤先生: 
休みをちゃんと取りたいなら、休みを取る前提で考えればいいだけでしょう?そういうことですよ。それが固まっている人なら、時間術なんて決まっていますから、もしかしたらこの記事を読んでいる人は「自分はこういうタイプだけど、他のタイプの人はどうなのかな」と思って読んでいるのかもしれない。「あ、自分の部下にこういう奴いるわ!」って思えば、その人にはこういえばいいのか!ってなるでしょう。この対談はそういう風に使ってほしいと思いますね。

布施川: 
タイプ次第ってことですか。

「拾った情報はすべて使う」

伊藤先生: 
歩留まりを100%にしてほしいと思います。そもそも、この対談って捨てるところがないと思うんです。歩留まり100%ですから。このうちのここしか使えないって思うのは勝手ですけど、それは自分が決めているだけ。僕はあらゆる書籍のあらゆる部分は参考になると思いますよ。それは「あぁ、こうやって考える人もいるんだなあ」って思うからです。
(*歩溜まり:何かを作る際に、最初に必要な材料や原料の量と、最終的にできる製品の量との比率のこと)

布施川: 
どこが無駄かなんて決めない方がいいんですね。

伊藤先生: 
それを考えるなら、本を手に取って選ぶ前ですよ。選んだなら絶対に全部参考にした方がいい。ごはんで考えるとわかりやすい。あなたが何か定食とか頼んだなら、絶対全部食べるでしょ?残すの?かという話ですよ。自分が選んで自分が決めたものなんですから、そこから歩留まりを考えるなんて、まさに時間の無駄ですよね。選んだのなら、全部参考にしてやるって勢いで読まないと。

布施川: 
なるほど。

伊藤先生: 
余計なものに手を付けないとも言えますよね。手を付けたなら余計じゃないし、余計だと思うなら、もとから手を付けない。だから、僕にとって人間関係も平等じゃありません。時間は限りあるものだから、会う価値がある、話す価値があると思う人としか絶対に会わないようにしています。

布施川: 
それもまた時間術と。

伊藤先生: 
そうそう。ただね、一個だけ注意しなきゃいけないのは、相手の都合だけは考えないと、ってことですよ。それはお店の閉店時間と一緒だから。だからこそ僕は、一緒に死んでもいいくらい思える人としかアポをとりません。仮に僕が明日死ぬとしても、絶対に予定を変えないで仕事するだろうなって人としかアポをとらないんです。

布施川: 
それは……なんだか光栄な話ですね。

伊藤先生: 
その意識があれば、あらゆることが歩留まり100%になりますよね。効率よく時間を使えますよ。だって、全部の予定は自分にとって無駄なものがないと考えているわけですから、効率が悪くなろうはずもない。確実に無駄になるだろうってことは、そもそもやらないんです。

「価値のある人と価値のある時間を」

伊藤先生: 
あとはね、僕はマンガが好きなんですけど、特に東村アキコ先生の「海月姫」って作品が好きなんですけど、この中に特に印象に残っているセリフがあるんですね。それは、カイ・フィッシュっていうアパレルメーカーの社長が言った「負け犬の集まりに顔を出すな」っていうセリフ。僕は絶対に顔を出しません。

布施川: 
だいぶ過激なセリフですね(笑)

伊藤先生: 
オブラートに包むと「価値のある人と価値のある時間を」ってことですよね。でも負け犬のほうがわかりやすい(笑) 負け犬っていうのは現在の位置じゃありませんよ。気迫です。気迫で負けているような人と会う時間はないんです。それくらい、自分のスタンスはこうやって決まっています。

布施川: 
僕もマンガからよく影響を受けますね。

伊藤先生: 
そういうところ、すごく好感持てます(笑)

布施川: 
ありがとうございます(笑)

伊藤先生: 
こうやって東村先生の話をして記事になるでしょう。それで、いつかは東村先生と会えると思って今話しているんです。それは山を登るみたいな感覚で、途中にたくさんいろいろな岩がある。この岩がひとりひとり人間なんです。それで、新しい人と付き合って話すことで、「あぁ、この岩まで来ることができた」って達成感を得ることができるんですよ。

布施川: 
面白い例えですね!

伊藤先生: 
新しい人と会うには自分の商品価値をあげなきゃいけませんよね。そうやってあげていくと、どんどん新しい人に会える。こうしてタイムスケジュールって決まっていくんですよね。

布施川: 
やっぱりスタンス次第ですよね。

伊藤先生: 
そうそう。

「考える前に飛べ」

布施川: 
じゃあ、仮にスタンスが見つからない人がいたらどうでしょう?

伊藤先生: 
いくつかありますが、途中の思考はいらないと思っています。とりあえず、やったほうが早い。これもまた勘違いしている人が多いんですけど、物事ってハードルじゃないんですよ。飛び越えるんじゃなくて、飛び降りるんです。ただ落ちればいいだけ、やればいいだけなんです。「飛び降りる」だって、下から見ればちゃんと飛んでるでしょ? 飛んで、超えるだとしんどいから、自分の体を落としてみるのが大事なんです。いろいろ考えずに、まずはやってみるのが大事なんじゃないでしょうか。

布施川: 
わかりやすい! そしたら覚悟を決めればいいだけですもんね。

伊藤先生: 
別にチビりながらでもいいんですよ。でもやらないといけない。あらゆる人によって言うことは違いますけど、この対談を見たんだったら、いったん栄養になる部分を考えてみてもいいと思います。歩留まり100%ですから。

布施川: 
とりあえずやってみること、大事ですね。

伊藤先生: 
あとは、いまみたいに話すときに「僕はこう思った」って話すんです。そうしないと、押し付けになっちゃいますからね。押し付けるのは望ましいことではない。

布施川: 
たしかに、押し付けはよくないですね!とても勉強になる内容ばかりでしたから、押し付けとは思いませんが……。本日はありがとうございました。

伊藤先生: 
ありがとうございました。

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この記事を書いた人

教育事業や出版事業での取り組みを様々な媒体を通して発信しています。自社メディア「カルペディア」では、「人生を”ちょっと”前のめりに」をテーマに、教育・学習を取り巻く様々な疑問・関心について記事を掲載しています。

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