東京大学といえば、日本最難関クラスの大学。そこに通う学生の多くは、小さなころから塾通いをして名門中高を通ってきた、いわゆる「エリート」たちです。
しかし、それがすべてではありません。一部には、まったくエリートらしからぬ道筋をたどって東大に合格した学生もいます。ここでは、元落ちこぼれや休学経験者など、「普通の東大生」らしからぬ道を辿って東大へ入学した、みなさんの知らない「リアルな東大生」の姿をお届けします。
本日お話を伺うのは、現役東大生で現在前期教養学部二年生の清野孝弥さんです。清野さんは、現役の東大生として今もなお東京大学に通う傍らで、株式会社ペイ・フォワードの執行役員として日夜活躍していらっしゃいます。この株式会社ペイ・フォワードは、教育系YouTubeチャンネルのPASSLABOの運営元として知られており、彼もまた、PASSLABOチャンネルに出演して文系科目の勉強法を説かれているそうです。
現在の活動
そんな清野さんに、今回は現在の活動を聞いてみました。
「いまは、現役の東大生として大学に通いながら、株式会社ペイ・フォワードの執行役員として仕事をしています。具体的には、YouTubeで勉強法を教えたり、国語、英語、社会などの文系科目の授業を行ったりしています。また、弊社の個別指導事業として、志の高い生徒に向けて弊社独自で研究した内容を発信したり、学校事業としてPASSLABOにゆかりのある高校で講演やワークショップをしたりしています」
幅広く活動されていますが、この活動のルーツには彼の受験体験が関係しています。もともとは塾や予備校に通っていなかった清野さん。そこから東大に合格してしまうなんて、まさに逆転合格ですが、そんな清野さんの根底には「つよがり」があったそうです。
「僕の両親は病気があって働けないことがありました。経済的にも恵まれていませんし、家庭のバックアップを受けられないという意味でも大変だったと思います。ですが、親には『自分で勉強できるから、何も心配しなくていいよ』と言っていました。いたずらに不安にさせたくありませんし、なにより、僕が不安であることを打ち明けたとして、なにも話が進まないことがわかっていたからです。無駄だとわかっているのに不安だなんて言っても仕方ないですよね。だから、自分を信じて勉強していました」
そのような体験をして東大に合格した清野さんには、もちろん多くの質問が寄せられます。例えば「どうやったらそんなに勉強ができるようになるのか」というのもそのうちのひとつ。これらの質問に対応していく中で、彼にはひとつの気付きが生まれました。
「僕はこれまで、自分で勉強した方が伸びると思っていたんです。ですが、実際は勉強を教えている方が成長の機会を得られているんじゃないかと思いました。いま学校で行っているワークショップでも、教え合いワークとして、生徒同士が好きな科目を教えあうということを実践しています。普通に考えると、科目を教えられた生徒のほうが成績が伸びそうですが、実際は違うんです。それぞれ自分が教えた科目のほうが、伸びがいいんです。自分が教えた教科のほうが、成績が向上している。それを、実践の中で確かめてもらって、教えあいの意義を感じてもらえればいいと思っています」
教え合い
教え合い。実は、進学校や勉強ができる生徒の間では当たり前に行われていることなんです。自分ができないことを、カジュアルに隣の人にきくことができる環境がある。勉強の質問をして、後ろ指を指されない環境がある。これこそが、進学校におけるひとつのメリットなのではないかと思います。
実際に、筆者である僕も、高校生の時には世界史クイズを出し合ってはお互いに教えあった経験があります。その際に、自分の知識はもちろん、前後の年代から推理したり、当時の国勢から推理したりと様々なアプローチをとるので、大変脳がフル回転させられた思い出が。教え合いは、実は成績アップに直結しているのです。
PASSLABOの活動について
では、どうして清野さんはPASSLABOに来て活動をしているのでしょうか。
「僕は、小学校から大学受験まで、塾や予備校に通っていませんでした。ですが、完全な独学というわけではなく、PASSLABOの授業を受けていたんです。そうして合格した東大に来てから、ふとPASSLABOのチャンネルを見たら、メンバー募集の一報が載っていました。受験時にお世話になった恩と、自分も同じく活動していきたいという思いを抑えきれずに、応募したんです。そこで、『なぜYouTubeを通じて教育業に携わりたいのか』ということについて自分の考えを余すことなく語りました。そうしたら、なんとか合格をもらったんです」
清野さんには、東大で大学生活を送るにつれて実感したことがあるといいます。それは、「東大合格者の多くを、都内私立の進学校の生徒が占めている」ということ。もっと多様性がある環境だと思っていた清野さんには衝撃でした。いわゆる「レールを走ってきた人」ばかりだったのです。
特にその思いを強めたのが、英語のクラスでの出来事。大学の英語の授業で、彼の割り振られたクラスには、なんと海外経験のある人しかいなかったのだそうです。留学にしろ、海外渡航にしろ、途方もないお金がかかります。「こんなの、出来レースじゃないか」そう強く感じた出来事だったのだとか。
この頃から、清野さんは一つのことを考え始めます。それは、「自分がただ東大で勉強していって、何十年後かの教育改革に携わるのでは遅い」ということでした。手遅れになる前に、今から教育業界を変えなければ。そのような思いがあったそうです。
わざわざ顔出しの実名でYouTubeをやっているのも、今の教育を変えたいからだと語る清野さん。リスクを背負って発信する情報があるからこそ、聞いてもらえることがあるのだといいます。
将来の展望について
最後に、将来の展望について伺ってみました。
「学生の間は、教育に携わっていきたいと思っています。高校生と年代が近い大学生の時だからこそ、伝えられることは多いと感じているからです。その先は、自分としては研究職に就いていきたいと思っています。ただ教育業を変えたいというだけではだめで、もっと学術的な根拠がいると思うからです。
なぜ大学受験が必要なのか、なぜ教育機会が均等であるべきなのか、これらについて、一方的な主義主張だけではなく、根拠をもって発言できるようになっていきたいと思うんです。
もちろん、勉強しながら、今の活動にも力を入れていきます。現場から得られる気付きや知見は大変多いです。色々なことにチャレンジしていくことで、自分が東大生であるということを活かせる気がするんです」
今後は研究職を目指すという清野さん。ぜひ教育格差の拡大を止めてほしいと思います。
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