今回、武蔵野大学中学校のプログラム『言語活動』に(株)カルペ・ディエムがご協力させて頂きました。記事のタイトル、本文は武蔵野大学中学校の3年生が作成いたしました。
言語活動とは武蔵野大学中学校で実施されているオリジナルのプログラムです。この授業では、どの科目にも共通する大切な考え方や役立つスキルを実践的に学んでいきます。、言語活動の中にある「ジャーナル作成」の一環として、『大学の先生、大学院生へのインタビュー』を行いました。インタビューした内容は記事化し、カルペディアで公開をいたします。
今回私たちは、「言語活動」という授業での記事作りのため、インタビューの機会をいただきました。普段意識することのない「感覚」というものについて、小山先生にインタビューをお願いしました。
プロフィール紹介
小山慎一 教授
筑波大学 芸術系教授
【研究分野】人文・社会学 デザイン学 ライフサイエンス 基盤脳科学 実験心理学
2002年〜2005年 ボストン大学心理学部博士後期課程修了 博士(心理学)。2017年に筑波大学芸術系プロダクトデザイン領域小山研究室を開設。実験心理学的な手法や脳科学的な手法を用いて、デザイン・感性・消費者行動に関するさまざまな問題に取り組んでいる。
感覚過敏とは?
Q.感覚過敏とは何ですか?
A.感覚過敏とは、視覚、聴覚、嗅覚などの感覚が過剰に敏感な症状を指します。感覚過敏の人は、片頭痛で光や音に敏感な人なども含めると全人口の約8分の1程度もいると言われていて、
・縞模様、水玉模様などが気持ち悪い
・スーパーや電車の匂いがきつい
・視線が気になる
・教室の蛍光灯などが眩しい
・周りの音がとてもうるさく感じる
などの症状が見られるのが特徴です。
感覚過敏の現在
Q.感覚過敏について、どのように興味を持ったのですか?
A.私は最初、視覚について興味を持ったのですが、調べていくうちに視覚とデザインはつながっているということに気が付きました。例えば、道路の標識は一目見てすぐに意味が分かるように作られていますし、市販薬のパッケージのデザインなども、どんな薬かがぱっと見て分かるようになっています。そうしてデザインの研究をしていく中で、「感覚過敏」というものがあるということを知りました。
Q.感覚過敏の人と、そうでない人が共存するには、どうしたら良いですか?
A.なかなか難しい問題で、答えがないので研究を続けていますが、「感覚過敏の人がいることを、みんなが知る」ことが大切だと思います。
例えば、コロナの時期はマスクをつけるようになりましたが、クラスの中で全員がマスクをつけていましたか?感覚過敏の人の中には、ものすごく皮膚の感覚が敏感で、マスクをつけただけでみみずばれになるような人もいます。じゃあ、マスクがつけられないからといって学校に来ないでくださいというのもおかしいですよね。
今、感覚過敏というのはあまり知られておらず、「感覚過敏の人=我儘」と思われているのが現状です。この世界のみんなが、感覚過敏というものの存在を知ることが大切だと言えるでしょう。
その上で、デザインの力を上手く使って、感覚過敏の人とそうでない人が共存できる空間を作りたいと思っています。今回の例でいうと、マスクをしている人としていない人が同じ空間で勉強ができるようになるとか、そうなるといいですよね。
先生の今後の展望や中学生に向けた一言など
Q. この研究のやりがいは何ですか?
A.毎日新しい発見があり、ワクワクできることですね。例えば、薬局で売っている薬のパッケージのデザイン開発などもやっていましたが、何度も仮説検証を繰り返し、少しずつかえていくと良くなっていく過程がやりがいに繋がっています。
あとは、自分が研究したことが将来の社会に役立つことを実感できるところですかね。
筑波大は特に留学生が多いです。日本に留まらず、伝えた知識が世界へ広がっていく未来を想像するのが楽しみにつながっていますね。
Q.小山先生が今後目指す姿を教えてください。
A.感覚過敏の人は、みんなが普通に思っている教室のLEDライトがすごく明るく感じてしまったり、ノートをとる音がうるさくて仕方なかったり……と、日常生活を送ることが簡単ではありません。私は、どのような人も自分に合った環境で快適に暮らしていけるような空間作りを目指しています。
インタビューを終えて
インタビューをさせていただく前はとても緊張していましたが、小山先生は優しく笑顔で話してくださったので、いろいろなことをお伺いすることができました。おかげで、とても素敵な時間を過ごせました。
小山先生、ありがとうございました!
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