【小中学生向け】勉強の楽しさに触れる!東大生との1日合宿レポート

カルペ・ディエム講師の西岡壱誠講師(経済学部4年生)が、2022年9月3日から4日の2日間に分けて、羽咋市内に通う小中学生を対象にイベントを開催しました。

イベント名は、「平教育振興基金事業 現役東大生西岡壱誠先生の元気が出る1日合宿」。3日には小学5、6年生、4日には中学1~3年生を対象に行われた本イベントでは、西岡講師と4人の現役東大生(布施川講師、川上講師、伊藤講師、鈴木講師)との座談会や、勉強が楽しくなるワークショップなどが行われました。

本記事では、小学5、6年生を対象に行われた1日目のイベントの様子をメディア事業部のめいちゃんがレポートします!

目次

イントロダクション

「皆さんこんにちは!」

西岡講師の挨拶に対して元気のいい挨拶で返してくれたのが、今回のイベントの主役である羽咋市の小学生60人です。ワクワクと不安が入り混じったような表情の参加者に対して、本日のスケジュールが紹介されました。

午前中のスケジュール
10:00~10:30 自己紹介・本日の流れの説明
10:30~11:20 東大生からの挑戦状①(思考力問題/フェルミ推定問題)
11:20~11:30 休憩
11:30~12:30 西岡先生による講義「勉強の楽しさと将来の可能性に触れよう!」
12:30~13:30 お昼休憩
午後のスケジュール
13:30~14:30 東大生と将来を考える座談会
14:30~14:40 休憩
14:40~17:00 東大生からの挑戦状②(ボードゲームで東大生を倒してみよう!)
17:00~17:10 休憩
17:10~17:40 1日の振り返り
17:40~18:00 アンケートの回答・解散

中国で大人気のコーヒーショップを例に、西岡講師は今日の合宿で意識してほしい心構えについて話し始めました。

「今の日本の仕事の半分くらいは、ロボットに任せちゃっても大丈夫な時代になってきています。なのでこの時代の社会は、椅子取りゲームだということができます。世界中に70億人いる中で、仕事っていう椅子が35億個になっちゃうかもしれない。自分はその椅子をとれるかな?と不安に思う人もいるでしょう。でも、このゲームで最強の人がいます。それが、自分で椅子を作れる人です。自分で椅子を作れるようになるためには、たくさん失敗しないといけません。失敗するのは恥ずかしいと思うかもしれないけど、大丈夫。今日はいろんなことに挑戦してもらいますが、その中で失敗してもいいんだっていうのを体感してもらえたらなと思います。」

東大生からの挑戦状

西岡講師の声がけで4人グループに分かれた参加者たちに最初に出題されたのは、このような問題です。

「何の職業?」という問題
1から9の数字が並んでいるうち、9のみが大きい。
「?に入る数字は?」という問題
T=1
D=1
F=?
K=43
「二次熟語が成立する、四角に当てはまる漢字は?」という問題

思考力を測る問題として、全12問のオリジナル問題が出題されました。グループ内では活発に意見交換がされる様子が見られ、答えがわかるごとに拍手が起こり、グループの雰囲気が温まっていきました。

そして、話題は次の「フェルミ推定」に移っていきます。

「フェルミ推定は、自分の知らない数値を自分の知っている数値から考えること。大人や大学生でも難しいかなって思うんだけど、みんななら解けると思って問題を用意してきました!」(川上講師)

川上講師の言葉に、参加者の表情は真剣になりました。川上講師は続けて、例題として以下の問題を提示しました。

例題:日本にある小学校の数は?

「日本の人口は約1億2000万人です。1〜100歳までで割ると、小学校の一学年が大体120万人くらい。少子化を考えて、1学年あたり100万人だとすると、日本全体の小学生数は600万人だよね。小学校一校あたりの人数が300人だとすると、600万÷300=2万校ってことなんだけど、実際日本にある小学校は2万校くらいなんです。」

この例題に続いて出題されたのが、「全国の小学校にあるトイレットペーパーをつなげた長さは?」というもの。「トイレって何個ある?」「男子トイレと女子トイレがあるから…」というように、自分たちが知っている知識をつなぎ合わせながら議論していきます。巡回している東大生講師の力も借りながら、続々と答えにたどり着く様子が見られました。

そして、2問目に出された問題では、全てのグループが答えまで出すことができました。「みんなすごい頭を使っていたよね? 最後の最後まで考えてくれてありがとう!」という西岡講師の言葉とともに、全員に拍手が送られました。

授業中は「listen」ではなく「take」せよ!

グループワークの熱も冷めやらぬ中、続いては西岡講師の講義に移ります。西岡講師の「なぜ勉強するのか?」という問いに、参加者たちは首を傾げました。

「勉強するのは、説明ができるようになるためです。でもみんな、夏休み前に授業で習ったこと、今説明できるかな? 覚えたと思っていても、意外とわかっていないことって結構あるんです。」

それを体感するワークとして、西岡講師は「カタカナーシ」というゲームを紹介しました。これは、普段何気なく使っているカタカナ語を、カタカナを使わないで説明するというゲームです。「小麦で作った白いものが2枚あって、その間にお肉とかが入っているものは?」という西岡講師の説明に、「サンドイッチ」「ハンバーガー」と次々に答えが出されました。

西岡講師は、「パート」というカタカナ語を取り上げて、こう続けました。

次の言葉をカタカナを使わずに説明してください!
・パート
・ポーズ
・ディスタンス
・モチベーション

「パートって一部分って意味なんです。例えば、アパートは部屋が区切られていて、そのうちの一部屋に住むものですよね。他にも、パートタイムは9時から5時までの一部分だけ働くよって意味だし、パーテーションは一つの空間を分断して一部分にするものです。こんなふうに、カタカナ語がわかるようになると、理解できることが増えるんです。」

「カタカナ語ってよく使うし、なんとなく意味はわかっているけど、実はよくわかっていない。だから、説明って大事なんです。説明ができるようになることで、いろんな言葉の意味がより理解できるようになると思います。」

勉強の意味を伝えたところで、それをどんなふうに実現するかという点に話は移りました。西岡講師は、授業を能動的に受けてほしいと述べました。

「「授業を受ける」は、英語で「take a class」といいます。「take」は「取る」という意味、つまり授業は取りに行かないといけないんです。誰かから言われたことを聞いているだけだと、頭はよくなりません。自分から質問をしたり、意見を言ったりする中で初めて、授業から得られるものがあります。これを守っていれば必ず学力を伸ばすことができるので、皆さん今日の時間も含め、ぜひtakeしにいってくださいね!」

さらに西岡講師は続けました。

「人間は、やる意味がわからないことをし続けていると、辛くなってしまうといいます。だから、頑張るためには目標を持つことが大事。そしてその目標が高いほど、頑張ることができます。東大でも、「こいつすごい天才だな」って思うような人はそんなにいません。僕らと同じ人間で、何が違ったかというと、ただ単純に意識が高かっただけ。宇宙飛行士になりたいでも、社長になりたいでも、なんでもいい。皆さんには、これ!という高い目標を持って頑張ってほしいです。」

東大生とのグループワーク

西岡講師の講義後には、各グループに東大生が入って座談会やボードゲームでの対決が行われました。座談会では、西岡講師の「takeの姿勢が大事!」という言葉に応えるように、次々と東大生に質問を投げかける様子が見られました。参加者の姿勢に応えるべく、東大生も具体的なエピソードなどを交えながら真摯に回答していました。

座談会で出てきた質問は以下のようなものがありました。

・大学では何を勉強をしているのか
・将来の夢は何か
・いってみたい国はどこか
・どれくらいの時間勉強したのか
・理科の勉強方法を教えてほしい
・どんなアルバイトをしているのか

また、ボードゲームでの対決は、東大生に勝つことが目標です。東大生相手に苦戦しながらも、少しずつコツを掴み、それをチーム内で共有する様子も見られました。挑戦したボードゲームは以下の通りです。

トータス

「神経衰弱」のようにメダルをひっくりかえし、そこに書かれた数字を足して10にすればそのメダルを獲得できます。一番メダルを獲得した人が勝利です。(Amazon 商品の説明より)

「トータス」の箱の写真

スカル

プレイヤーの手元にあるのは3枚の薔薇と1枚の髑髏。誰かが勝負を始めるまで、プレイヤーは1枚ずつ好きなカードを裏向きに出していき、出されたカードをある枚数、髑髏をめくらずにめくることができると思ったプレイヤーはその数字を宣言し勝負することが可能。誰かが数字を宣言したら、より多い数字を宣言できるかの勝負となり、他のプレイヤーが下りたとき、もっとも宣言枚数の多いプレイヤーが出されているカードを1枚ずつめくる。この時、髑髏を出すことなく宣言枚数までめくることができれば1勝となるが、めくることができなければペナルティとなる。はたして前のプレイヤーが宣言した数字はこちらを嵌めるためのワナなのかどうか? 相手の嘘を見破りつつ相手を欺き、2回の勝負に勝ったプレイヤーが勝者となる。(Amazon 商品の説明より)

ワードバスケット

箱の中にあるカードの文字ではじまり、自分の持っているカードの文字で終わる3文字以上の言葉を考え、思いついたらその言葉を言いながら該当するカードを箱の中に投げ入れます。その瞬間からすべてのプレーヤーは新しい箱の中の文字ではじまり自分の持っているカードで終わる言葉を考えるのです。このゲームには順番はありません。思いついたらどんどん言葉を言ってカードを箱に投げ入れます。最初に手札をすべてなくしたプレーヤーの勝ちです。ボキャブラリーを試されるゲームです。(Amazon 商品の説明より)

各チーム盛り上がりを見せるなか、ボードゲームは終了、1日の振り返りののちに解散となりました。

参加者の声

開催後のアンケートでは、「とても満足」「満足」「どちらともいえない」「不満足」「とても不満足」の五段階評価のうち、すべての参加者が「とても満足」と回答してくれました。そう答えた理由としては、以下のような声が聞かれました。

思考力問題や推定問題が難しかった。だけど、解けた問題があって良かったです。あとゲームも楽しかったです。

他の学校の人たちと触れ合えたし、自分の知らないことなどを教えてもらえたからです。

東大生の方々の考え方などを知ることができて、とてもためになったなと思ったから。

印象に残ったことには、西岡講師の「椅子は自分で作る」という話が多く挙げられました。自身の将来を見据えた時に、目の前の勉強との向き合い方について考え直す機会になったようです。

また、ゲームやクイズといった工夫により、楽しみながら参加することができたという感想も多く見られました。そのほかの感想には以下のようなものがありました。

夢や目標を高く持った方が人は伸びると西岡先生が言っていたので、今のところ夢はないけどこれからは夢を見つけて頑張っていきたいと思います。

東大生の説明は面白さもあって、例も出していてとてもわかりやすかったので、自分の説明の時も真似してみたいなと思いました。

聞いているだけでなく、聞いて質問することが大事だということがわかったから、これからは先生にどんどん質問していきたいと思いました。

講師より

西岡講師より

グループワーク、座談会、講義、ボードゲームと、盛り沢山なコンテンツを詰め込んだイベントでしたが、参加者の皆さんが前のめりに参加してくださったおかげで濃い1日をお届けできたのではないかと思います。後半に行ったボードゲームは、1日の中でも特に盛り上がる様子を見ることができました。イベント終了後には、「ボードゲームを学校で友達とやってみます!」と声をかけてくれる子もいました。今回の合宿の場だけにとどまらず、それぞれの学校にも広がっていくというのは、このイベントを企画した僕たちにとっても本望だと感じています。

小学生の部に参加してくれたのは全部で30人でしたが、そのうちの10人が「東大に行きたい!」という気持ちを表してくれました。このイベントで「東大にいこう!」というような声がけはしていないのですが、こんなふうに東大を目標にしてくれるのは純粋にすごいなと思ったし、とても嬉しい気持ちになりました。

ここで身につけたことを、ぜひこれからの学びに活かしてもらえたらと思います!

川上講師より

今回のイベントでは羽咋市の児童たちに、勉強への親しみを持ってもらうこと、東大生にボードゲームで勝負することで自分でも東大生と勝負できるんだという自信をつけてもらうことを目的としていました。自分のことを思い返すと地方の田舎出身だったこともあり、小学受験や中学受験をすることを視野にすら入れず、のんびりと幼少期を過ごしていました。そんな自分が大学受験の競争で競り勝つことができた勝因を考えると、もちろん直接的には高校時代の勉強量が関係するのでしょうが、間接的には小中学校時代から自分はやればできるという自信を持たせてもらえていたことが大きかったのではないかと考えています。その自信が生まれたのは、よく誉めてくれた家族や先生がいたと言う環境のおかげに他なりません。大学受験において自分を信じきって問題を解き切る力は言うまでもなく重要であり、それを幼少期から持っている人間とそうでない人間には差が生まれるように思えます。そして、今回のプログラムの中では、他地域から参加し、はじめは人前で話せなかった児童が最後には堂々と感想を述べてくれたり、クイズで段々と間違いを恐れずに挙手してくれる児童が増えたりと、こうした自信を育む一助となったという確かな感触を持てる場面が多くありました。こうした経験や、そこで身につけた自信が彼らの今後を輝かせてくれるのではないかと期待しています。

伊藤講師より

本合宿では、「勇気が出る」というプログラムの効果を先に提示し、東大生との座談会や頭を柔らかくするクイズ大会、思考力を鍛えるカードゲームなどのコンテンツを盛り込みました。8時間に及ぶプログラムであったにもかかわらず、最後まで全力で講師の話に耳を傾ける生徒さんの姿が非常に印象的で、新しい考えや知識を吸収したいというモチベーションと、実際の吸収力の高さに終始驚いていました。

当日初めて会った同年代の子とグループを自発的に組み、協力してクイズやゲームに挑むことは、歳の離れた東大生に質問してみることよりも実は勇気が必要かもしれません。しかし見ていると、コンテンツを通して生徒自身が少しでも自信を持てる瞬間(クイズでの正解、グループへの貢献など)があれば、徐々に自分の主張ができるようになることが分かりました。一方でこうして芽生えた自信や勇気が1日だけのものにならないような工夫が必要であるとも感じ、今後は形に残るような振り返りのツールや、合宿で学んだことを学校など日常生活で生かせるような話題の提供も検討すべきではないかと考えました。

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この記事を書いた人

大学では教育学を専攻。学業の傍ら、中高生向けのイベント企画や本の企画・編集に従事してきた経験から、人に新しい「出会い」を提供することに興味がある。ジブリとロードバイクが趣味。

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