【数学II B】東大生が共通テスト解いてみた

2024年の共通テストが終わりました!皆さんは何点取れましたか?

カルペディエム所属の東大生も今年の「共通テスト」に挑戦しました!
果たして、東大生たちは「何点」とれたのでしょうか?

実際の点数や感想、解いた順番や難易度、得点源や今後の対策方法など、今年の共通テストをさまざまな角度で考察しました!

本日の科目は「数学II B」です。
私の点数は「92点」でした。現役時は「92点」でした。

Q1:問題を解いた順番を教えてください。

前から順に解いた。

Q2:時間配分を教えてください。

大問1・・・20分
大問2・・・20分
大問4・・・10分
大問5・・・10分

数学は基本的に各大問の最後などは時間的コスパが悪いので、解けなかったり詰まったりしたら、時間にシビアになってさっさと次の問題へ向かった方が、総崩れしないはずです。

Q3:難しかった問題は何ですか?理由も教えてください。


東進 共通テスト解答速報2024
より引用

大問2のスは、少し意地悪な問題である。解ける生徒なら選択肢を見るだけで答えが分かるが、そうでなかった生徒は全ての値を具体的に計算しなければならず、時間を浪費してしまったことだろう。


東進 共通テスト解答速報2024
より引用

また、大問2の(3)では、一般に成り立つ性質導出させた上で、その性質をうまく使って命題を示せるか、といった問題も出題されており、二次試験対策をしたことがあるかどうかで、手が付けられたか、分かれたであろう。

大問4は全体的に難しめであった。
(1)は超典型問題であったが、(2)は解き方を知っていた上で、最後まで自力で解き切らないといけない問題ではあった。二次試験の対策を厚くしていた受験生ならば解けた人も多かっただろうが、数学が苦手or共通テストでのみ数学を使う受験生は、手が動かずに焦ったのではないだろうか。
(3)は、数列の存在について議論している問題である。そもそも高校数学では数学的な存在という概念について考えることがあまりないため、数学が苦手な受験生を中心に戸惑ったことであろう。

東進 共通テスト解答速報2024より引用

大問5も、最後の設問は応用力が試される良問であった。解き方は複数あるが、解法選択をミスると膨大な時間がかかってしまう。諦めも大事な問題だったように思われる。

総評として、センター試験時代から比べ、かなり東大の二次試験的試験になっている様相を感じた。

つまり、1つの大問の中で具体的な実験フェーズ(小さな値で検証・抽象議論の後に具体的な値を代入)⇄抽象的な議論(一般のnでの論証など)を行ったり来たりさせるような問題が散見された。

他にも、自分で解法の選択をしないといけなかったり、二次試験で解答に記述するような思考フローを踏ませる問題(大問1)などもあった。センター試験時代は「解き方は一辺倒だが、計算がしんどい」ような問題が多かったが、今年の共通テストでは逆に「解き方を工夫したり、抽象議論を求められるが、計算量自体は減った」印象がある。

Q4:得点源の問題はどこだと思いますか?理由も教えてください。

各大問の初めの方は解き方も典型で計算も楽な場合が多いため、解けない問題に固執するのではなく、難しい問題は飛ばしてしまいましょう。

Q5:自分が受けた年と比べて、難易度や傾向はどうでしたか?

全体を通じて、誘導に乗れるか、が出来を左右したのではないかと思う。
この点も東大の二次試験と似ていると考えられるのだが、(東大に限らず)二次試験の対策を中心にやってきていた受験生にとってはそこまで難しい試験ではなかった。しかし、共通テストに向けて一定の解き方を反復練習してきていた受験生などにとっては、厳しい設問が並んでいたように感じられる。

センター試験では具体的な計算問題が多く、それゆえに計算力がモノを言う問題が多かった。
しかし、共通テストでは、具体論と抽象論を併せて議論させ、その上で簡単に「この議論をする意味」や「この結果から言える嬉しいこと」を受験生に感じてもらおう、という様な策問側の意図が垣間見える。

それをマーク形式で無理矢理に実現しているため、歪な設問構造になっている問題がある点は否めないだろう。

Q6:今年はどんな能力が特に求められていたと思いますか?

センター時代に比べ、数学の本質を問うような問題も多い。
二次試験対策に本腰を入れており、共通テスト前にさらっと共テ形式を触るような受験生はそのままで良い。

共通テストでのみ数学を使ったり、数学が苦手な受験生は従来の勉強法では通用しない場合が多くなると考えられる。

例えば、共通テスト型の問題演習をする際に、答えが合っていたかどうかだけに拘泥せず、設問の意図や「得られた結論から何が言えるのか」といったところまで一歩踏み込んで考えてみてほしい。

他にも、数学の筆記試験を受けないとしても、普段の勉強の中で記述問題組み込んだり少しレベルの高い問題に挑戦するといったことも有用であろう。

Q7:勉強のポイントを教えてください。

今年の問題を解いたからといって、来年時以降の問題が解けるようにはならないだろう。

つまり「共通テストの対策をしている」だけで解ききれる問題は減少傾向にある、ということである。
普段から記述問題を解いたり、誘導が少ない問題を解いたり、自分で解法の選択をして解く様な問題に触れることで、自ずと共通テストも解けるようになるだろう。

Q8:全体の感想を教えてください。

計算力だけで何とかならないような、思考力が問われる問題が増えている。
とはいいつつも、「作成者が問いたい力」をこの問題で問えているかどうかは疑問が残る。

例えば、それが顕著に表れているのが、大問1の(2)である。この問題の回答欄チを用意した意図は分かるのだが、この誘導の意味が分かるレベルの受験生はこの誘導を必要としていないし、誘導の意味が分からない受験生は文章を読んでも結局何のことか分からないだろう。

この問題に限って言えば、悪問と言って良い。

Q9:受験生に向けた一言

共通テストの対策さえすれば点数が取れる、ような問題は減少傾向にあります。

幅広い考え方を学び、それをスムーズに引き出せるか。特に、抽象議論(一般論)と具体的議論を相互に行き来できるような考え方が最も重要視されているので、普段から「これを一般化したらどうなるのだろうか」「無理に具体的な数値で考えず、一旦は一般のnで考えよう」といった姿勢を持って数学に取り組んで欲しい。

Q10:実際に東大生が解いていたメモ

東進 共通テスト解答速報2024より引用

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この記事を書いた人

東京大学理学部物理学科に所属。高校時代に生徒会長をした時の楽しさが忘れられず、学祭やイベントの運営に携わって仕事をすることが、至極の楽しみ。カルぺ・ディエムでは出版編集部に所属し、よりクオリティの髙い書籍を出すことを意識している。趣味はピアノとゲームとスラック。

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