数学オリンピック本選出場者が語る夢中になれる理由

東大生が紹介!数学好きな高校生におすすめの数学オリンピック

皆さんは好きなことや趣味はありますか?夢中になれるものはありますか?

9月に入り、まだまだ暑い日もありますが季節は秋へと移り変わってきました。「読書の秋」、「食欲の秋」など秋は色々な形容をされることがありますが、僕としては秋は自分の興味を突き詰めるのに使っても良い時間なのではないかな?と思っています。

そんな僕は、学生時代に数学が大好きで、数学の問題を解くのがもはや趣味でした。数学が嫌いな人にとっては理解できないことかもしれませんが、色んな難しい問題に立ち向かって答えを出すことにとても夢中になっていました。

そんな数学大好きだった僕が、かつて秋に夢中になっていたことについて紹介したいと思います!

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目次

数学オリンピックってなに?

皆さん、「数学オリンピック」をご存知ですか?

数学オリンピックとは、毎年一度開かれる数学の問題を解く能力を競う大会です。
「オリンピック」というとスポーツの世界大会の印象が強いですが、数学でもオリンピックは開かれています。

毎年7月頃に世界数学オリンピック(IMO)が開催され、100を超える国と地域の数学マニアが共通の問題を解いて点数を競い合います。その世界大会に出場する選手を決めるために、各国で予選が行われます。日本では毎年1月から2月にかけて、日本数学オリンピック(JMO)の予選・本選が行われ、優秀な成績を獲得した人が日本代表として世界大会に出場します。

実は、「世界数学オリンピック」開催場所は毎年移り変わるのですが、今年2023年は日本で開催されていたのです!
日本で行われるのは実に20年ぶりで、今年の7月千葉県の幕張で行われました。日本が開催地ということもあり、多くの参加者が予選から出場して盛り上がりを見せていたそうです。

この数学オリンピック、実は僕も出場したことがあります!
高校2年生の時、2019年の第29回大会に出場しました。日本数学オリンピックの予選は突破することができましたが、本選ではなかなか問題が解けずに落ちてしまいました。
今回は、数学オリンピックを実際に経験したことのある僕が、皆さんに少しだけその中身について伝えることができればと思っています!

数学オリンピックって誰が受けるの?

数学オリンピックと聞くと、皆さんはどのくらいの年齢の人が受けると予想されますか?
例えばスポーツのオリンピックであれば、もちろん10代の選手も出場することはできますが、多くの選手は20代30代でしょう。40歳を超えた選手が未だ現役で出場し、「レジェンド」などと呼ばれることもあります。しかし、数学オリンピックには出場するにあたって年齢の上限があります。日本数学オリンピックでは、その年に高校2年生未満である者が世界大会への出場資格を持ちます。つまり、中高生の大会ということになります。

多くの場合、学校で数学オリンピックに興味のある人や数学の得意な人が数人で集まって予選にエントリーします。僕の場合もそうでした。僕は野球部に所属していたので、高校1年生の頃は試合や練習と日程が重なり出場することはできませんでした。しかし、2年生の時は早めに日程が分かっていたので、部活動と両立しながら出場することができました。

この、「高校2年生以下」という出場資格に驚かれた方もいるかもしれませんが、この制限があるからこそ、数学オリンピックは高校数学の範囲までの中から思考力・想像力をいかに働かせられるかを問う良問揃いとなっています。そこまで数学の専門用語が出てこない問題もありますので、ここからは少しだけ、数学オリンピックの予選の問題を実際に見てみましょう!

数学オリンピックってどんな問題が出る?

さて、早速ですがこちらの問題をご覧ください。

ちょうど今年の1月に行われた、2023年度数学オリンピックの日本での予選の問題です。全12問ある問題のうち、第1問をピックアップしています。

みなさん、これを見てどう思いましたか?

「え、そんなに難しくなくない…?」

と思った人、多いのではないでしょうか?
もちろん、パッと暗算で答えが出るような問題ではありません。
でも、複雑な公式が出てきたり、難解な数学記号が使われているわけではありませんよね?
シンプルな計算で解くことができる問題です。

実は数学オリンピックは、全12問が1番から難易度順で並んでいて、もちろん年度やジャンルにもよりますが最初の3-4問はとっつきやすい問題が多いです。そのため、前半の方の問題であれば、数学マニアでない高校生でも取り組むことができますし、問題によっては小中学生でも解けるような計算問題もあります。このように、ただ難しい問題が連続するのではなく、さまざまなレベルの問題が織り交ぜられているのも、数学オリンピックの問題の魅力の一つと言えます!

続いて、こちらは上で説明した予選の問題の、第2問となります。

もう一つ、数学オリンピックの問題の特徴を挙げます。それは、この問題における「良い数」「悪い数」というような既存には無い数学の「概念」が登場することです。

この問題では、2の方が3より多く各桁に現れるような正の整数を「良い数」と定義し、反対に3の方が2より多く各桁に現れるような正の整数を「悪いの数」と定義しています。

これは非常に面白い発想です。実際に数学オリンピックを受験する人は数学に深い興味がある人が多いです。つまり、将来数学を研究する職に就く人の割合が高いのではないでしょうか?

数学を突き詰める上で、すでにある公式や計算方法だけではなく、自ら新しい概念を作っていくことはとても大事な視点になります。数学の問題をただ解いてもらうだけではなく、そのような「研究」的な目線も受験者に持ってもらうようにしているのです。

数学オリンピック、締切は間近!!

さてここまで、実際に数学オリンピックに出場した経験のある筆者が、数学オリンピックとはどのようなものなのかについて実際の問題も提示しながら解説していきました。

実はこの数学オリンピック、応募の締切は今月末(2023年9月30日まで)だそうです!
もうあと数週間しか応募期間は残されていません!!
※2025年開催の第35回は2024年9月30日に締め切りました。

数学オリンピックは学校の勉強にはあまり役立たないのでは?と思う人もいるかもしれません。しかし、そもそも全く役に立たないことはなく、数学的な思考力はとても鍛えることができます。また、学校のテストの問題に直結しなくとも、このような検定試験は、楽しみながら自分の能力を確かめるとても良い機会となります。

この記事を読んで少しでも興味を持ってくれた方は、今年の数学オリンピックの予選にチャレンジしてみて下さい!

それでは、今回の記事はここまでとなります。みなさん、またぜひ次の記事でお会いしましょう!

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この記事を書いた人

理系で東京大学に入学したが、教育をより深く学びたいと思い現在は教育学部に所属。高校まではずっと野球部に所属し、大学でも野球を続けている。趣味はピアノと旅行で、旅先のストリートピアノで流行の曲を弾くことが一番の楽しみ。

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