秋入学ってなに?経験者が解説!

みなさん、「秋入学」について聞いたことはありますか。数年前に、文部科学省で秋入学の日本の大学への導入が検討された時期に、ニュースなどで耳にした人もいるかもしれません。そもそも秋入学とは何でしょうか?この記事では、10月から東京大学の公共政策大学院に入学する筆者が、秋入学について解説します!

目次

秋入学とは?

そもそも秋入学とはどのような制度でしょうか。簡単にいうと、文字通り秋に入学することをいいます。日本の学校では、春4月に入学したり入社したりすることがしきたりですが、海外の多くの国では、秋に入学することが主流なのです。特に、アメリカやイギリスなど欧米圏の国では、9〜10月の秋に新しい年度が始まることが多いです。これらの国では、会計年度も同じ時期に始まるため、世の中のサイクルが日本と半年ほどずれているのですね。

日本でも秋入学導入?!

実は、日本でも一時期、大学で秋入学を導入しないかという話が上がっていました。しかし、部活の大会や入試の時期だけでなく、移行期の生徒数の増加などの実務的な課題、さらには卒業式・入学式などに和装を着るなどの伝統的な季節観が損なわれるなど、数々の問題点が浮き上がり、結果的に導入にいたりませんでした。

秋入学できる日本の大学

しかし、実は日本国内でも、いくつかの大学で秋入学を実施している学部があるのです。代表的なところでは、立命館大学のグローバル教養学部や早稲田大学の国際教養学部、上智大学のSPSF(Sophia Program of Sustainable Future)などがあり、国内の学校を卒業した生徒も9月入学が可能です。また、国際教養大学では、ギャップイヤー入試というものを設けており、人数は限られているものの、秋に入学できる入試制度を備えています。

すなわち、海外の大学に行かなくても、日本国内の大学に秋入学することもできるのです。また、大学院でも秋入学を実施しているところがあり、例えば東京大学の公共政策大学院にも、秋入学を選択できるコースがあります。

秋入学のメリット

では、はたして秋入学すると、何かいいことがあるのでしょうか?

ギャップイヤー

日本の学校では、3月に卒業するので、秋入学をする場合は入学まで半年ほど時間が空きます。この期間をギャップイヤーと捉えて、自由に活用することができます。筆者の場合は、企業でのインターンシップやNGOでのボランティア活動に励む傍ら、学部を通して勉強してきたスペイン語の検定試験DELEに挑戦しました。

在学中の留学

また、入学後も、秋入学のメリットを感じる場面がいくつかあります。まずは、秋入学が主流の海外大学に留学しやすいことです。年度のずれが生じないため、1年以上の長期の留学を検討している場合は、タイミングが合わせやすく、授業の履修なども合わせやすいのです。さらに、2つの大学での学位取得を目指す、二重学位制度(ダブル・ディグリー)へも参加しやすいといえるでしょう。実際、立命館大学のグローバル教養学部や早稲田大学の国際教養学部、また東京大学公共政策大学院のMPP/IPコースでは、ダブル・ディグリーの留学制度が設けられています。

大学での国際交流

さらに、日本の大学で導入されている秋入学は、帰国子女や留学生の受験を視野に入れたものが多く、国際的なプログラムが多く設けられていたり、留学生も多く受け入れていたりすることが一般的です。現に、この記事で取り上げたどの学部でも、留学生や帰国子女が多く在籍しており、日本にいながら留学さながらの体験をすることができます。

秋入学のデメリットと対策

ここまで、秋入学のメリットを紹介してきましたが、一方デメリットとしてどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、秋入学のデメリットとその対策について、筆者の経験も踏まえて紹介します。

具体的な計画を立てよう

そもそも、日本では秋に入学することが一般的でないため、周囲の中で自分だけ大幅に入学時期がずれることは避けられません。友達がみな学校に行っている中、自分だけ特に通う場所もなく宙ぶらりんな感覚を抱くかもしれません。4月の空気感も相まって、世の中が新たなスタートを切っている中で、自分だけ取り残されているような不安を感じることもあるでしょう。

このような不安感や孤独感を防ぐためにも、2・3月から春からの生活に向けて準備を進めておくことが重要です。インターンシップやボランティアをやるのであれば、あらかじめいくつか応募しておきます。また、フィールドワークなど、課外活動を行う場合は、インターネットなどを用いて調べることはもちろん、実際に足を運んでみましょう。何か資格を取りたいと考えている場合は、勉強計画を立てて、予め教材を揃えておいたり、レッスンに申し込んだりします。そうすることで、4月に入ってすぐに、気持ちよく「新生活」のスタートを切ることができ、1人取り残されている感覚に陥ることもありません。

友だちとのつながりを大切にしよう

また、仲の良い人々とのつながりを維持しておくことも効果的です。学校の友達が、みんなそれぞれ別の進路を進んだとしても、SNSを利用して連絡を取り合ったり、定期的に会ったりと、意識してみましょう。なにも友達何十人とつながりを持っておく必要はありません。本当に仲のいい人たち数人だけでも連絡を取り続けることで、先に進学したり就職したりしたひとの生活を垣間見ることができ、10月からの生活に向けて準備を進めやすくなります。また、ギャップイヤーの期間中は、特定のコミュニティに属することが難しいため、すでにいる友達の輪を大切にすることが、孤独感を感じることなく10月まで過ごす上での鍵になるのです。

最後に、注意しなければならないのが、就職活動です。卒業時期が、一般の日本の学生とずれるため、就職活動を始める時期も多少ずれることになります。外資系企業のなかでは、秋入社を設けているところも少なくありませんが、秋入社制度のない企業では、卒業年度の次の年度の入社となります。秋入学をするか考える際には、卒業後の進路も視野に入れて検討しなければなりません。

まとめ

いかがでしょうか。日本ではあまりなじみのない秋入学ですが、チャレンジしてみるとその先に新たな出会いや学びがたくさん待っているかもしれません。少しでも気になった人がいれば、カルペディアに掲載されている「ギャップイヤー」に関する記事も参考にしながら、さらに掘り下げて調べてみてください!

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この記事を書いた人

東京大学では、法学を専攻。人権問題や環境問題に関心があり、学部卒業後は公共政策大学院に進学(予定)。高校時代から遅くとも22時半には就寝する、極度の朝型。趣味は、ランニング・映画鑑賞・サッカー観戦など。

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