【東大生インタビュー】PASSLABOメンバー安形さんに隠された壮絶な過去とは?

日本最難関クラスの大学である東京大学。通う学生の多くは、幼少から塾通いをして名門中高を通ってきた、いわゆる「エリート」たちです。
しかし一部には、まったくエリートらしからぬ道筋をたどって合格した学生もいます。ここでは、元落ちこぼれや休学経験者など、「普通の東大生」らしからぬ道を辿って東大へ入学した「リアルな東大生」の姿をお届けします。

本日お話を伺うのは現役東大2年生の安形優里さん。安形さんは東京大学で学業に励む傍ら、東大医学部発の教育集団PASSLABOにて活動されています。代表作には以下の動画があります。

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12月は受験生にとっても勝負を決める重要な時期。自然と気合が入ります。PASSLABOの12月のキーワードは「受験生と伴走する」。共通テストに向けて、1ヶ月で+100点を目指せる勉強法を提供します。また、動画配信を通して、実際に受験生と一緒に勉強する「勉強LIVE」も行います。

2023年12月23日には、全国の受験生と一緒にZ会の共通テストパックを解く「Z会×PASSLABO共催全国オンライン共通テスト模試」があります。You Tube上で実際に問題を解いている様子を配信し、受験後には採点、解説まで行います。

目次

なぜ教育なのか?〜アメリカでの経験〜

「受験生と伴走」しながら応援し続けるには、それなりの熱意が必要になります。安形さんはなぜ、教育に熱心に取り組まれているのでしょうか。

「私の教育への原動力は、アメリカから日本に帰ってきたときのカルチャーショックにあります。親の都合で渡米して、そこで様々な体験をしました」

彼女が教育に興味を持った原体験は、小学生の頃の思い出にあります。小学3年生のころに、父親の仕事の都合で渡米した彼女は、英語もろくに話せないまま現地校に入れられました。自分の考えを伝えられず、相手が何を言っているかわからない状況は大きなショックでした。

ただ、彼女はそのような環境にめげたわけではありません。学校の中で自分の居場所を見つけるための方法を模索し始めます。そこで見つけたのが、算数でした。日本では小学校2年生で習う掛け算九九。アメリカにはそのような仕組みはありません。算数が得意な子のクラスに行っても、手や筆算で計算する子たちばかり。掛け算九九ができるだけで、彼女は「計算のできる子、算数の得意な子」として尊敬され、思いがけず自分の居場所を見つけられたのです。

アメリカでは、学校ごとで、先生の質や生徒の環境により、学びの姿勢が異なります。治安が悪い地域では、学校自体が崩壊して、薬や銃が横行していることも。日本では当たり前に与えられる教育インフラですが、世界中を見れば、「当たり前」ではありません。自分の恵まれた境遇を理解し、深く感謝するようになったそうです。

中学1年生のころ日本に帰国した安形さんですが、さらなる苦難が彼女を襲いました。

「帰国後は、地元の公立中学校に通うことになりました。小学校時代の知り合いもいましたが、4年間もあっていないので、みんな大きく変わっていました。無条件に私を受け入れてくれるわけではなかった。それに、日本の学校のほうがカリキュラムの進みが早く、勉強の遅れも取り戻さなくてはいけませんでした。そんな折、生活のストレスのせいなのか、なぜかダイエットにハマってしまったのです。」

思うようにすべてがうまくいかない中、唯一成功したのが、ダイエットでした。たった一つの成功体験として、ダイエットの成功を美化するあまり、彼女は食べることを拒絶するようになりました。拒食症です。

熱中することが良い。

当時うつ症状も出ていたことも悪影響を与えたのか、彼女の精神状況は加速度的に悪化していきます。うつも拒食症も重態化し、中学1年生の3月には登校が不可能になりました。自宅療養するも回復せず、中学2年生から入院となります。

つらい記憶を思い出しながら当時を振り返って、「閉鎖病棟のようなところに入れられていた」と語ってくれました。友人や先生には面会できず、親ですら週に1度しか会えない生活。今まで当たり前だった「人とのふれあい」が失われます。

そんな彼女を救ったのは、乃木坂46でした。小学生のころから乃木坂のファンだった彼女は、病棟での唯一の楽しみとして乃木坂のコンサートやライブビデオを見ていました。特に白石麻衣さんが好きで、彼女に関する記事やドキュメンタリーを見て、一緒に頑張ろうと自らを奮い立たせました。

退院後は悪化することもなく、無事平穏な日常を取り戻します。医師からは「また悪化しないようにするためには、何かに熱中するといい」と言われていました。熱中すべきものを探した安形さん。ちょうど中学2年生の冬、受験を意識し始めるころでした。「受験勉強に熱中しよう!」と心を決めて、一心不乱に勉強します。そして合格したのが、県内でも有数の公立進学校である沼津東高校でした。

人生でも一番多感な時期で大変な目にあった自分を振り返って、安形さんは「自分の一番の支えになってくれるのは自分の経験」だと語ります。自分が今やっていることがたとえ将来に役立つか分からなくても、自信をもって、目の前のことに熱中する。熱中のコツは、それ自体を好きになること。勉強自体を好きになれなくても、その科目の先生や自分で作ったノートなど愛する対象は何かあるはず。自分の好きなことに引き寄せて、徐々に全体を愛せるように意識すると、これが熱中につながっていくのだそうです。受験生や人生に悩む中高生に向けた、温かいメッセージでした。今後の安形さんの活躍に期待です。

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この記事を書いた人

東京大学文学部。世帯年収300万円台の家庭から東大へ合格。現在学業の傍ら、ライター、作家活動や講演活動を通して逆転合格のノウハウを広める。日刊SPA!、プレジデントオンライン、東洋経済オンラインにて連載経験あり。ゲームとマンガが趣味。

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