「東大生の合格体験記」— それぞれの挑戦、それぞれの道。
「東大生の合格体験記」では、さまざまな背景を持つ東大生たちに、自身の「合格までのリアル」を語ってもらいます。
偏差値が高かったわけでもない。特別な塾に通っていたわけでもない。むしろ、部活に忙しく、勉強の時間すらままならなかった。
そんな「東大なんて無理だ」と思われがちな環境から、それでも東大にたどり着いた彼らのストーリーは、きっと、いま自信をなくしかけているあなたの背中をそっと押してくれるはずです。
今回は、将棋部と陸上部を兼部していたある東大生が、「時間がない」を言い訳にせず、どうやって勉強と向き合い、合格をつかみとったのかを語ってくれました。
群馬の竜王編:新藤篤隼斗
「部活が忙しいから勉強できない」
かつての僕も、そう思っていた時期がありました。でも、その言い訳をやめようと決めたときから、少しずつ変わっていったんです。
僕は部活動にも全力で取り組みながら、学業でも優れた成績を収めてきました。その秘訣は、時間の使い方と勉強の質、この二軸にありました。
「時間がない」を言い訳にしない勉強術
まず、僕が徹底していたのは「勉強時間をどう捻出するか」です。将棋部と陸上部を兼部していた僕は、朝も放課後もほぼ毎日部活動に追われていました。部活が終わった後は疲れ切って、集中して勉強できないこともしばしば。
ならば、時間がないなら、ある時間を活かすしかありません。
たとえば休み時間。友達とふざける代わりに、数学の問題を出し合い、解説しながら理解を深めていました。前日に分からなかった問題は翌朝すぐ友達に共有し、疑問点を早めに解消する。こうした習慣は、周囲も巻き込みながら勉強のモチベーションを高めることにもつながりました。
また、運動中の時間も無駄にはしませんでした。陸上部で、ジョギングや体幹トレーニングの最中には、一緒にやっている仲間と英単語の問題を出し合っていました。テレビCMの合間や自転車での登下校中にも、前日に覚えた単語を思い出す時間にあてていました。極めつけは、ホームルーム前の数分を使って、自分の1日を振り返る習慣。こうして「何もしない時間」を極限まで削ることで、忙しい日々の中でも確かな学びの時間を積み上げていたのです。
「最短距離」は遠回りの中にあった
そしてもう一つ、成績を伸ばすために欠かせなかったのが、効率的な勉強法です。僕はまず、勉強に集中できる環境づくりを徹底していました。スマホやゲームなど、少しでも集中を乱すものは部屋に置かない。自分の部屋を“勉強だけに集中できる空間”として整えていました。
さらに、自分に合った勉強スタイルを見つけるために、他人のやり方を積極的にまねして試す姿勢も大切にしていました。成績がいい友人の暗記方法をまねしてみて、自分に合わなければすぐに別の方法を試す。その繰り返しの中で、自分に最適な勉強法を見つけていったのです。最初は遠回りかのように思えますが、これこそが最も効率的な勉強法だったと今では感じています。
忙しさを言い訳にせず、むしろ忙しいからこそ工夫する。これが、僕が実践していた両立の極意です。限られた時間の中で成果を出すために、時間と効率の両方を工夫する。その姿勢こそが、勉強と部活を両立し、第一志望に現役で合格するための秘訣だったのです。
新藤篤隼斗:東京大学教育学部基礎教育学コース。群馬県渋川市という地方の高校から10年ぶりに東大合格。幼い頃から将棋をやっており、大学の部活でも大活躍中。趣味は頭が良さそうと思われるかなと思い読書と言っている。ボカロが結構好きで、特にorangestarは毎日聞いているが、声が低くてカラオケで歌えないので奮闘中。

