みなさんは、受験に対して前向きでしたか? なかなか前向きでなかったという方も多いのではないでしょうか。僕自身も、自分に東大に受からなければ人生を切り開けないという強迫観念があったからこそ立ち向かえたものの、自分から勉強しようという強い動機はそれくらいでしたから、追い詰められてやっとというありさまでした。
しかし、一年ないしは二年、それ以上にもなる受験戦争になると、それだけのモチベーションでは戦いきれないこともあります。長い戦いになるからこそ、戦う理由はとても重要なものなのです。
さらに、受験のモチベーションは受験生本人ばかりの問題ではありません。受験生本人を取り巻く周囲の環境が大いに関わってきます。親の声掛けの方法や、見守りの仕方、勉強に向き合う環境があるかどうかなどによって、本人の動機が大いに揺れてくるのです。
本日は、「夏休みまではどのように過ごせばいいのか?」「親はどのように子どもに接していけばいいのか?」という二点について、受験期間のモチベーションアップにつながるヒケツをお伝えしていきます!
夏休みまでの過ごし方
夏休みまでの期間には、夏休みに入るまでに必ず一度は「これからやるべきこと」を全て並べてチェックしてみましょう。そのうえで、夏休みに入って以降、受験本番に至るまでの間で、自分が実際に何をすべきなのか細かくシミュレートしてみましょう。
夏休みまでの長い期間、春から夏までの間は、意外と受験生の気が緩みやすい季節です。「スタートを切ったばかりなのに!」と思われるかもしれません。しかし、皆さんにもこんな経験はないでしょうか?「新しく英会話を始めるぞ!と意気込んで初めてみたはいいものの、1カ月で行かなくなってしまった……。」「運動したいと思って自転車型トレーニング器具を買ったのに、すぐに押し入れにやってしまった……。」
これらはすべて、受験生が陥るやる気消失と同じ様相を呈しています。4月の間は「受験のために頑張るぞ!」とやる気に勇んで机に向かえますが、すぐにその元気もなくなってしまい、意気消沈してしまうのです。
この理由は、自分が次に何をすればいいのか分からなくなるから。目指すべき目標と、今自分が実際にいる位置との距離を測りかねている状態ともいえます。ですから、こういったときには、「自分が次に何をすればよいのか」を再確認すればよいのです。
具体的には、夏休みまでの間に、志望校の過去問を確認するようにしましょう。その時には問題と一緒に解説まで読むようにして、自分が理解できるかどうか、理解できないならどのような知識が足りないのかをリストアップできるようにしましょう。
やる気がなくなった時には、自分が何のためにその挑戦をしようとしているのかを思い出すことが有効ですから、ぜひ思い出してみてください!
子供との接し方
受験期の子どもとの接し方はとてもシンプルです。次の三つを守るようにしてください。1つ目は、なるべくいつも通りに接すること。2つ目は、勉強について口出ししないこと。3つ目は、結果よりもプロセス自体をほめてあげることです。
いつも通りに接するというのは、意外と難しいかもしれません。これは、家事などを手伝わせるという意味も入っています。例えば、受験生だからと言って優遇したりせず、平常時が「風呂掃除と皿洗いが仕事」なのであれば、その仕事はいつも通りに任せるようにしてあげようということです。
これは、受験生のルーチンを崩さないようにするという意味合いがあります。いつもの暮らしからしてみると、受験期間は異常時のように見えるかもしれません。しかし、受験時の真の姿は「いつも通りの日常」です。いつも通りの日常であるからこそ、1年越しの戦いを戦い抜くことができるのです。「いつもとは違う」という空気感を背負ったままで、一年以上にも及ぶ長い戦いを生き抜くことはできません。
ですから、「いつも通りの日常」がなるべく崩れないようにふるまうべきです。「受験生だから」と特別視するのではなく、受験生だからこそ、いつも通りに家事や家の仕事の手伝いをさせるべきなのです。
また、勉強に口出ししないということもこれに話が通じます。普段から勉強に口出しをしているのであれば、それは口出しするのを控えた方がいいでしょうが、受験時だからと言ってあまりあれこれ口出ししない方が、受験生のためになるのです。
もちろん親からすれば「うちの子は本当に受験に受かるのだろうか」と心配になる部分もあるかと思います。しかし、あまりにもたくさんのプレッシャーをかけられては、受験を戦い抜くよりも先に、受験生の心が壊れてしまいます。本当にお子さんのことを思っているのであれば、あまり過度な期待と不安をかけるべきでありません。わが子のことを心配しているからこそ、「勉強しているのか!」「勉強しなさい!」と言わず、むしろ勉強なんてなんのその、といった態度を崩さないようにすることが肝要なのです。
また、勉強の結果が振るわなくても、まずはほめてあげるようにしましょう。これは、プロセスをほめるということに通じます。実際に数字として出てきた「結果」の方に目が奪われがちかもしれませんが、そうではなくて「そこまで頑張った」という「過程」の方に注目してあげて、そこをほめてあげるほうが良いのです。
なぜならば、結果は動かしがたい事実ではありますが、「頑張った」ということはあくまで主観でしかないからです。だからこそ、結果が振るわなかった時に、受験生はついつい「自分が頑張らなかったせいだ」と自分自身を責めてしまいます。ですから、どのような結果があったとしても、結果それ自体ではなく、まずはその結果を出すまでにどれだけ頑張ったのかを慮ってあげて、プロセス自体をほめてあげることが必要になるのです。
最後に
いかがでしたでしょうか。受験期間は、受験生やその親御さんにとって、長く苦しい戦いになってしまいます。であるからこそ、どれだけ平常心を崩さず、いつも通りの自分を保ちながら戦い続けることができるかということが重要になります。
この記事が皆さんの生活に何か寄与することができることを祈ります。