大学受験を考えるうえで重要な選択肢の一つが「指定校推薦」です。これは、大学が特定の高校と連携し、その高校から推薦された生徒を優先的に選抜する制度で、一般入試や総合型選抜とは異なる特徴があります。
本記事では、指定校推薦の概要やメリット・デメリット、合格を勝ち取るためのポイントについて分かりやすく解説します。
指定校推薦とは?
指定校推薦とは、大学入試における「学校推薦型選抜」の一種です。大学が定めた指定の高校の生徒のみが出願でき、その高校からの推薦を受けた生徒を優先的に合格させる入試制度です。
一般的に、各大学が指定校として登録している高校は数多く存在し、枠の設定数や応募条件は大学や学部により異なります。大学の付属高校でほぼすべての生徒分、枠が設定されている場合もあれば、公立高校で1つの大学につき2,3枠ほどしか設定されていない場合、さらに、行きたい大学の枠が1つも設定されていない場合もあります。
応募条件は、評定平均4.0など、学業面で比較的高い成績が求められる大学が多いです。入試の審査の中心は、在学中の評定平均や欠席日数、学習態度などです。学内選抜で推薦生として選ばれ、受験資格を獲得できれば、ほぼ確実に合格が期待できる方式です。

指定校推薦制度の概要
指定校推薦を利用するには、まず自身の高校が、対象大学の指定校となっていることが前提です。大学は、評定平均や校内での活動実績などを重視しつつ、事前に決められた推薦枠を確保しています。高校側はその枠に基づいて生徒を選抜し、推薦候補として大学に書類を提出します。
合格が決まる時期は大学や学科によって異なるものの、一般入試より早いケースがほとんどで、12月中には決まる大学が多いです。早期に進路を確定させたい受験生にとっては魅力的な制度といえるでしょう。
一般入試・総合型選抜との違い
大学入試には学校推薦型選抜の他、「一般入試」「総合型選抜」があります。
一般入試は主に学力試験(筆記試験)を基準としており、多数の受験生との競争を経て合否が決まります。一方、総合型選抜(旧AO入試)は、学力のみならず志望理由書や面接、プレゼンテーションなどを通じて人間性や個性を総合的に評価する方式です。
指定校推薦はこれらと異なり、学校の成績(評定平均)や校内での活動実績を中心に評価が行われ、既定の枠内であれば合格の可能性が高まります。

指定校推薦を利用するメリット
指定校推薦には、合格率が高いことや早期に合否が判明することなど、大きな利点があります。一般入試の厳しい競争を避けられる一方で、履修状況や校内評価が重視されるため、日頃の学習と生活態度が鍵を握ります。以下では具体的なメリットを2つ解説します。
合格の可能性が高い
指定校推薦は、大学側があらかじめ信頼を寄せている高校からの推薦を前提としているため、基本的に合格するのが特徴です。早い時期に合否が判明するケースが多いため、受験ストレスを軽減し、残りの高校生活を有意義に過ごすことができる点も大きな利点です。
他の選考と比較して合格発表が早い
指定校推薦は、出願や選考のスケジュールが比較的早期に進むため、合格発表も早めに行われることが一般的です。
早期に進路が決定すれば、一般入試に向けた予備校や塾での学習負担を軽減できるほか、受験費用や宿泊費などの金銭負担も軽減できます。また、合格後の期間を活かして、大学入学後の学習やキャリアプランを見据えた準備を、早めに進められるのは大きなメリットです。
指定校推薦を利用するデメリット
指定校推薦は合格率が高い反面、合格後の辞退が難しいなど、特有のリスクがあります。大学生活や将来のキャリアを考慮せずに安易に選択すると後悔する可能性もあります。ここでは、代表的なデメリットについて3点紹介します。
合格後辞退ができない
指定校推薦は、大学と高校が信頼関係を築いた上で運用される制度です。そのため、一度合格が決まると辞退は原則として認められません。やむを得ない事情がある場合でも、手続きは非常に厳格です。次年度以降の推薦枠取消など、高校にも不利益が及ぶ可能性があります。ほかに第一志望の大学がある場合は、指定校推薦を利用すべきか慎重に判断する必要があります。
校内選考を通過することが難しい
大学との契約で指定された推薦枠は限られているため、希望する学生が多ければ校内選考が激化する場合もあります。
選考では、評定平均や欠席日数、提出物の期限を守っていること、部活動や生徒会活動などの実績が評価対象となり、総合的に判断されることが多いです。評定平均は高校1年生から3年生までの成績で計算するので、1年生から高い成績を目指す必要があります。ただし、高い評定平均を保っていても、日頃の生活態度や課外活動が評価されずに落選するケースもあるため、日常から幅広く努力を積み重ねることが大切です。
選考に落選した場合の切り替えが必要
指定校推薦の校内選考は、総合的な観点を評価するため、出願してから結果が出るまでに時間がかかります。9月〜11月頃の校内選考の間、ソワソワして勉強が手につかない事態が起こってしまうかもしれません。この時期に勉強に手がつかなくなることは入試本番に直結する大きな危険です。選考に落選した場合のことを考えて、選考中も一般受験の勉強を淡々と進めなければいけません。
指定校推薦の応募条件と必要な評定平均
指定校推薦で合格を目指すなら、大学や学部が求める評定平均や出欠状況などを事前に把握しておく必要があります。高校によっては独自のルールや条件を設定している場合もあり、校内選考を突破するためには総合的な評価を得ることが重要です。以下では、具体的な応募条件について確認していきましょう。
評定平均
指定校推薦では、大学や学部ごとに設定された評定平均の基準を満たすことが不可欠です。3.5程度で十分なところもあれば、難関大学では4.0以上が必要とされる場合もあります。たとえば早慶では4.0以上で、一部には最低条件が4.3以上の学部もあります。
高1や高2の成績が合否に直結するため、早期から計画的に学習に取り組んでおくことが望ましいでしょう。
出欠状況
無断欠席や遅刻が多い生徒は、評定平均が高くても推薦の対象になりにくい傾向があります。大学は真面目に授業へ参加する姿勢を重視するため、日頃の通学態度は大きな評価ポイントです。
部活動・生徒会活動・ボランティア実績
校内選考の段階で、部活動や生徒会活動などへの積極的な参加がプラス材料になることは多いです。リーダーシップを発揮した経験や、継続的なボランティア活動などが評価される傾向があるので、高校時代の総合的な取り組みが合否に影響することを意識しておきましょう。
指定校推薦の流れとスケジュール
高2から始める準備
指定校推薦を検討している場合は、高1の段階から成績や欠席状況、課外活動などを意識して行動すると有利になります。自分の高校がどの大学の指定校枠を持っているのか、過去の合格実績はどの程度かといった情報を早めに収集し、必要な評定平均や条件を把握しておきましょう。
高3前半の手続き・出願準備
高3の秋頃になると、校内で指定校推薦を希望する生徒の受付が始まり、校内にて希望者の選考が行われます。
選考を通過したら、大学に提出する書類(志望理由書・調査書など)の作成や、面接対策、小論文対策を進めます。書類作成は高校の進路指導担当や担任の先生に相談しながら、締め切りを厳守して進めることが大切です。
面接・小論文対策
指定校推薦では学力試験が課されない場合も多いですが、代わりに面接や小論文が実施されることがあります。
面接では、高校生活で頑張ったことや大学で学びたい分野を問われるため、事前に自己分析を行い、自分の強みと将来像を整理しておくとスムーズです。小論文は論理性や文章力だけでなく、学部の内容に近いテーマへの関心度や知識が求められることもあるため、日頃からニュースや専門分野に関する情報に触れておくことが有効でしょう。

よくある質問(Q&A)
指定校推薦に関しては、合格率や受験条件、合格後の進路変更など多くの疑問が寄せられます。ここでは代表的な質問を取り上げ、受験生や保護者の方が安心して準備できるようによくある質問について回答します。
Q1. どんな場合に不合格になる?
指定校推薦は一般的に合格率が高いとされていますが、最低条件の評定平均に届いていなかったり、面接・小論文での評価が想定より低かったりすると不合格となることもあります。
たとえば小論文をほとんど書けずに提出する、面接で答えられずに泣いてしまうなどの場合です。提出書類の不備や期日違反も要注意で、校内選考の段階で落とされるケースもあります。基本的なルールをしっかり守ることが大切です。
Q2. 指定校推薦と公募推薦はどちらが有利?
公募推薦は大学が幅広く志願者を募集する方式で、学力のみならず実績や意欲が重視される場合もあります。指定校推薦は、枠が限定されている代わりに評定平均や欠席状況などをクリアすれば合格率が高いという特徴があります。
どちらを選ぶかは、希望大学の入試要項や自分の成績、校内競争の度合いなどを総合的に判断して決めるとよいでしょう。
まとめ:情報収集と早期準備が合格へのカギ
指定校推薦は、高校在学中の成果を評価してもらいやすく、合格の可能性が高い入試制度です。ただし、合格後の進路変更ができない点や、校内選考を突破する必要がある点など、考慮すべき注意点も存在します。
合格率の高さだけにひかれるのではなく、自分の将来目標や学習計画をしっかり見据え、早めに情報収集を行うことが成功への近道です。保護者の方も、子どもが納得したうえで最適な進路選択ができるよう、一緒に情報を整理したり学校の先生へ相談したりしてサポートを続けましょう。
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