壱岐高校 布施川天馬 講演「今日から使える成績アップ術」

【壱岐高校講演レポート】布施川天馬「今日から使える成績アップ術」

カルペ・ディエム講師の布施川天馬講師(文学部4年生)が2022年9月22日、「今日から使える成績アップ術」という題目で、長崎県にある壱岐高校の1年生と2年生、合わせて約200人に講演を行いました。

1時間半に及ぶ講演では、布施川講師の経験なども交えながら、英語、国語、数学のそれぞれで使える成績アップ術を紹介したほか、勉強する意味についても触れました。

本記事では、この講演の様子をメディア事業部のめいちゃんがレポートします!

目次

「勉強が得意」な高校生は10%しかいない!?

厚生労働省の調査によると、全国で「勉強が得意」と答えた高校生は約10%ほどしかいないといいます。

「成績を上げるために頑張って勉強するけどなかなか成績が上がらない。それって、学生生活の大きな悩みの一つだと思います。でもその悩みは、勉強のやり方で解決できるんです。」

速く走るための正しいフォームがあるように、成績を上げるための正しい勉強のやり方があると布施川講師はいいます。

「僕は中高と吹奏楽部に所属していて、勉強の習慣がありませんでした。なので、東大を目指す上では圧倒的に勉強時間が足りなかったんです。とはいっても、勉強してこなかった人がいきなり勉強ができるようにはならないんですよね。遊んでいないと勉強なんてやっていられない、と(笑)。そこで、受験勉強中もできるだけ遊ぶ時間を確保しようと考えた結果、少ない時間でもたくさんの学びが得られるような勉強法を実践するようになったんです。」

英語の勉強は単語と文法!

生徒たちが注目する中、布施川講師はまず英語の勉強法から話し始めました。英語の勉強はずばり、単語と文法だといいます。

「英単語は積み木のパーツ、文法は積み木の組み方なんです。組むためのパーツもその設計図もなければ、英語という積み木は絶対にできないですよね。結局は単語と文法からは逃げられません。ただ、これらはとにかく暗記をすればOKです。」

単語と文法を暗記するために、布施川講師は受験生時代にある暗記術を実践していたといいます。それが「返し縫い暗記術」です。質よりも量を重視した勉強法で、2歩進んでは1歩進むように、進んでは戻る勉強を心がけるというものです。その例として挙げられたのが、以下のような勉強の進め方です。

返し縫い暗記術を説明する図
「返し縫い」暗記術

「集中して暗記した後に一拍おいてテストをすることで、覚えた単語、覚えていない単語をはっきりさせることができます。とはいっても、これをやる回数は1日1回では足りません。1日に3回はやるようにしてください。それでも覚えられなかった単語には印をつけておいて、3日後にもう1度やるというのを繰り返していくと、暗記漏れを防ぐことができます。」

多くの生徒が真剣な表情でメモをとっていました。その様子からは今日の話を吸収しようという気持ちが伝わってきます。

「なんとなく」ではこの先困る国語

英語に引き続いて国語の解説も始まりました。

「漢字を覚えたり古典をやったりしている人はいると思いますが、読解の練習はどうでしょうか? 読解というと、勉強法がよくわからないし、母国語だから勉強しなくても0点を取ることはあまりないでしょう。だからこそ、「なんとなく」で解いていませんか?」

この言葉に対し、生徒たちが頷く様子が多く見られました。「なんとなく」で解いているのでは、受験では通用しないと布施川講師はいいます。定期テストは習熟度を確かめる試験である一方、大学入試のテストはできない人を落とす試験です。「なんとなく」で解いている人は簡単に落ちてしまうというのです。

「読解の練習をする方法は2つあります。1つは語彙力を高めること。日本語と言っても、実際はよくわからない単語ってたくさんあるんです。例えば校歌の歌詞にある「駘蕩の春」の意味って考えたことありますか? これは穏やかな春という意味です。こんなふうに身近なところからも、語彙力を増やしていくといいと思います。」

布施川講師は、語彙力を増やすためにおすすめの参考書も紹介しました。

「そしてもう一つは、要約の練習をすること。国語の教科書に出てくる文章などを、200字くらいで要約してみると、いい練習になると思います。なんで要約なのかと言うと、読解力の正体は、要約する力だからです。「要するにどんな話?」というのをまとめることができれば、読解できたようなものだと言えます。」

なぜ要約が必要なのかというと、要約する力が読解力の正体だからというのを説明する図
要約する力はなぜ必要なのか?

数学に必要なのは計算力

続いて始まった数学の解説では、「数学に必要な〇〇力ってなんだと思いますか?」という布施川講師の問いかけに対し、生徒からは「計算力」という回答がちらほらと返ってきました。その通り、数学で必要なのは思考力じゃなくて計算力だというのです。

「どんな難しい公式も、突き詰めれば四則演算だからです。そして、計算が早ければ、その分考える時間を確保できます。例えば、東大文系の数学の入試問題では、100分で4問の問題を解くんですが、その過程では700回ほど計算をするらしいんです。1回の計算に10秒かかっていたら、計算だけで試験時間が終わってしまいますね。それが5秒だったら40分余るので、1問あたり10分考えられます。さらに3秒だったら65分余るので、1問あたり15分以上考えられることになります。どんな計算も3秒以内にできるように、頑張って計算力を上げましょう。」

そして布施川講師は、トランプや車のナンバーなどを使った計算の練習方法を紹介しました。また、計算には知識も必要だといいます。

「11×11だったり、12×12だったりという計算は、試験でよく使います。これを覚えておけば、11×12は121+11で132というふうにすぐ計算することができるんですよね。こういうよく使う計算も覚えておくと便利です。」

数学では、計算力だけではなく、11×11=121とパッと出せるような知識も大事だという説明の図
数学では知識も大事

なぜ勉強しなければならないのか?

最後に布施川講師から「どうして勉強しないといけないと思う?」という問いかけがされました。生徒たちがなんだろう?という顔で見つめる中、布施川講師はこの問いに「生きていくため」と答えました。

「学歴が武器になるかというと、そういうことはないと僕は思います。でも、少し転んだ時に助けてくれるものではあると思います。これから何十年生きていく中で、ピンチになることが一度もないなんてことは言い切れません。ピンチで本当に困った時、一番最後に頼れるのは自分自身です。その時を乗り越えるために、今から勉強をして鍛えておこうということだと思うのです。」

参加した高校生の声

講演後のアンケートでは、「満足」「とても満足」という回答が94%という結果になりました。満足度の理由として最も多かったのは「勉強のやり方について新しい発見があった」、2番目に多かったのが「勉強へのやる気やモチベーションが上がった」となり、特に「返し縫い暗記術」への反響が高かったようです。

僕は英語が苦手でテストでもあまりいい点数やクラス平均の点数をとれていないので返し縫暗記術をこれから実践していこうと感じました。

​返し縫い暗記法を実践していきたいです。今まで英単語を含め英語自体が苦手だったので、返し縫い暗記法を繰り返し行い英単語から覚え、克服していきたいと思いました。また、重要なことだけをまとめることも苦手なので、語彙力を身に付け要約の練習をしていきたいです。

また、生きるために勉強するという布施川講師からの最後のメッセージも、心に残ったという声が聞かれました。

「本当に困ったことが起きた時に頼れるのは自分自身」という言葉について勉強の目標が見いだせていない人でも勉強する理由となるから(印象に残った)。

布施川講師より

本講演では、とにかく「成績を上げる」という一点に絞ってノウハウをお伝えいたしました。というのも、学生にとって成績の数字は、親世代が思っている以上に重くのしかかってくる数字であるためです。

学校以外の世界をあまり知らない生徒たちにとって、そこでの評価値の上下は死活問題。勉強を楽しむことも大切ですが、楽しめるようになるのもまずは成績を上げてからという方も多いでしょう。

学校を出てからも長い人生は続いていきます。学生時代はそのための準備期間、サナギのような段階。スタートダッシュが切れるのなら、そうして自信をつけた方が彼らのためにもなるでしょう。

考える力をつけるためにも、まずは具体的かつ実行可能な施策を、実際に勉強している生徒の皆さまと一緒に考えていく、そんな姿勢が何よりも大事だと自分自身考えております。

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この記事を書いた人

東京大学では教育学を専攻。学業の傍ら、中高生向けのイベント企画や本の企画・編集に従事してきた経験から、人に新しい「出会い」を提供することに興味がある。ジブリとロードバイクが趣味。

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