2022年11月5日、石川県中能登地域の小中学校と高校の教職員の皆様、PTAの皆様を対象に「生徒が化けるのはどんな時?児童生徒への声掛けを非認知的に語る」というテーマで講演を行いました。今回講師を務めたのは、カルペ・ディエム代表取締役社長の西岡壱誠(にしおか・いっせい)、所属講師の相生昌悟(あいおい・しょうご)、高橋優斗(たかはし・ゆうと)の3人です。
本記事では、この講演の様子をメディア事業部のめいちゃんがレポートします!
子どもたちは教育次第でいくらでも変われる
西岡講師の自己紹介から始まった本講演では、偏差値35からある恩師との出会いをきっかけに東京大学に合格したという経緯が紹介されました。西岡講師は、自身のような「リアルドラゴン桜的な東大生」は少なくないと話します。
「偏差値が低いところから東大に合格する人なんて、レアケースでしょと思う方も多いと思います。でも、実はそうでもないんです。僕が運営している会社では、20名程度の東大生がインターンや講師として所属していますが、その中には、もともとは偏差値が高くなかったけど、高校時代にたくさん勉強して東大に合格したという人が多いのです。」
こう語った上で、神童と呼ばれるような「子供の時からできる子」というのはそう多くないのではないかと西岡講師は指摘しました。
「学力的な面でも、それ以外の面でも、人間って変わります。適切な教育を受ければ、お子さんたちは伸びる可能性があると考えています。教育の価値ってそこにあると思うんです。」
いまとがった才能を発揮していないとしても、周囲の声掛けや新しい出会いによって変わる可能性は大いにあります。子どもたちが思いもよらない方向に成長するのは、教育の醍醐味だと西岡講師は強調しました。
地方から東大に合格するための”3ステップ“
現在東大法学部に在籍する相生講師は、高校2年生の時、実際に地方と都会とで格差を感じたと語ります。
「高校生の時はやはり情報格差を感じていました。そんな中でどのようにして東京大学に合格できたのかを考えてみると、今からお話しする3ステップを踏んだからだと思っています。」
そう言って相生講師が紹介したのは、以下の3つのステップです。
①積極的な情報収集をする
②自分の行動基準を全国レベルに変容させる
③変容させた行動基準に沿って行動する
都会の生徒は、普段の生活の中でさまざまな情報に触れ、その中から自分に合ったものを選択することができると言います。しかし、地方の生徒はそのような選択が可能な情報が中々入ってこないのです。
「都心の予備校で授業を受けた帰りに、書店に寄ったときがありました。その書店には、地元の書店には置いていないような良質な学習教材がたくさん置いてあって、びっくりしたのを覚えています。地元に留まり続けていたらこのような良質な参考書の存在を知ることすらできませんでした。」
数学の勉強法や英語の良質な参考書など、ささいな情報も積み重なれば結果に大きく影響してくると相生講師は言います。この差を埋めるためにも、地方の生徒は積極的に情報収集が必要だと強調しました。
「自分の行動基準を変容させるきっかけになったのも、都心の予備校での授業がきっかけでした。その授業で先生が開口一番に話したのが、『東大は高2で受かって当たり前』という言葉です。これは僕にとってかなり衝撃的なことでした。」
そして、この授業を一緒に受けていた都会の進学校の生徒たちは、この言葉に笑顔でうなずいていたと言います。「高3で受かる」という意識で勉強していた相生講師の行動基準は、これをきっかけに「高2で受かる」という全国レベルの行動基準に変容したのです。
「これを機に、自分の勉強計画を立て直しました。そしてその計画を実行したからこそ、東京大学に合格することができたのだと思います。」
心に火をつけた大人との出会い
相生講師に続いて話しはじめたのが、現在法学部に在籍する岩手県出身の高橋講師です。高橋講師は東大に受かった理由を「運が良かったから」と語りました。
「自分の魂に火をつけてくれる人に出会えたことが、一番良かったことだと感じています。僕はもともと東北大学を目指していて、東京大学を受験することなんて全く考えていませんでした。でもある時、新しく赴任してきた先生から、『東大に行かないか、おまえならいける』と声をかけられたんです。この声がけが僕の魂に火をつけるきっかけになりました。」
文系の生徒が東京大学を受験するには、社会を2科目受験することが必須です。しかし、高橋講師の通っていた高校ではカリキュラム上、社会を1科目しか受けることができなかったそうです。そこでその先生は、毎朝マンツーマンで足りない科目を指導してくれるとまで言ってくれたといいます。
「そこまで言われたら、もう頑張るしかないなって思ったんですよね。そういう先生に出会えたのはありがたいことだったなと思います。」
高橋講師のエピソードに対して、西岡講師は以下のように続けました。
「勉強に限らず、ある一定以上のレベルに達する人たちには『君はまだ上を目指せる』と期待してくれる大人がいた場合がすごく多いです。そうやって上限を取り払ってくれる大人がいると、子どもはもっと上に行けるようになるのだと思います。逆に、大人がその子の限界を決めつけていると、それより上はいけないとまで言えます。」
西岡講師自身も、自分が勝手に決めていた限界を取っ払ってくれたのが、高校時代の恩師だったといいます。子どもが自分の可能性を信じて羽ばたいていけるきっかけを作ることの重要性を説きました。
褒めるべきは「結果」ではなく「過程」
西岡講師は、社会で求められる人材は変わってきているといいます。
「20世紀までの社会は、知識や技術を習得、再生することが求められていました。1人のリーダーさえいれば、残りはそれに従っていればいいという時代だったんです。でも、今はそういう時代ではありません。個人個人がリーダーシップを発揮していかなければなりません。」
そのような時代には、常に学び、成長し続けられる人が必要だといいます。今の子どもたちは、先行きが予測できない時代を生きていかなければなりません。自分たちの時代とは違うという意識で向き合っていく必要があると西岡講師は強調しました。
そして最後に、西岡講師は自身の幼少期に受けた教育を思い返しながら次のように述べました。
「必ずしも前に進んでいなくてもいいんです。横でも、後ろでも、立ち止まっていなければいい。結果そのものではなくて、行動していることを評価してあげるべきだと僕は考えています。そういう評価をする人が増えていけば、日本の教育の未来も明るくなっていくのではないかなと思います。」
担当講師より
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