糸島高等学校 西岡壱誠 講演「どこからでも逆転できる!」

2022年12月12日、「どこからでも逆転できる」という題目で、福岡県にある県立糸島高等学校に株式会社カルペ・ディエム代表取締役社長であり現役東大生の西岡壱誠(東京大学経済学部4年生)が講演を行ってきました。

株式会社カルペ・ディエム代表取締役社長であり現役東大生の西岡壱誠(東京大学経済学部4年生)が2022年12月12日、「どこからでも逆転できる」という題目で、福岡県にある県立糸島高等学校の1・2年生、約680人に講演を行いました。

1時間の講演では、偏差値35からどうやって東大に合格したのか?転機はなんだったのか?など西岡講師の経験を交えながら、勉強する意味や楽しさについてお話しました。

本記事では、この講演の様子をメディア事業部の布施川天馬がレポートします!

目次

西岡壱誠は「リアルドラゴン桜」な受験生だった

西岡講師が今回行う講演のテーマは「どこからでも逆転できる」というもの。ユーモアを交えた自己紹介から始まった講演会は、和やかな雰囲気で開会しました。

「みんな、俺が面白いことを言ったら笑ってね!ここも笑いどころだよ!」

この言葉に、講演会と聞いて身構えていた生徒たちの緊張が一気に緩むのがわかります。現役の大学生だからこその距離感で、生徒たちとの間合いが近いからこそできる会話術だと感じられました。

「僕は、もともとは偏差値がすごく低かったんです。びっくりすると思いますが、高校二年生の模試の結果が偏差値35だったんです。みんな、『えー』って顔してるね(笑)。そう、僕はリアルに『ドラゴン桜』な人間なんです」

『ドラゴン桜』みたいに東大に合格することは可能だし、普通なんだ。生徒一人一人に「東大に行く権利、行くチャンス」があるのだ。熱く語る西岡講師の様子に対して、生徒たちが息をのむ様子が伝わってきます。

高校とは狭くて広い世界です。それは世界全体からすれば取るに足らない程度の大きさしかないのに、高校生にとっては世界のほぼすべてと言っても過言ではない。だからこそ、その中で起こりえない事柄は、どうしても予測の範疇に収まらなくなります。

西岡講師の言葉はこの壁を壊そうとしているように感じられました。あなたたちがどんな道を選ぶのも、どんな選択をするのも、自由である。でも、そこで人生に妥協する、チャレンジしないことは、「妥協する」という選択をすることなのだ。そう語りかけます。

東大にチャレンジしようと思った理由

「僕はもともと頭がよくありませんでした。中学校の頃は学年ビリ。中学二年生の時に先生から呼び出されて、成績が悪いからという理由で3時間も三者面談したんです。しかも、『まだ話し足りないから明日もきなさい』って言われて、結局次の日も怒られました(笑)」

では、いったいどうして東大に行こうと思ったのか?それには、西岡講師が受けていた、いじめが関係していました。高校生の時にペットボトルで叩かれて病院に行くほどのけがを負ってしまった西岡講師は、高校の先生にこんな言葉をかけられたそうです。

「お前は、このままでいいのか?」そう問いかける先生に対して、当時の西岡講師は「いいんじゃないですか」と投げやりに返答したといいます。

「そうしたら、人生で一番怒られました。その時に言われたことを僕はよく覚えています。人間は一本の線で囲まれているんだそうです。それは『なれま線』という線。人間が何かになりたい、何かをやりたいと思う心が、どんどん委縮していくと、人間はこの線に囲まれていきます。そうして、この線から踏み出そうとすることがなくなるんです。僕は、先生に言わせれば『この線がものすごく自分に近い人間』だった。でもそれって、自分でそう決めてしまっているだけでしょうと言われたんです。」

人間は変われる。頑張ればなんとかなる。このことを自分自身が信じていないだけなんだ。当時の西岡講師の心に深く突き刺さったこのメッセージは、生徒たちの心にも響いたようでした。先ほどまでの盛り上がった雰囲気から一転、会場は、水を打ったように静まり返った、緊張した雰囲気になっていたのです。誰もが固唾をのんで見守る、そんな状況でした。

二浪しても諦めなかったワケ

しかし、思い届かず結果として二浪することになった西岡講師。どうして二浪してまで東大に合格しようとしたか、その理由を語り始めました。

「僕も流石に諦めようかな、と考えました。ですが、気付いたんです。『自分は東大に行きたいんじゃないんだな』ってことに。『自分は変われるんだ』ってことを証明したくて、東大に挑んでたんです。」

ここから再度一念発起した西岡講師は、新しい勉強法を試みます。それは、合格した友人たちに頭を下げて、「どうやって勉強していたのか」を聞き出すということ。すると、どんどん自分の問題点が洗い出されていったと言います。この改善点をすべて直して勉強しつくした結果、ようやく東大に合格できたのだそうです。

意外にも、西岡講師は「そんなこと、西岡さんだからできたんでしょ」と思われてもいいと言います。しかし、「やっぱり自分の周りには『なれま線』なんて存在しない」ということだけは絶対に覚えてほしいと伝えました。とにかく自分が立ち止まっていることが一番よくないからこそ、何か動いてみることが重要なのだと説きます。深くうなずく生徒もあり、西岡講師のメッセージが心の底まで届いているようでした。

勉強する「楽しさ」に気づいているか

次に西岡講師が尋ねるのは「勉強が好きか、嫌いか」という質問。不安そうにあたりを見回す生徒たちに「大丈夫、先生たちはきっと見ていないよ(笑)」と優しく声を掛けます。

そうしてとったアンケートは、「嫌い」に圧倒的な票が集まる結果に。この結果は全国の学校で同じようになると言います。そこで次に西岡講師が問いかけたのは「東大生に同じ質問をしたらどうなると思う?」というもの。

これにもやはり「勉強嫌いな人が多い」に票が集まりました。結果は、東大生は「勉強が好きな人が多い」というものでした。ですが、その東大生たちも、高校生の頃には勉強が嫌いだったというアンケート結果が出ているそうです。

この理由を、西岡講師は「勉強の楽しさに気付いているかどうか」にあると分析します。例としてあげたのは「ケンタッキー・フライド・チキン」「ケンタッキーのシンボルとなっているおじさんの名前はなんですか?」という質問でした。

誰もが「カーネル・サンダース」と答える中で明かされた意外な答えは「デビット・サンダース」というもの。実は、カーネルとは「大佐」という意味の称号であり、カーネル・サンダースでは、「サンダース大佐」と呼んでいるにすぎないのです。ここから勉強の楽しさについて語ります。

「勉強すると、こういう風に世の中のことがわかるようになっていきます。例えば、僕が東大に行って驚いたのは、東大生の友達と一緒に道を歩くときです。東大生は『どうしてこういう風になってるんだろう?』って常に考えてるんです。何の変哲もない景色から、常に考えて勉強してるんです」

続いて、具体例として糸島の例に移ります。糸島という地域は島ではないのに「島」とつく。では一体どうして「糸島」なんだろう?身近すぎるこの質問に生徒たちも疑問が深まった様子でした。

生徒自身の生活環境や生活リズムに深くかみ合ったこの質問は、生徒たちの勉強に対する感覚を変化させるものであったように感じられました。

他にも様々な例を引き合いに出して勉強の面白さを語る西岡講師の話に耳を傾ける生徒たち。大変真剣なまなざしで話を聞いています。こうした面白いことをやるために、いま勉強しなくてはならないのだ、という西岡講師からのメッセージも、深く突き刺さっているようでした。

スライド「勉強、好き?嫌い?」あなたはどっち?

行動するヤツだけが勝つ

最後に、と切り出した西岡講師は『ドラゴン桜』のあるコマを提示します。それは「行動するヤツだけが勝つ」というセリフが書かれたコマ。

「僕はこのコマがすごく好きなんです。今日の話を聞いたうえで、みなさんが何か行動してくれると大変うれしいと思います。なんでもいいから、何かやってみたら、全然違う何かや誰かに出会うかもしれません。そうすれば、また新しい目標だってできるでしょう。少なくとも、ずっと立ち止まっているのが一番よくない。そうやって、何か新しいことをつかもうとするのは、今だからこそできることなんです」

自分の周りにある「なれま線」を超えて動いていけば、何かをやってみれば、また新しい扉が開けるかもしれない。そんな思いが強く込められたメッセージでした。

質疑応答にて

質疑応答では様々な質問が飛び交いました。

「どうすれば西岡さんのようにみんなの前で意見を言えますか?」
「勉強中の眠気にはどう対策すればいいですか?」
「西岡さんは高校生の時どんな生活をしていましたか?」
などなど。

生徒の皆さんが、真剣に抱えている悩みに対して、西岡講師が一つ一つ誠実に向かい合って答えていく様子が印象的でした。

例えば「やりたいこともなく、勉強のモチベーションが上がらない。そんなときどうすればいいですか?」という質問。
西岡講師は「自分はこれからどうすればいいだろう」と悩むことについて、部活だったらどうだろうか?と問いかけました。

「野球なら、実際に行けるかどうか分からないけど、甲子園を目指すというように、高い目標を掲げるでしょう?目標があるからこそやる気がでるよね。同じように勉強も高い目標を掲げて損はない!だから、高校一年生なら志望校は東大です!」と説いたのです。

動いてみて初めて見えてくることはたくさんあります。何か高い行動目標を掲げることが大切です。「自分には無理だ……。」と思っている生徒こそ「東大を目指してほしい」西岡壱誠の強いメッセージが感じられる講演でした。

アンケートより

たくさんの生徒の皆さんから講演に関する感想をいただきました!感想の中には、これを機に自分も頑張ってみようと思ったという声もありました。

もしかしたら私にもできるかもしれない。と思わせてくれるような講義でした。私も○時からは絶対に勉強するなどのルールを決めようと想います。

今回の講演を聞いて、西岡さんが東大に合格するためにたくさん努力をしたということを知って、自分も部活や模試など、もっと努力しようと思いました。

毎日の勉強時間を固定することで嫌でも自然と勉強の習慣が身について、成績アップに繋がることが分かったので私も勉強の時間を固定して自分の進路実現に繋げたいなと思いました。

また、「自分のことを言われているようだった」「人はいくらでも可能性があるものだと思った」というように、今日からの変化に繋がったという声もいただきました。

自分は今まで挑戦して失敗するのを恐れて挑戦することにためらってきたので、これからは自分の「なれま線」に囚われず、自分の本当になりたいものになれるように挑めたらいいなと思います。

西岡さんの話を聞いて、西岡さんの高校生時代と今の自分を比べてみると、どこか今の自分と重なる点があるのではないかなぁと感じました。西岡さんが言っていた高い目標を持つことというのは確かに自分を高めていく上で、とても大切な事だなぁと思いました。『学びは自らが吸収していくもの。色々なことを学べば社会のことがわかってくる。そうすることで楽しくなってくる。つまり勉強は嫌いになるものじゃない。好きになっていくものだ。』この言葉が一番心に響きました。今回の講演会で学べたことはこれから大学受験を乗り越えて行く自分に勇気を与えてくれるものでした。西岡さんの体験記、その他アドバイスを参考にしてこれからの自分の将来に向けて生かしていきたいと思いました。

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この記事を書いた人

東京大学文学部。世帯年収300万円台の家庭から東大へ合格。現在学業の傍ら、ライター、作家活動や講演活動を通して逆転合格のノウハウを広める。日刊SPA!、プレジデントオンライン、東洋経済オンラインにて連載経験あり。ゲームとマンガが趣味。

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