【共通テスト】理科の新課程・変更点を徹底解説!【物理・化学・生物】

大学受験までラストスパートをかける時期になりました。それぞれの思いを胸に勉強を続けていると思いますが、実は2025年の共通テストや二次試験では大きな変更があることが予想されます。

この記事では、理系科目それぞれの変更点について紹介し、それぞれに対してどのように対策すべきなのかについて解説していきます。共通テストの理科の対策をしっかり立てて、万全の準備をしましょう!

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目次

2025年度に大きく変わる理由

毎年大学受験の試験は時代に合わせて変化しており、特に共通テストは2021年に始まったばかりのテストであるため、年度ごとの多少の仕様変更や問題数の増加が取り上げられてきました。しかし、2025年度はそういった小さな変化ではなく、出題形式や範囲が大幅に変わる可能性があるのです。

その理由は、2022年から学習指導要領が改定されたことにあります。文部科学省が定める教育課程の基準で、社会の変化や科学技術の急速な発展に伴い、約10年に1度改定されています。数学の学習範囲が大幅に変更されたことは有名ですね。理科においては科目数こそ変化していませんが、各科目ごとに内容の修正は行われているのです。

【物理・物理基礎】変更点とその対策

指導要領上の変更点

物理においては大きな変更点はないものの、いくつかの単元の名称が変更されました。入試問題を解く際に表記で混乱することがないよう、確認しておきましょう。

①斜方投射→放物運動

②はね返り係数→衝突と力学的エネルギー

③コンデンサー→電気容量

④電磁波の性質とその利用→電磁波

また、各単元ごとに探求活動を行うように指導要領には記されていましたが、新課程ではその項目が削除されています。

内容の変更点

物理基礎では、語句の名称についていくつか変更点があります。

一つは、物質が気体から固体へ、液体の状態を介さずに直接変化することを凝華としました。今までは、固体から気体へ直接変化することも気体から個体へ直接変化することも昇華として習っていたのですが、片方だけ名前を変更されました。

また、波の分野で定常波と習ったものが定在波へ変更されています。他にも電気と磁気の範囲で太陽光発電の使用例が追加されたり、半減期の解説が追加されたり覚える内容が増えているので注意しましょう。

物理では、原子の分野で宇宙の晴れ上がりが追加されました。これは「ビックバン理論において、宇宙の始まり以来、初めて光子が長距離を進めるようになった時期」のことを指します。今までは旧課程では取り上げられなかった範囲のため、追加で学習しておくようにしましょう。

【化学・化学基礎】変更点とその対策

主な変更点

新課程の化学では、新たに追加された項目は「化学が築く未来」の1つしかなく、現行課程より削除された項目は「探究活動」のみであり、学習範囲は変化していません。大きな単元の増減こそありませんが、内容についてはいくつかの修正点があるため、単元ごとに変更点を見ていきましょう。

理論化学

遷移元素とアルカリ土類金属の定義が変更されました。

旧課程では遷移元素は3~11族元素のみであり、アルカリ土類金属は2族元素のうち、BeとMgを除いたものでした。

新課程では3~12族の元素の総称を遷移元素と定め、2族元素のすべてをアルカリ土類金属と定めました。

もともと元素周期表の分類は似た特徴を持つ元素をまとめるための名称に過ぎず、解釈がたくさん存在するものでした。近年の化学分野で主流な考え方を反映したといえます。

熱力学

旧課程では熱化学方程式を用いて物質の状態を記述していました。しかし新課程では熱化学方程式を廃止し、代わりにエンタルピーの概念を導入しました。こちらも国際標準に合わせた結果と言えます。

以前まで用いられていた反応熱とは正負が逆転し、化学反応式であるため=ではなく→を用いることに注意が必要です。

語句の変更点

まずは化学基礎の履修範囲内の語句の変更についてです。一覧にしているので確認しておきましょう。

化学結合・状態変化

・六方最密構造(六方最密充填構造 / 六方最密充填)→六方最密構造(六方最密充填構造):六方最密充填を廃止

・気体から固体へ直接の変化:昇華→凝華

・第18族元素:希ガス→貴ガス

・イオン式→化学式 / イオンを表す化学式

・共有結晶→共有結合結晶

・標準状態→廃止:温度と圧力が明示される

法則名

・定比例の法則→一定組成の法則も追加

・倍数比例の法則→倍数組成の法則も追加

・気体反応の法則→反応体積比の法則も追加

続いて化学の履修範囲内の語句の変更についてです。

理論化学

・沸点上昇度→廃止:沸点上昇で統一

・凝固点降下度→廃止:凝固点降下で統一

・弱塩基の範囲で水酸化鉄(III)の取り扱いを廃止:コロイド溶液 / 沈殿としての取り扱いのみ

・活性化状態→遷移状態

・質量作用の法則→化学平衡の法則

・MnO2の表記→二酸化マンガン,酸化マンガン(IV) ともに使用可能

・融解塩電解→溶融塩電解

有機化学

・-CH=Oについて、アルデヒド基→ホルミル基

・>C=Oについて、ケトン基→カルボニル基

・幾何異性体→シス-トランス異性体

・光学異性体→鏡像異性体

全く新しい概念が導入されたわけではありませんが、知らなければ困惑してしまうため、しっかりと確認しておくようにしましょう。

【生物・生物基礎】変更点とその対策

主な変更点

理系科目の中で最も変更点が多いのは生物です。生物と生物基礎で履修内容の入れ替えがあったり、学ぶ順番が変更されたりと変更は多岐に渡ります。

生物においては、学ぶ順番が変更されました。旧課程では一番最後に学んでいた生物の進化と系統が一番初めに来ており、この単元に遺伝子や減数分裂、染色体の乗り換えの項目も含まれています。生物の学び始めの段階で歴史を学び体系的に理解してほしいという狙いがあるでしょう。

また、生物・生物基礎ともに観察や実験からの気づきを重視するように内容が変更されています。共通テスト、二次試験ともに実験を扱った問題がさらに増えることが予想されますが、解答に必要な情報は必ず問題文中に含まれているので、落ち着いて取り組みましょう。

履修内容の入れ替えとして、生物基礎で学んでいた「生態系の物質循環」が生物へ移行し、生物の「生態系と生物多様性」が生物基礎へ移行されたので、参考書などを用いて勉強する場合は気をつけてください。

まとめ

旧課程から新課程へ移行するに伴い、出題形式の変更が起こる可能性があったり、過去の参考書が使えなくなる可能性があります。自分が受験する科目の変更点は把握した上で正しい対策を取れるようにしましょう!

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この記事を書いた人

東京大学で薬学や心理学を中心に勉強しています。高校時代に発達障害の方とその支援者を中心に様々な人と関わってきた経験があり、人と話しその人の人生を知るのが好き。ボカロとお笑いが大好き。

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