情報の前提知識
新課程に入り、大きく変化する共通テストですが、最も大きな変化は「情報」の新設です。過去問がないため未知な部分が多いですが、大学入試センターが出している試作問題を確認しつつ試験対策を進めましょう。
まず出題形式について、制限時間は60分で配点は100点あり、2日目の最後の時間17時〜18時に行われる予定です。試作問題は大問4つで構成されており、全て必答となっています。
科目名は「情報Ⅰ」とされており、出題範囲も「情報Ⅰ」だけ、つまり「情報Ⅱ」の内容は含まれていません。
「情報」の授業というと、プログラミングのイメージが強いかもしれませんが、それが全てではありません。「情報Ⅰ」の内容は、主に以下の4つに分類されています。
(1)情報社会の問題解決
(2)コミュニケーションと情報デザイン
(3)コンピュータとプログラミング
(4)情報通信ネットワークとデータの活用
このようにプログラミングに限らず、情報社会についての内容や情報通信の原理など、インターネットが普及した現代を生きるために必要な知識と知恵がたくさん含まれています。
注意点として、共通テストで出題される教科が増えたからと言って、すべての大学において「情報」が必要になるわけではありません。一部大学では利用しないまたは選択制にするということを公表しています。自分の志望校の必須科目をよく確認したうえで、試験対策を行いましょう。
どこが変わったか
旧課程における「情報」の問題が存在しないので、ここからは、試作問題における各大問の構成を見ていきます。
大問1は独立した4つの小問が出題されています。小問集合でありながらもただ知識を問うだけでなく、問題文を読み取って考察する問題も出題されています。分野も統一されていないことから、本番でも複数の分野からランダムに小問が出題されることが予想できます。
大問2Aでは、共通テストに特有の会話文による出題がされています。
出題分野は(1)情報社会の問題解決と(2)コミュニケーションと情報デザイン。学校で習う知識を元に、会話文から読み取れることを考察する問題となっています。
知的財産権や解像度などの「情報Ⅰ」で習う知識がなければ解けないようになっており、ただ会話文を読めば良いわけではありません。
他にも、与えられた表を見て規則性を類推するなど、出題しにくかった問題も出ています。考えればわかる問題になっているので、過度に心配せず落ち着いて考えてください。
大問2Bでは、確率モデルのシミュレーションの使い方についての出題がされています。出題分野は(3)コンピュータとプログラミング。プログラミングが正しくできるだけでなく、プログラムによるシミュレーションの結果を正しく考察する能力が必要とされています。
問題には授業ではあまり習わないような形式の図が載っており、初めてみる図の意味を理解することも求められています。
大問3では、問題の状況を理解し、正しいプログラムが作成できるかを問うています。
出題分野は(3)コンピュータとプログラミング。ここでも会話文が用いられていて、その中からどのようなアルゴリズムでプログラムを組めば良いのか考察する問題になっています。選択肢にもコードの一部が含まれており、変数や関数を正しく理解していることが求められます。
プログラミング言語は多数存在していますが、自分の知らない言語がでないか心配する必要はありません。普段どの言語を用いているかにかかわらず解けるように共通テスト用のプログラミング表記が使われています。
大問4では、統計データを正しく読む問題が出題されています。
出題分野は(4)情報通信ネットワークとデータの活用。「数学Ⅰ」のデータの分析のように、箱ひげ図や散布図が多く用いられておりそこから考察できることを選択するという問題形式です。しかし試作問題よりも前に出されたサンプル問題では、複数あるデータの中から有用なものを自分で選択する問題も出題されています。「数学Ⅰ」以上にデータを正しく読む技能が求められるかもしれません。
どこが変わらないか
旧課程において情報の共通テストがなかったことから以前のテストと比較することはできませんが、旧課程の「社会と情報」及び「情報の科学」と共通する内容が多く含まれています。
令和7年度共通テストでは新課程に入って初回のため、既卒生用の科目「旧情報(仮)」が設けられています。しかし試作問題の「旧情報(仮)」には、「情報Ⅰ」と同内容の問題が65点分出題されています。
そのため、既卒生にとっても新たに勉強しなければならない内容ばかりというわけではないでしょう。
小ワザ・テクニック
試作問題では、会話文が含まれる大問が2つあり、その他の問題も文章が長いものが多く、読むだけでかなりの時間がかかってしまいます。
そのため、問題文よりも設問を先に読み、何が問われているのかを確認してから問題を読むと時間短縮につながるかもしれません。
対策方法
まだサンプルが少ないため、形式や各大問の出題分野については今後も変更される可能性があります。
しかし勉強すべきことは教科書の内容と決まっているので、まずは授業をちゃんと受けて理解しておきましょう。
特に注意して勉強してもらいたいこととして、単語の暗記を怠らないでください。
「情報」では日常では見かけない単語をたくさん習います。テストでは思考力を問う問題が多く出題されていて暗記が蔑ろにされがちですが、知識がなければ問題文も読めず、考察することもできません。単語の意味をちゃんと覚えて、どのような時に使うのか理解しておきましょう。
また、「情報」のために「数学」をしっかりと勉強しておきましょう。
「情報」は「数学」の特にデータの分析ととても内容が似ていますし、「情報」の理解には数学の知識が不可欠です。試作問題大問2Bのように、シミュレーションには統計の知識が必要になることも多々あります。
数学に苦手意識を持っている人は、どちらの対策も早めにしておきましょう。
最後に、自分で実際にプログラミングしてみる経験を積みましょう。
試作問題大問3のようなプログラミングの問題は、実際にプログラミングをやったことがあるかどうかが大きく関わります。学校の授業だけでなく、自分で課題を見つけてプログラミングしてみることをおすすめします。少し敷居が高いなと感じる人は、スクラッチというプログラミング言語を使えば直感的にプログラミングを練習することができます。これでもプログラミングの考え方を身につけることは十分可能なので試してみてください。
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