東大生が解説!共通テストの得点調整の仕組みと今年の結果

共通テストでは各科目での難易度の違いによる有利不利をなくすために、平均点が20点以上差が開いた教科の点数を調整する「得点調整」が行われます。ここでは、得点調整がどんな仕組みで行われるのか、今年はどうだったかについて解説していきます。

目次

今年の状況

受験生の皆さん、共通テストお疲れ様でした。今一番気になることは「今年は得点調整されたのか?」という点だと思うので最初に書かせていただきます。

令和6年度の共通テストについて、得点調整が行われないことが大学入試センターより公表されました。つまり、ここから共通テストの結果が変わることはありません。

公民では12.09点も平均点に差がつきましたが、これ以上変わらないことを恨んでも仕方ありません。受験生の皆さんは共通テストのことをバッサリ切り捨てて二次試験対策に向かってください。

得点調整とは

共通テストは理科や社会を受験する人の中でも、物理・化学や日本史・世界史など、各教科の中でそれぞれ受験する科目の選択肢があり、それぞれ異なった試験問題を解きます。基本的にはその難易度に大きな差が出ないようにされています。

しかし、もしも難易度調整が失敗してしまったために、大きく平均点に差が生じてしまうとどうなるでしょうか?

例えばAさんは物理を、Bさんは化学を選択しました。2人とも各科目で平均点を取れたのですが、点数を比較してみるとAさんは70点でBさんは40点、なんてことが起こってしまいます。このように、どの教科を選択したかによって受験に有利不利ができてしまうことがあります。

こうしたときに、受験を公平にするため、平均点を参考に各科目の点数の差を縮める「得点調整」が行われます。

得点調整される科目

得点調整は全ての科目でなされるわけではありません。まずはじめに、得点調整の対象となりうる科目は決まっています。

・地理歴史の「世界史B」「日本史B」「地理B」の間

・公民の「現代社会」「倫理」「政治・経済」の間

・理科②の「物理」「化学」「生物」「地学」の間

つまり、同じ教科だからといって「数学Ⅰ」と「数学Ⅰ・数学A」や理科の基礎科目の間では得点調整が行われません。

その上で、「20点以上の平均点差が生じ、この点差が試験問題の難易度に基づく場合」にのみ得点調整が行われます。点差が試験問題の難易度に基づくかどうかの判断基準は公表されていないので分かりませんが、基本的に20点以上の差が生じたら得点調整されます。

ただし、受験者数が1万人に満たない場合も得点調整の対象とされません。そのため、特に地学は他教科が得点調整されている中で得点調整の対象にならないことが多々あります。

得点調整の換算表の見かた

令和5年度の共通テストでは、理科②において生物と物理の平均点の差が20点以上でした。そのため、以下のような換算表に基づき点数換算が行われました。

令和5年度大学入学共通テスト(本試験) 理科②換算表』より引用

例えば化学が50点だった人が得点調整後は何点になるかを見てみます。

まず「素点」と書かれた灰色の列から50点の欄を見つけます。そして、同じ行のなかの化学の列にある「57」が得点調整後の点数になります。

平均点の差が大きかった生物と物理だけでなく、同じ理科②である化学も得点調整の対象になるため注意が必要です。地学も同じく理科②ですが、受験者数が1万人を超えなかったため、得点調整の対象外となりました。

得点調整の仕組み

得点調整は「分位点差縮小法」と呼ばれる方式を用いて、可能な限り公平になるよう得点調整がなされています。

具体的な計算方法は少しややこしいのですが簡単に言うと、0点と100点は点数をそのままに、平均点が低かった科目の点数を高くして差を小さくする方法です。

細かい計算方法

ここからは「分位点差縮小法」の解説をします。

「分位点差縮小法」とは、得点調整される科目の最も平均点の高い科目と最も平均点の低い科目の得点の累積分布を比較して、その点数差を15点÷(平均点差)の比率で縮小する方法です。

これだけではわけがわからないと思うので具体例で考えてみましょう。例えば化学の平均点が40点、物理の平均点が70点で最も点差が大きかったとします。このとき、平均点の差は30点なので、15÷30で縮小率は0.5です。

次に、化学と物理それぞれの上位10%のところにいる人の点数を見てみます。例えば、得点調整前の点数が化学は80点、物理は90点だとします。すると点差が10点ありますが、得点調整によりこの点差が0.5倍されて5点になります。つまり、物理の90点より5点低い85点が化学の得点調整後の点数となります。このように上位何%の人が何点をとっているのかを各教科間で比較して、その点差を縮小するように計算されています。

平均点が最低と最高以外の科目も同様の縮小率です。例えば生物を受けた人の上位10%の平均点が86点だとすると、もともとの物理との点差は4点なので、0.5倍されて点差が2点になり、90-2=88点が得点調整後の点数となります。

令和7年度以降の基準

令和7年度から新課程の共通テストがスタートしますが、得点調整の基準も変化することが決まりました。

具体的には、平均点差が20点以上の場合の他に、15点以上の平均点差が生じて、段階表示の区分点差が20点以上生じた場合も対象となりました。一言で言えば「平均点差が20点未満でも、15点以上であれば得点調整の可能性がある」ということです。

また、得点調整の方法も少し変化していますが、おおよそのやり方は同じ形式のまま、今までよりもより公平な仕組みとなっています。

令和7年度は特別に旧課程用の試験も行われます。そのため、新課程と旧課程での難易度差が生じないように得点調整が行われます。もし来年旧課程で受験する人も(そうならないことを祈っていますが)、旧課程だからといって不利にはならないので安心してください。

最後に

得点調整が行われないように作問者の方も努力されていると思いますが、共通テストが始まってからの4年間で2回は得点調整が行われています。来年始まる新課程でも形式が大きく変わる科目があるため、得点調整される可能性は十分にあります。

しかし、得点調整されることを祈っていても意味がありません。自分にできることは実力を上げることのみです。入試の公平性を保つような努力は最大限行われています。受験生の方もこれから受験生になる方も安心して勉強してください。

参考資料

大学入試センター令和3年度得点調整
・令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの得点調整の実施条件・方法について 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

東京大学理科一類2年生。小さい頃から数学・物理が好きで、どちらを専攻するか決められず東大に入学。今は理学部物理学科に進学予定。家にあるぬいぐるみは増えるのに、友達は増えない。

目次