【中高の先生向け】「良い」定期テストの作り方とは?作成の流れとポイントを解説!

学校の先生方が年に4〜6回ほどやらなくてはならない仕事に「定期テストの作成」がありますね。生徒がその学期の授業をどれほどしっかり聴いて、勉強しているかを確かめる大切な機会です。また、その成績で評定が決まり、高校や大学への進学に大きく影響するという点でも、非常に重要なテストですよね。

そんな重要なテストをどうやって作ればいいのでしょうか。先生方からのヒアリングを基に、東大教育学部生の碓氷明日香が、「良い」テストの作り方をまとめました!詳しく解説していきます!

目次

中高の定期テストの目的

まず、テストを作成する上で大切なのは、「目的の把握」です。テストをする目的がわかっていないと、出題の軸がブレてしまいます。

では、中高の定期テストの目的とは何なのでしょうか。冒頭にも少し書きましたが、それは「授業で学んだ内容をどれほど理解していて、どれくらい応用できるのかを確かめ、成績評価に反映させる」ことです。

つまり、「その学期の授業をしっかり聴いて、範囲の問題を勉強していればしっかり点数が取れる」テストにしなければならないということですね。

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定期テスト作成の流れ

では、実際にどのような流れで定期テストを作成すればいいのでしょうか。ここでは、作成の流れを4段階に分けて説明します。

1)出題形式・範囲を決める

まずは出題形式や出題範囲を決める必要があります。ここでいう出題形式とは、選択問題と記述問題の割合をどれくらいにするか、難易度が低い問題、中程度の問題、高い問題をそれぞれどれくらい入れるか、どの種類の力を測る問題を何点分出題するか、といったことを指します。

例えば、英語の問題は大まかに単語問題、文法問題、読解問題、英作文、リスニングという5種類に分けることができますが、それぞれ20点分ずつ出題して合計100点のテストを作る、という方法がありますね。読解を30点分にして、リスニングを10点に減らす、ということもできます。このように出題形式を決めるのです。

また、定期テストでは、指導していない内容を出題するのは御法度です。学習したことが定着しているかどうかが測れなくなってしまいます。必ず出題範囲を決めて、テストまでにその範囲の授業を終わらせましょう。

この時、テスト前になって駆け足で範囲を終わらせる、ということがないように、授業は計画的に進めましょう。勉強する側としては困りますし、直前にさらっとだけ説明されたことを深く理解できるはずがないので、テストの意味がなくなります。

2)想定する平均点を決める

次に、想定する平均点を決めます。学年全体で平均すると何点ほど取れるのか、ということですね。

中学の定期テストは、7割程度の想定平均点で作るとちょうどいいでしょう。中学校の範囲の問題は難易度がピンキリで、基礎的な問題と、難関高校が出すような難問ではレベルが全然違います。織り交ぜて作るとしても、難問の割合をそこまで増やすことはできないので、7割程度が目安になると思います。

高校の定期テストは、6割程度の想定平均点で作るといいでしょう。高校範囲の問題は難易度がグラデーションのようになっていて、さまざまな程度の問題があります。うまく混ぜて6割程度のテストを作りましょう。

平均点が高すぎても低すぎても、生徒の理解度を正しく測ることができません。なぜなら、得点分布が固まってしまうからです。想定する平均点を6〜7割に設定して、あまり大きく外れないようにしましょう。

3)問題・解答を作成、配点を決める

ここまで来たら、問題を作ります。問題集や入試問題などからそのまま持ってくるのもよし、少し改変するのもよし、完全に自分で作ってみてもいいでしょう。

問題用紙を作る時に大事なのは、表紙の注意事項です。これが抜けていると、問題の解釈が一意に定まらない、そもそも問題が解けないなどのことが起こり得ます。例えば、化学では問題に登場する物質の原子量を書いておく必要があるでしょう(もちろん、大問の頭に書くのであれば、表紙にまとめる必要はないですが)。

問題ができたら、解答用紙を作ります。広すぎず狭すぎないちょうどいい解答欄になるように、試行錯誤してください。

全ての問題ができたら、配点を決めましょう。合計で満点になるように、1問ずつ決めます。記述問題は部分点を与えられるように3点以上に設定しておくといいと思います。

4)時間を測って実際に解いてみる

最後に、実際に時間を測って自分で解いてみましょう。これが一番大切です。テスト時間の半分程度の時間で解けたらちょうどいいと言われています。

この時、作題ミスはないか、解答欄は狭くないか、問題用紙や解答用紙は使いづらくないか、所要時間はちょうどいいか、配点を合計すると満点になるか、などの点についてチェックしましょう。

可能であれば、他の先生にお願いして解いてもらうと、なおいいです。自分では気付けないミスが見つかるかもしれません。

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良質なテストを作るために大切なこと

ここでは、「良い」テストを作るためのポイントを説明します。前半の2つはテスト全体について、後半の2つは問題の作り方についてです。

妥当性・信頼性の両方を兼ね備えたテストにする

テストを作る上で意識したいことは「妥当性」と「信頼性」です。

まず、妥当性とは、「問いたい能力が測れるかどうか」です。つまり、そのテストはその能力を測るために妥当なものなのかどうか、ということですね。はじめに定期テストの目的について述べましたが、その目的に沿って、生徒の授業内容の定着度が測れるテストになっているかどうか。これを意識することが大事です。

妥当性のないテストの例として、資料読解の力を試したいのに、用語を答える問題ばかり出している、というものがあります。これでは資料を読む力を正しく測ることはできませんよね。問いたい力を使う問題を作成できたか、という観点でチェックするといいでしょう。

一方で信頼性とは「生徒の能力が正しく測定されるかどうか」です。言い換えれば、そのテストの点数は本当に信頼できるものかどうか、ということですね。例えば、選択問題ばかりだと、勘で答えを選んでいい点数を取ってくる生徒がいるかもしれませんが、これでは力を正しく測定できているとはいえません。

この妥当性と信頼性の2つを兼ね備えたテストは、定期テストとして「良い」テストといえるでしょう。

どのレベルの生徒も退屈にならないようなテストにする

あまり勉強が得意ではない生徒は、問題が難しすぎたり、問題文が長すぎたりすると、解く気がなくなってしまいます。そのような生徒のために、ある程度答えやすい問題を用意しておく必要があるわけです。

一方、勉強が得意で、しっかりテスト対策をして高得点を狙いにくるような生徒にとって、簡単すぎるテストは退屈です。見直しも含めて早く終わってしまって、10分以上暇な時間ができてしまう、なんてこともあります。適度に難しい問題を入れることで、時間ギリギリに終わるか終わらないかくらいの難易度・分量のテストだと、退屈を感じることはないはずです。

では、具体的にどんなテストなら、誰も退屈にならないのでしょうか?

それは、易しい問題が4割、中程度の問題が4割、難しい問題が2割という構成のテストです。これなら、どのレベルの生徒も時間いっぱい問題を解くことができるはずです。問題作成の時に、この構成を意識してみてください。前から易しい問題、中程度の問題、難しい問題、の順に並べるのが一般的ですね。

小テストの出来を踏まえて問題を選ぶ

次に、問題の選び方です。多くの教科では、定期テストとは別に小テストを行っているのではないでしょうか。英語の単語テスト、国語の漢字テスト、数学の計算テストなどなど……。この小テストの出来を踏まえて、正答率の低い問題に似たものを定期テストに出すと、しっかり復習しているかをチェックすることができます。

一方で、小テストの正答率が高かった問題をまた出題しても意味がありません。もうそれはすでに定着していると考えるべきでしょう。

このように、小テストの結果から、問題作成に活かせることがあるのです。

すでに存在する良問を積極的に活用する

いざ、問題を作ろうと思っても、良問を生み出すのは難しいですよね。高校数学なんかはその筆頭だと思います。

だから、「良い」テストを作るために、すでに存在する良問を積極的に活用してみてください。高校入試でも大学入試でも、良問と呼ばれる問題はたくさんあります。すでに作られた問題であれば、作題ミスはないはずですし、実際に入試で使われたのであれば、実力を測る問題としてふさわしいものだったということです。

もちろん、良問を使いたいと思ったら、良問を知っておかなければいけませんから、普段からたくさん問題集や過去問などを解いておくことも大切ですね・

また、すでに存在する問題を使う時の注意点は、解いたことのある生徒がいるかもしれない、ということです。問題の知名度が高ければ、自ずと解き方を知っている生徒も増えることでしょう。使う問題を選ぶ時は、その知名度も考慮に入れましょう。

まとめ

「良い」定期テストを作るための流れとポイントについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。良質なテストに触れた生徒は、その復習をしっかりすることで着実に学力を上げていきます。

この記事が、少しでも先生方のお役に立てれば幸いです。


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この記事を書いた人

大学では教育学部基礎教育学コース所属。世界史が好きだったことを踏まえ、教育の国ごとによる違いやその歴史に興味を持っている。趣味はアニメ鑑賞、読書。

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