※本稿は、西岡壱誠(著)『「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。
「作文」はどうやったら得意になる?
唐突な質問ですが、皆さんは「作文」は得意でしょうか?
「作文」といっても幅広いですが、大学受験の記述問題や小論文といったもののみならず、普段のメールのやり取りや会社でのプレゼン、資料作りに至るまで私たちは日常生活の様々な場面で「作文」を行っています。
そこで「作文」が得意というのは、私たちが生きる上で非常に大きなアドバンテージとなることは容易に想像がつくことでしょう。
しかし例えば英単語や歴史の年号のように、「作文」の力をつけるというのは単に具体的な何かを覚えればいいというわけではないのが難しいところです。学生の皆さんや社会人の方々など年齢を問わず、「作文」が苦手という方の中にはそもそも何をやってどのように作文力を身に付ければいいかわからない、という人も多いでしょう。
本書は東大の記述問題に苦しみ、二浪を経験しながらも苦心して「作文術」を編み出した現役東大生、西岡壱誠による「0から始める作文のやり方」のコツを解説したものです。「作文」が得意な方も苦手な方も、一度は手に取ってみる価値があるでしょう。
「作文」の鍛錬は本物の「地頭力」を身に付けることである
「最後の一文から考える」・「断言で説得力を生む」・「4つの主張の型を使い分ける」等々、本書ではフォーマルな文章からメール・SNS等でも使える作文のコツを網羅していますが、それらの詳しい内容は本書を読んでいただくとして、ここでは本書を貫く軸にもなっている「作文」で一番大切なことを紹介することにしましょう。
それは「双方向的」な文章を書くということです。
噛み砕いていうならば「「読者の目線」に立って文章を書く」というところでしょうか。「そんなのは当たり前だ」という方もいらっしゃると思いますが、ではそれは具体的にどのように書けばよくてどのような努力をすれば身に付くものなのでしょうか?そしてそもそもどうしてこれは重要なことなのでしょうか?
読書を思い浮かべてみましょう。ただ漫然と文章を追っていくという読み方ではなく、より深くそこから学びを得ようとするときには、皆さんは頭の中で「これはどういうことだろう」とか「これは本当にそうなのか?」といったように「ツッコミ」を入れながら読むのではないでしょうか?
だからこそ私たちが説得力のある、そこから何かを得られる文章を書こうとするときには常に有意義な「ツッコミ」が期待できるような文章、そしてそれにちゃんと答えることができるような文章を作る必要があり、書く側の私たちも常に「ツッコミ」を自分に入れながら文章を書かねばならないのです。
これこそが「読者の目線」に立って文章を書くということであり、そしてどうしてこれが重要なのかというと、これは「作文」の良し悪しに関わるだけでなく、「批判的思考力」や「客観的思考力」といった「地頭力」を鍛えることにもなるからです。これこそがタイトルにもある、「「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる」ということの意味です。
「作文」の力で日常生活を快適に。そしてさらに本物の「頭の良さ」を身に付けるために。学生の皆さんにも社会人の方々にも、本書はきっと大きな力になってくれることでしょう。
「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文
著者:西岡 壱誠
出版:東洋経済新報社(2019/3/21)