本記事はメディア事業部が西岡壱誠にインタビューして記事にしたものです。
2024年1月13日・14日、4回目となる大学入学共通テストが実施され、今年も東大生達と集まり、一緒に共通テストを解きました。それについて詳しくはこちらから↓
東大生と行った、昨年との比較。
国語
まず、東大生と一緒に解いて感じたのは、国語・英語ともに文章の中身の解釈を求める問題が急増したことです。
実際、東大生でも今回の漢文は解きにくかったという感想もありました。ただし、解いた東大生の中からは「テクニックとして消去法が使えて、選択肢を先に読みながら解けば解きやすかった」という声もあり、難易度は調整されているものと推定できます。
これだけ国語で「文章・作品をどう解釈・鑑賞するか」が問われた上で、英語でも同じように、新しい解釈についての問題が出題された。
英語
英語リーディングの第5問において今回課された問題文はほとんど英語の小説と言って良い内容の文章であり、その問題の中身も、今までに例を見ないほど深い解釈を求める問題でした。
第5問には東大生たちも苦戦しており、「東大入試の第5問を思い出した(注:東大英語の第5問では、毎回英語小説が課され、その読解を求める問題が出題されている)」という発言もあった。
英語・国語ともに、今までよりも数段「深い」解釈が求められるようになったと言って良いと思います。
その上で、いちばん多く出た意見としては、「英語リーディングの分量がとても多い」ということでした。
共通テスト英語リーディングのワード数は年々増加傾向にあり、今年は例年よりも200~300語も増加しました。ページ数も40ページと例年よりも多く、過去20年(センター試験時代の分量も含む)で見ても、いちばん多い分量となっていました。
東大生でも解けなかった!?英語リーディング問6
英語は難化と言われましたが、知り合いの東大生が解けなかった問題があります。それが、英語のリーディング・問6です。「retrospective timing」という単語についての説明が文章内でされていて、それの「Example(具体例)」として適切なものは4つのうちどれか?を選ぶという問題でした。
この問題の難しさを体感してもらうために、実際は英語の問題ですが、僕が日本語に訳してみました。国語の問題として解いたときに、みなさんは答えられるでしょうか?
ヒントとしてお伝えしておくと、この文章のタイトルは「perceptions of time」=[時間の認識]であり、文章内ではさまざまな『時間を感知する方法』について説明されています。この文章は第2段落になります。
retrospectiveの意味が一瞬で分かるか?
「『retrospective』という英単語を暗記してはいないけど、reとかついているから、『再び』と言う意味で、またspectは『見る』だから、『振り返る』的な意味かな?」と類推して答えられる人はいましたが、「retrospectiveは『振り返る』ですね」とぱっと答えられる人はほとんどいなかったです。
もちろん、この「振り返る」という単語の意味がわからなくても解ける問題ではあるのですが、難しいことには変わりません。
「retrospective timing」は、文章中では「記憶から取得した情報に基づいて時間を推定する」と説明されています。
前後で具体例として説明されていることを要約すると、「難しい図形を覚えるのにはすごく時間がかかったように感じられて、簡単な図形を覚えるのにはあまり時間がかからなかったように感じる」、ということですね。つまり、「retrospective timing」は、「記憶したことを遡って考えて、どれくらいの時間がかかったのかを考えること」のようです。
さて、ここまで考えられると、答えがわかります。
「1 クラスメイトからのメッセージを待っている」は、別に過去の時間を思い出すわけではないから×です。
「2 母親の携帯番号を覚える」は、確かに具体例として「何かを暗記して、暗記した時間がどれくらいかかったのか」を考えるというものがあったので正解にしてしまいがちですが、「時間がどれくらいかかったのか」がテーマになっているので、×です。
「4 明日会議があることを思い出す」は、「思い出す」というポイントでこれも正解にしてしまいがちですが、時間とは関係ないことを思い出しているので×ですね。
正解は、「3 今日何時間働いたかを省みる」、これは「今日何時間働いたかを、取得した記憶を頼りにして思い出す」ということなので、正解になります。
いやあ、難しいですね。日本語であったとしても答えられない人が多かったのではないでしょうか? 日本語で説明しても難しいですが、これが英語で課されて、しかも短時間で解かなければならないことを考えると、難しいですよね。
テーマから逆算して答えを導く
実はこの問題、簡単に答えを出す方法があります。それは、文章ではなく、テーマから逆算して答えを出すというものです。この文章のタイトルは「時間の認識」であり、これがテーマであることは推測できます。
そして流れとして、「どう時間を感知・認識するか?」「どんなふうに時間を測るのか?」についての方法の1つとして紹介されていたことが、「retrospective timing」でした。
ということは、文章の説明なんて読まなくても、「時間をどう感知・認識するか」ということに触れられている選択肢以外は正解にはならないことがわかるはずです。
文章を読んでしまうと、その難しい単語や難しい説明のせいでわけがわからなくなってしまい、「どれだろう?」と答えが導き出せなくなってしまいがちです。
でも、冷静に文章全体を俯瞰して、「結局、この文章って何を伝えたいんだっけ?」という大枠のテーマさえわかっていれば、答えは簡単に出せるのでした。
極論で言ってしまえば、第2段落を読まないほうが、答えを出しやすい問題だったんです。
「きちんと丁寧に訳していかなきゃ!」と意識すればするほど、ドツボにハマる問題だったのです。「細かいところは読めてないけど、きっとこれだろう!」と選べば正解になる可能性が高い問題だったと言えます。
まとめ
総括して、全体的に難易度は高くなってきていると言えます。特に国語・英語に関しては「記述力」「英語小説の読解」という新しい能力を問うものが出題されており、今後受験生たちは今までの受験生と違う能力も求められるようになっていると言えます。
公式サイトにて、カルぺ・ディエムが提供している具体的なサービスを紹介中!
カルペ・ディエムでは、学校や保護者のみなさまが抱える懸念やニーズに応える形で、講演・講座・ワークショップを提案し、それらを実施しております。
生徒の皆さんの大学選びや学部選びのワークショップ、モチベーション向上を目的とした講演、独自の探究学習授業、長期休暇中の学習合宿、難関大学合格を目指した通年プロジェクトなど、さまざまなプランをご用意しております。
私たちの講師は東大生で 偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠をはじめ、地域格差や経済格差などの多様な逆境を乗り越えた講師たちが、生徒の皆さんに寄り添って全力でサポートいたします。
ご質問やご相談だけでも結構ですので、お気軽にお問い合わせください。