皆さんこんにちは。現役東大生ライターの縹峻介です。
では、まずタイトルの問に答えます。
酸素は酸の元ではありません。
では次にこんな疑問を浮かべる方も多いでしょう。「なぜこのような名前になっているのか?」、と。。。
この質問に答える前に少し化学の歴史を振り返ってみましょう。
時は1770年代フランス。国内の科学力の向上を図ったルイ14世により設立されたフランス科学アカデミーの化学会員として、物質の構成の同定の研究を行っていたアントワーヌ=ラヴォワジェという人物がおりました。
現在でも彼の功績は広く知られており、化学反応前後で質量が生み出たり消失したりはしないという質量保存の法則を提唱したことや、「空気」と一言に言えども様々な物質が混ざり合っていると考えてその構成要素に元素と名づけたことなど、現代の化学観に大きな影響を与えたことから、現代化学の父とも呼ばれています。
そんなラヴォワジェですが、ある日こんな気づきに至ります。
酸性を示す物質にはいつもこの物質が含まれているぞ、、?
と。そして、そんな物質を見つけたら名付けをしたくなるのが科学者の常。
よし、この物質を酸[oxy]の元[gen]という意味でoxygenと名付けよう!
しかし、これは後に間違いであると分かります。
中学高校で習った通り、物質が酸性を示す要因は、酸素[oxygen]ではなく水素[hydrogen]が電離するためです。
つまり、酸の元という意味で名づけられた物質である酸素[oxygen]は、酸の元ではない、のです。
genの語源
上記で説明した通り、[gen]には「○○の元」「発生」「○○から生じたもの」といった意味があり、これは語源を辿ると、ギリシャ語
まで行き当たり、その意味は発生、誕生です。
エヴァンゲリオンの正式なタイトル『NEON GENESIS EVANGELION』の中にもgenesisという単語は使われていますね。
酸素、水素、窒素といった元素の名前に残っている他にも
・generation・・・子孫、世代。
・generator・・・発電機、生成機。
・carcinogen・・・発癌物質。
などに、その片鱗の見つけることができます。
おわりに
ただ、大切なのはこのエピソードを以てして、ラヴォワジェを馬鹿にすべきではないということです。
科学においては、正解にたどり着くまでに多くの失敗が積みあがるべきであり、逆に失敗を伴わない科学は信憑性が落ちることもありえます。
科学とは、失敗に最も寛容であり、失敗を高く評価する、そんな存在であるべきでしょう。
この連載記事では、このような語源にまつわる文章を中心に執筆します。
多岐に渡る分野の言葉を紹介する予定ですので、楽しみにお待ちください。
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