【1分で学べる語源の話】国名・地名って奥が深い!その3

こんにちは。現役東大生ライターの縹峻介です。
前回は、色を語源を持つ国名として、モンテネグロアルバニアをご紹介しました。
前回に引き続き、今回も国名や地名の面白い語源についてご紹介してきます。

似た国名の意外な語源

皆さん、オーストリアオーストラリアって似てますよね。
これってルーツを辿れば同じ語源なのでしょうか?

答えは、。言ってしまえば、たまたま似たような発音になってしまっただけなんです。

では、オーストリアの語源から紹介します。

オーストリア共和国はヨーロッパの中央部に位置する国で、首都はウィーン。中世の時代から音楽が盛んであり、ベートーヴェンやモーツァルトが活動の中心としただけでなく、ヨハン・シュトラウスII世がこの国を流れるドナウ川を主題として『美しく青きドナウ』を作曲したことなどからも、現在では音楽の都としての認知度が高い国です。

そんなオーストリアの国名の由来はドイツ語でを意味するオステン[osten]に(英名では)地名接尾辞の-iaが付いた形。
実際、オーストリアはドイツの東側に接していることからも納得がいきます。
東という意味のostenという語源は、ドイツ語がも含まれる語族であるゲルマン諸語に広くみられるようで、実際古ノルド語にもaustrの形で存在していたりします。

余談ですが、この古ノルド語とは、現在のデンマーク語やスウェーデン語などといった、北ヨーロッパ言語の祖先となった言語であり、特に(古)アイルランド語との関連性が高い言語です。
よく知られているのは、エッダという書物がこの古ノルド語で記述されており、このエッダには北欧神話が収められています。なので、ゲームやアニメなどで耳にする、北欧神話の神々であるオーディンヨトゥンなどの固有名詞は、原典を辿るとこのエッダに辿り着きます。
もしエッダが消失していたり解読ができなかったら、北欧神話を元にしている『進撃の巨人』なども生まれていなかったかもしれませんね。

次は、オーストラリアの語源を紹介します。

オーストラリア連邦は、面積ランキング6位の広大な地を持つオセアニアに位置する国で、交換留学先や貿易相手として日本との交流が多い国でもあります。

そんなオーストラリアはの国名の由来は、16~17世紀の大航海時代、航海士達が見つけた南の広大な島のことを、ラテン語を由来とし、テラ・アウストラリス[Terra Australis]南方大陸)と命名したことに由来します。
これは、ローマ神話の南風神アウスター[Auster]から連想された、南風という意味の単語アウスター[auster]が由来です。

ちなみに、通常の場合にラテン語でを表す単語は、メーディース[meridies]であり、アウストラリス[australis]は使われないため注意が必要です。

おまけ「風の神様」

上で、ローマ神話の南風神アウスターを紹介しました。
このように、ローマ神話やギリシャ神話においては、「風」とは、空や海などと同じように、ある神様が司っていると考えるほど大事な概念だったのです。

それが表れているのが、この絵画。そう『ヴィーナスの誕生』です。
この絵画の左側に飛んでいる男の神の名はゼピュロス。彼はギリシャ神話における西風神であり、春の芽吹きを運ぶと言われています。その証拠に、よく見ると彼は(春の)息吹を吹いていますし、その周りには開いた花が散りばめられていますね。

私は美術史学専攻などではないため、絵画の意図など詳細は知りませんが、ちょっとした知識で絵画を見る目が変わるのは面白いことですよね。

(ちなみに、ヴィーナスの足、やっぱり何度見ても外反母趾ですよね。)

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この記事を書いた人

東京大学理学部物理学科に所属。高校時代に生徒会長をした時の楽しさが忘れられず、学祭やイベントの運営に携わって仕事をすることが、至極の楽しみ。カルぺ・ディエムでは出版編集部に所属し、よりクオリティの髙い書籍を出すことを意識している。趣味はピアノとゲームとスラック。

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