カルぺ・ディエム講師の永田耕作(教育学部4年生)、松島かれん(農学部4年生)を含む大学生講師メンバーが、2023年7月31日と8月1日に明豊高等学校の高校1・2年生を対象に「夏合宿特別セミナー」という講義やワークショップを開催しました。
明豊高等学校では、「九大専科クラス」というクラスを昨年度から設立し、その授業や面談などに幅広く我々が関わらせていただいています。今年度も、年間を通して計4回学校に訪問し、1年生2年生それぞれに授業や、また一緒にワークをしたり、ちょっとしたレクリエーションを行ったりしています。
今回はその年間講義の2回目で、夏休みに行われたということもあり、大学生と一緒に協力するグループワークや、1年生と2年生が対決する体育館でのスポーツ大会など、とても盛りだくさんな2日間となりました!
本記事では、前半後半の2本に分けて、今回の夏合宿2日間の様子を紹介していこうと思います。イベントの様子を実際に参加したメンバーであり、この明豊高校でのプロジェクトのリーダーを務める永田がレポートさせていただきます!
〜海外大の入試問題を解く!?〜
2日間にわたる講義の初日は、入試問題を解くグループワークから始まりました。
このように聞くと一見よくある講義に見えるかもしれませんが、なんとここで使われたワークは「海外大学」の入試問題だったのです。
皆さんは、「SAT」という試験を知っていますか?これは、アメリカの大学入学時に用いられる大学進学適性試験のことです。つまり、日本でいう共通テストのような、受験において学力を測るための試験ということです。
今回のワークでは、高校2年生が4-5人ずつのグループとなり、協力しながらこのSATを解いていきました。高校2年生でいきなりそんな問題解けるの?というふうに思った人も多いかもしれませんが、実はSATの問題は数学としての難易度はそれほど高くありません。というよりも、日本の数学のレベルがアメリカよりも高いのです。そのため、実際に行った明豊高校の生徒たちも、実際の試験の制限時間内で多くの問題を解き進めることができていました。
SATは、受験者の多くが英語を母国語としているためfunctionやequation、といった難単語や文章問題の読解力が問われます。しかし、生徒に一単語一単語を押さえて欲しいわけでも文法を理解してほしいわけでもありません。今回の狙いは、単語や文法を知らなくても前後の脈絡や状況判断で総合的に理解してもらうことです。生徒たちは、はじめは単語の理解に苦戦していましたが、普段取り組んでいる数学の問題と照らし合わせて考えたり、「原点OはOriginのOなのか!」「Slopeはスロープ、傾きだ!」といった発見を楽しんだりしながらみんなで問題を解いていました。普段とは違う新鮮な問題を解き、英語力、そして数学力の自信にも繋がったようでした。
明豊村の地図を作ってみよう
さて、午後はメンバーが変わり、高校1年生に対してグループワークを行いました。昨年の明豊高校での講義でも大人気だったワーク、その名も「明豊村」です!
これは一体どのようなものなのかをまず説明します。
「明豊村の地図作り」ワークでは、4-5人のグループメンバーにそれぞれ異なる「情報カード」が渡されます。その情報カードに書いてある情報を全員分合わせることで一つの地図を完成させることができるのですが、一つ大事なルールがあります。それは、「お互いの持つ情報カードは、絶対に見せ合ってはならない」ということです。つまり、自分の持つ情報が必要だけど、それは相手には見せることはできない。よって、自分の言葉で伝えなければならないのです。
1年生には少々難しいかと思われたこの明豊村ワークですが、蓋を開けてみると非常に良い出来で、これには大学生メンバーも驚いていました。グループの中で適切に役割分担が行われ、全員が情報を出せるように配慮したり、時には誰かリーダーが引っ張ったりと、非常に全グループがバランスよくワークを進めることができていました。
実はこのワークをはじめとした「協同課題解決」を目的としたワークは、企業の入社式などでも行われているようです。このワークが上手くいく条件は
①「お互いがお互いのために行動すること」
②「話し合いができる環境を整えること」
③「人任せにしないこと」
④「リーダーシップ、メンバーシップをそれぞれが取ること」
⑤「活動を振り返り、改善方法を追求すること」
の5つであることをワーク後に伝えました。
生徒はその後グループのメンバーと、「先にこの情報を言えればもっと早くできたよね」「ちょっと俺が喋りすぎちゃったのが良くなかったな」などと反省や改善点を語り合っていました。このように、ただワークをやるだけではなく、どうすればもっと良くなったかを常に考えることは勉強においてもとても大事になります!
さて、1日目はこのようにグループワークを中心とした講義となりました。
2日目はどのような講義だったのか?後半の事業レポートをぜひお読みください。