【職業調査】研究者になるには?!知っておくべき仕事内容や適正

【職業調査】研究者になるには?!知っておくべき仕事内容や適正

探究が楽しい!新しいことを発見してみたい!そんな人の中には、研究者を目指している人も多いでしょう。
しかし、研究者になることは容易ではありません。

そこで、研究者という夢に少しでも近づくために知っておくと良いことを調査し、まとめました。

目次

研究者とは?

研究者になると、どんな生活が待っているのでしょうか?研究者になった場合の、仕事内容・収入・やりがいについてまとめました。

研究者の仕事内容は?

研究者の仕事は一言で言えば「新しいことを発見すること」です。新しいことの分野は問わず、​​人文科学、社会科学、自然科学のすべての学術分野で、研究者が活躍しています。

その研究方法はさまざま。学校の理科の授業のように実験を行う方法もあれば、街中に出て人々をじーっと観察する方法も。それぞれが自分の興味関心、新しく発見したいことに沿って、研究を進めています。

研究者の収入は?

研究者というと、その専門性から高額な収入を得ているのでは?というイメージがあるかもしれません。しかし、研究者も大学や研究室、企業に勤めるサラリーマンです。だからこそ、所属先によってその収入も大きく変わってくると言えます。

企業で研究職に就くのであれば、大手コンサル会社や製薬会社に就職することで年収700万円ほどを見込むことができます。大学教授も兼ねて研究者になるのであれば、大学にもよりますが平均して大学教授で年収約1051万円、准教授で年収約861万円となっています。

自分が所属したい機関の研究者に限定して、平均年収を調べてみると、より実態に則した情報を得られるでしょう。

研究者のやりがい

研究者は新しいことを発見するのが仕事だと紹介しました。だからこそ、常に知識の最前線にいることとなります。新しいことを発見した時の感動、そして人類の知識のフロンティアを自分が押し広げている感覚は、まさに研究者でなければ感じられないことでしょう。

研究者のやりがいについて、非認知能力の第一人者とも言える岡山大学の中山芳一准教授にインタビューをしました。
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研究者になるには?

研究者を目指すには様々な方法がありますが、その中でも一番やっておいた方が良いことをまとめました。

大学院の博士号・修士号を取得

文部科学省が公開している「学校基本調査」では、研究者や大学教員という進路に進んだ人のデータを見ることができます。

令和3年3月に卒業した人たちのデータを見てみると、卒業後に研究者、もしくは大学教員になった人が、学部卒で0.12%、修士課程修了者で6.17%、博士課程修了者で43.59%となっています。ここからは、学士号や修士号を取得して卒業した人に比べて、博士号を取得して卒業した人の方が、研究者になる割合が高いことがわかります。研究者になるための一番の近道は、大学の博士課程を修了することで、最低でも修士課程を修了しておいた方が良いと言えるでしょう。

就職先によっては、博士号を前提としている機関もありますので、注意が必要です。

ただし、令和3年3月に卒業した博士号取得者のうち、約4000人は就職先が見つからずに非常勤講師になったり、一時的にアルバイトをしてしのいだりという状況になっています。博士課程を修了したとしても、必ず研究者になれるかというと、そうではないというのが現実です。

学部生のうちから積極的に研究に取り組む

大学院に進む前の学部生の段階でも、研究に取り組むことはできます。

多くの場合研究者は、まず小さな研究から始めて、それを土台に大きな研究に手をつけていくことが多いです。学部生のうちから小さな研究を積み重ねておけば、研究スキルが身につくことはさることながら、大学院に進んでからの研究をより有意義なものとすることができるでしょう。

研究者になる上で、学会や雑誌で発表した論文の成果は、重要な評価指標となります。成果を残すためには、長い期間の下積みが必要です。学部生のうちから、その素地を作れるように意識してみてください。

顕微鏡を覗く男性研究員

研究者の就職先

研究者は、一般的なサラリーマンと同じように、何かしらの機関に所属しているというお話をしました。その活躍の場所はさまざま。中でも代表的な5つの道をまとめました!

公的研究機関で研究者になる

公的研究機関には、各省庁の研究所と都道府県所属の研究機関の2つがあります。これらはいずれも公務員ですので、公務員試験を突破する必要があります。

大学で研究者になる

大学で研究者になるということは、大学教員としての仕事も担うということになります。学生に向けて講義を行ったり、成績をつけたりというような業務が追加されるということですね。

大学で研究者になる場合は、教員を募集している大学に対して就職活動を行う必要があります。「ポスドク」と呼ばれる任期の決まった研究員になった後、助教、准教授、教授とステップアップしていきます。

民間企業に就職して研究者になる

民間企業でも研究者を募集しています。企業の採用ホームページで研究職の募集有無を確認し、就職活動を行なっていきます。

公的機関や大学教員と異なり、企業が求める知識を提供できるということをしっかりとアピールすることが必要です。

海外で研究者になる

海外で研究者になる場合も、大学で研究者になるのと同じく、海外大学の「ポスドク」になる必要があります。国内だけでなく、世界中から優秀な人材を募集しているため、より狭き門になることは間違いありません。

その大学と自分の研究分野とがマッチしているということをしっかりとアピールすることが大切です。

アマチュアの研究者として生きていく

ここまでは、研究者を生業とするための方法をご紹介してきました。しかし、別の仕事の傍ら、研究をするという道も存在します。彼らは「在野研究者」「アマチュア研究者」と呼ばれることが多いです。

最近では、アマチュア向けに実験機器を貸し出すサービスや、無料で使える分析ツールなども存在します。これらを駆使して研究を続けることで、満足できる人も少なくないでしょう。

海外の大学での授業風景

研究者に必要なスキル

研究者になるためには、どんなスキルが必要になるのでしょう?

研究者は、学問を極めた優秀な人材が競争し合う、難易度の高い職業です。狭き門を突破して研究者になる可能性を少しでも高められるよう、以下のスキルを磨くことを意識してみるといいかもしれません。

好奇心

研究者は新しいことを発見することが仕事です。その研究の第一歩には、「どうしてこうなっているんだろう?」という課題発見が必ず必要となってきます。

課題を発見するためには、まずさまざまなことに感度を高く持ち、知りたいと思う好奇心が前提となります。この営みが楽しいと思えなければ、研究を続けることは困難だと言えるでしょう。

論理的思考力

研究の過程では、仮説を立て、それを検証するために調査、分析を行っていきます。

どんな仮説が考えられるか?
その仮説を検証するためにはどんな調査を行えばよいか?
調査結果からどんなことが言えるか?

上記のような事項をしっかりと考えて遂行していくには、論理的思考力が必須となってくるのです。

語学力

研究者は語学力、特に英語力がとても重要となってきます。

これまでに公開された論文のうち、日本語で書かれたものはほんのわずかです。先行研究をしっかりと読み込むことが重要視される研究にとって、日本語の論文のみを読んでいるのでは、不十分な研究だと言われてしまいかねません。

また、自分の研究を世界に伝えるためには、英語で論文を書く必要があります。どんなに良い研究成果を残したとしても、日本語で書かれた論文では海外の研究者に読んですらもらえないのです。

英語を読む能力、書く能力、そして学会などで英語を話す能力、全てが求められるのが研究者だと言えます。

忍耐強さ

研究者の仕事は、新しいことを発見することだとお話ししました。この新しい発見というのは、それが見つかる保証もないまま、ひたすら研究を積み重ねることでしか生まれません。

これは、先が全く見えないまま歩いているのと同じ。不安になって、途中で止まりたくなってしまうこともあるでしょう。成果を残すためには、そんな気持ちを乗り越えて研究をし続ける忍耐強さが必要なのです。

外交力

研究者は学会に参加することが多いです。学会とは、研究者が自身の研究成果を発表し、他の研究者と意見交換を行う場を指します。

お互いに知識や考えを交換しあい、高め合っていく中で、成果につながるような研究が生まれやすくなります。このような、他の研究者との交流の場で、積極的にコミュニケーションを取りに行けるかどうかで、研究の質は大きく変わってくると言えます。

今からでも取り組めるスモールステップに挑戦!

ここまでを読んで、「研究者になるのは難しいんだ…」と怖気づいてしまった人も多いかもしれません。それでも、すぐに諦めてしまうのはとてももったいないことです。

ここからは、今からでもすぐ始められる、研究者になるためのスモールステップを解説します。

興味のある分野について調べる

それぞれの分野には、専門とする施設や関連するイベントがあり、専門家が存在します。例えば、科学の分野だったら科学館がありますし、教育学の分野だったら尾木ママの愛称で親しまれる尾木直樹先生がご活躍されています。

興味のある分野を調べていく中で、その分野についてより深く知ることができる場が見つかるはずです。例えば、以下のようなものがあります。

・企業などが出展する展示会
・科学館などが主催する体験イベント
・大学が中高生向けに行う模擬授業
・専門家の講演

ネットで得られる情報よりもよりわかりやすく、詳しい情報が手に入ると思いますし、何より最先端の話を聞くことができます。研究者にはそれぞれ、自分の専門となるものがあります。上記のようなイベントに参加することで、より具体的に「自分は何の専門家になりたいのか?」「どんな研究をしてみたいのか?」ということを考える材料が得られます。

いろんな分野の本を読む

研究者は、文献を読んだり、論文を書いたりするなかで、たくさん活字に触れることになります。活字慣れしていない人は、この活動は少し辛いことだと言えるでしょう。

しかし、活字が苦手な人でも、本を読んでいればいずれは活字に慣れることができます。また、本を読むことは、それと同時に、さまざまな分野の知識を本から吸収することにもつながります。知識の幅広さは、研究をしていく上でも重要な観点です。その道の専門家といえど、他の分野から刺激を受けて新しい発見につながるなんてこともザラにあるからです。

活字慣れと知識の吸収が同時にできる、一石二鳥な方法です。

TED Talksをみる

TED Talksとは、世界中の研究者が、自分が研究していることをスピーチする模様を無料で動画配信するサービスです。さまざまな分野の研究者がスピーチをしているため、自分の興味がある話がきっと見つかるはずです。

また、使われる言語は全て英語なので、研究者に必須な英語の勉強に役立てることができます。英語はまだできない!という人にも、翻訳付きでみれる機能がありますのでご安心ください。

やりたいことに前のめりに

どんな職業にも苦難はつきものです。なりたい!と思ってもなかなか自信が出なかったり、周りに伝えるのが怖かったりということもあるでしょう。

しかし、それらを乗り越えてやりたいことを実現した時には、大きな喜びが得られるはずです。ぜひ、やりたいことに前のめりに取り組んでくださいね!

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この記事を書いた人

東京大学では教育学を専攻。学業の傍ら、中高生向けのイベント企画や本の企画・編集に従事してきた経験から、人に新しい「出会い」を提供することに興味がある。ジブリとロードバイクが趣味。

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