講義や講演で、全国各地のさまざまな学校を訪問している中で、先生方からよく聞くのが「学級経営の難しさ」のお話です。集団生活を通じて社会性を生徒たちに学んでもらいながら、各自のやりたいことをサポートするのは一朝一夕ではできません。そんな正解がない中で、先生方はどのように学級経営に取り組まれているのでしょうか?
今回の記事では、実際に独自の方法で学級経営をされている先生へのインタビューを通して、役立つ考え方や具体的な方法を紹介していきたいと思います。
学級経営とは
学級経営の仕方に明確な答えはないと言われています。
私立・公立・場所・学年・生徒の性格・男女比など、クラスの状況に応じて、対応が異なります。
しかし、学級経営がうまくいかなくなってくる、つまりクラスがうるさい状態だったり、生徒間の関係や教師との関係が悪化してしまうと、学級崩壊につながってしまいます。
学級経営がうまい先生にインタビューしてみた!
今回は、筆者が通っていた高校で特に学級経営がうまく、たくさんの生徒から慕われていた先生にインタビューしてきました!
佐藤光(さとう・ひかる)先生
仙台市出身/ 1学年主任/ バスケットボール部顧問(ご自身は国体出場経験有り)
※写真は筆者の卒業式にて
インタビューの様子
ー先生は多くの生徒から絶大な支持を得ていた記憶がありますが、生徒に信頼される先生ってどのような特徴があると思いますか?
佐藤:やっぱり生徒がやりたいと思ったことに先生も全力で乗っかることができる…とかですかね。私は特に学校行事に力を入れています。クラスが一番結束する時期でもありますし、普段関わらないクラスメイトとも力を合わせて乗り越えた!という思い出ができ、受験や就活シーズンに向けてしっかりと気持ちを切り替えて頑張れる子が多くなります。なので個人的に学校行事には私も全力で臨んでいますね。
ー生徒のやりたいことに先生も全力で乗っかる…これは先生も生徒と同じように活動に参加するという意味でしょうか?
佐藤:厳密に言えば、少し違います。先生は生徒と同じ熱量でありながらも、干渉しすぎず、あくまでもアイデアを出したりサポートに徹したりすることが必要です。これは「生徒を信じる」ことだともいえます。正直、先生があれこれ言ってもクラスは良くなりませんので…!
ーたしかに仰る通りです。ところで、先生ご自身が大変だった経験はありますか?
佐藤:もちろんありますよ。今回こうして学級経営に関するインタビューを受けていますが、実際は苦労の連続です。生徒を信じてやりたいと思う反面、先生自身だけではどうにもしてあげられないことがある。そこにもどかしさを感じてしまうこともあります。例えば進路選択など、本人の人生に担任が100%関わることはできませんよね。
ーそうですよね…。そういう時はどう乗り越えられていますか?
佐藤:もちろん生徒と一緒に悩んだりもしますが、最終的には本人の人生だと割り切っていますね。負担ばかり抱えてキャパオーバーしてしまう先生は、「自分が○○してあげられなかった」と自分に原因を探そうとします。反対に、生徒の成功体験を「自分のおかげで成功させることができた」と勘違いする教師もいます。先ほども言いましたが、我々教師にできることは生徒を信じることのみです。だから生徒本人の人生に寄り添いながらも、のめり込み過ぎないようにしています。
ー実際に経験されているからこそ感じられる説得力がありますね。最後に、読者の皆様に一言お願いします!
佐藤:私も試行錯誤を繰り返して学級経営に取り組む日々です。生徒一人一人は全く違うので、学級経営に正解なんてないと思います。一方で、教員人生を送っている中でどうにもならないことに直面してしまうこともあります。そんな時は是非、流れに身を任せてみてください。時間が解決することもあります。一緒に頑張りましょう。
インタビューから考察!学級経営を円滑にする3つのポイントとは
学級経営を円滑にするためのちょっとしたポイントをご紹介します。
基準を設ける
何でもかんでもルール縛りにするのは嫌だ。でも生徒がやりたい放題やるのではなく、その中間のバランスを取りたい…。このような場合は、基準を設けることが大切だと言われています。
例えば「相手の話を聞きましょう」という指示に対して、机にうつ伏せになっていたり、友達と話したいしている生徒がいるとします。教師はその生徒が話を聞いていないと思っても、生徒からは「聞いています」と言われてしまうかもしれません。
このような状況においては、「話しを聞く」とは話している相手に体を向けて話を聞くことであるという基準を設け、教師と生徒の間で認識をすり合わせる必要がありそうです。
人の話を聞く環境を整える
学級経営が上手くいかなくなる理由の一つに、生徒の「まあいっか」という小さな気持ちが徐々に問題行動につながることが挙げられています。
そのような場合には、生徒が話を聞く準備が整っていない間は一度授業を中断してみると良いそうです。なぜ授業が始まらないのか、なぜ人の話を聞く必要があるのかを伝えることができるからです。
こうした積み重ねが、人の話を聞く環境を学級の中に作り上げると言われています。
何事も「なぜ?」をあわせて伝える
ただ生徒に「廊下は走ってはいけません」といっても生徒は廊下を走り続けますよね。生徒にとって廊下を走ることは、早く移動できたり、楽しかったりとメリットがあるからです。
それでは「廊下を走ると、教室から出てきた人とぶつかって怪我をしたり、雨の日に滑ったりしてしまうからいけません」と伝えたらどうでしょうか。明確な意図を持って指示していることが生徒にも伝わりそうですよね。
ただ頭ごなしに「〜してはいけない」と伝えるよりも、生徒の理解を促すことができ、指示が通りやすくなると言われています。
おわりに
今回は学級経営をするための3つのポイントについてインタビューから考察しながら紹介しました。
何度も前述した通り、学級経営には正解が存在しないと言われています。教師の皆さん自身が自分をいたわったり、長期的な視点で模索しながら学級づくりをしていこうという姿勢が大切なのかもしれませんね🍀
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