今回は、愛知教育大学で非常勤講師をされている深見 太一(ふかみ・たいち)先生にインタビューをしました。サラリーマンから小学校教師になり、現在は大学で教師の育成に従事されている深見先生は、「クラス会議」を通じて生徒同士の助け合いの仕組みを生み出すことができるといいます。「生徒になめられていた」と語る壮絶な過去の話からクラス会議によって感じた学級の変化まで、貴重なご経験をもとにお話いただきました。

深見 太一(ふかみ・たいち)先生
-15年間の小学校教員経験より、現在は大学やフリースクールで活動している
-日本学級経営学会所属
-心理的安全性が高まる「DAO会議」として全国でクラス会議の企業研修を行っている
-voicyで毎日「日本中の先生を勇気づける!」を発信!
【著書】
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ご経歴
ー本日はよろしくお願いします!まずは深見先生のご経歴から教えてください。
私は会社員から転身して13年間小学校の先生として勤め、その後は私立の小学校の立ち上げを行いました。現在は愛知教育大学にて、今後先生になる学生に向けて、キャリア教育やクラス会議を専門としたゼミを開いています。またクラス会議講師として、全国の公立小中学校にて研修も行っています。
自分を救ったクラス会議
ー今は先生になる学生の育成をされているのですね!専門分野のクラス会議について詳しく教えてください。
クラス会議は、一言でいうと「みんなが発言できる会議」です。椅子を丸くつなげて一つの輪になり、ある議題に対してみんなで話し合います。発言者はぬいぐるみなどのトーキングスティックを持って話します。トーキングスティックを皆で回しながら話すので、普段あまり発言しない子にも話す順番が必ず回ってきます。取り上げるテーマも学級会だとクラスの事に限定していますが、クラス会議では「習い事で嫌なことがあった」とか「親が怖いよ」といった個人的な悩みも相談できます。
ークラス会議を実施したことで、学級としての変化はありましたか?
クラス会議を通して、普段話さないような話題に対しても真剣に向き合う環境が作られます。そうすることで、会議のあとも延長線上でクラスメイトと雑談できるようになったり、子どもたち同士の関係性が良くなると、授業中に分からないことがあっても気軽に「教えて」と言えるようになったりします。
教室に先生は1人しかいないので、30人の生徒を1人で見ようとすると、とても大変です。だからこそクラス会議によって、子ども同士の教え合い・学び合い・助け合いの仕組みが生まれ、トラブルをすべて先生が対処しようとしなくてもよくなったと感じます。
ー深見先生はなぜクラス会議を実施するようになったのでしょうか?
実は、私はサラリーマンから転身して教師になりました。だから「変わり者」といいますか、「他の先生とは違うんだ」と勘違いをして現場に出たら、いざ学校現場に出ても全くうまくできなかったんですよね。授業は面白くなかったし、子どもとのかかわり方にしても、保護者の対応にしても、分からないことだらけで…。最初は生徒になめられていましたし、半ば学級崩壊のような感じになっていました。
そこでキャラを変えて怖い先生になってみたら、子どもたちは言うことを聞くようになりましたが、今度は心が離れていったのを強く感じました。そんな時に出会ったのが「クラス会議」だったのです。先生が「ああしろ、こうしろ」と一方的にルールを押し付けるのではなく、子どもたちと一緒にルールを作った方が、子どもたちも自分で決めたことなのでルールを守るようになったし、クラスの雰囲気も良くなりました。だから、私はクラス会議に救われたといっても過言ではありません。
ー試行錯誤の末、辿りついたものだったのですね…!

探究学習について
ーその他、小学校で実践されていた探究学習などがあったら教えてください。
小学生にとって「自分で問いを立てる」ことは難易度の高いことだと思います。だから身近な問題から目を向けてみることを大切にしていました。例えば、「家のyogiboがすごく気持ち良いけどなんでだろう?」という問いを立てた子は、自分でストローなどの素材を詰めたyogiboを作って座り心地を比較したりしていましたね。
教育現場の課題
ー深見先生の思う教育現場の課題についてお聞かせください。
私は、小中学生の子どもたちの自殺率が過去最高になっていることが何よりの課題だと感じています。だって、どんなに学力が良くても人が死んでいたら意味がないじゃないですか。
教育で笑顔あふれるような仕組みや制度作りが出来たら良いのですが、決して誰か一人が取り組めばいいような課題ではなく、みんなが本気になって取り組む必要があると考えています。
深見先生、ありがとうございました!
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