【布施川天馬に聞く】東大合格はいくらで買えるか?

2024年2月21日に『東大合格はいくらで買えるか?』が発売されます!
本記事では、著者の布施川天馬に、出版編集部の縹 峻介が本書執筆の背景をインタビューしました!

目次

この本を書くに至った経緯


なぜこの本を執筆しようと思ったのですか?

布施川
東大に入って気づいたのは、みんな金銭的に恵まれているなということです。
中高一貫の私立から来てる人も多いし、逆に生活が苦しいからバイトをしている人はあまり居ない印象でした。
それに対して、自分は中高私立だけど特待生で学費がタダだったし、勉強も一年半くらい頑張ったら東大に受かったし。そういう点で自分は東大合格までのコスパがいいと感じたんです。

そこでふと、「自分の子供が東大生になるにはいくらかければ良いのか?」と思うようになりました。

東大に行くためにはどんなルートがあって、どのタイミングでお金を使ってあげれば良いのか、その結果どれくらいの可能性で東大に行けるのか、を知りたかったからですね。

ではズバリ!東大に受かるのはいくら必要?


では、結論から。東大に受けるにはいくら必要なのでしょうか。

布施川
これは本の帯にも書いていますが

1380万円

ですね。この金額に含まれるのは

・小中高の学費(給食費・交通費等を含む)
・習い事の費用
・参考書などの費用

等です。
10歳から18歳として9年の間にこれだけのお金がかかる訳ですが、平均して1年あたり100万円以上使っているのです。これは決して特別に多い金額という訳ではなく、例えば、開成中高に通っている場合、年間の学費だけで100万近くになりますから、現実味があるでしょう。習い事や塾などの費用も考慮するとなるとこの金額は妥当なものと言えます。

ただ、これだけのお金を用意すればそれで良いのか?と言えばそうではなく、「小学校4年からの10年近くを勉強に捧げる」という条件付きの金額になります。

これだけの金額を注ぎ込み、そして9年という歳月をかければ、確かに東大に受かる確率を高めることは可能だと言えるでしょう。


なるほど。ただ、思ったよりは少ない金額な気はしますね。
布施川さん自体は、この金額をどう評価していますか?

布施川
僕は単純に高すぎると思いますね。東大って、1400万円のお金と9年の時間を費やしてまで来る場所ではないと思うんです。

中には、もっと時間的、金銭的にコスパ良く東大に来ている人もいます。
そういう人は勉強以外に一芸を持っている場合も多いんです。まあ一芸に秀でなくても、友達と遊んだ時間とか、そんなものでも良いです。そういったものと勉強とを天秤にかけた上で、周りより勉強が得意だったり、学力が自己表現の一つになると考えた場合に、目指すべき場所が東大だと思います。
躍起になって、多くの時間的・金銭的リソースを費やしてまで来る場所ではないと私は思います。

逆に、それくらいのリソースを割かなければ東大に受からないような人は、勉強のフィールドは優位な場所じゃないのに身の丈に合っていない勝負をしている、とも思います。


身の丈に合っていない、ですか。中々手厳しいご意見ですね。

布施川
実際、東大生って鬱になる人や、自分の進む/進んできた道に確固たる自信を持てない人が多いんですよ。
中高では(学業成績が主な評価基準なので)周りと比べられた時に自分が優位に立つことが多かったのに対し、大学以降ではその基準が多岐に渡るため、各分野で自分より優れている人が目に入ってしまい、結果的に自分の存在意義を見失いがちになる訳です。

そんなことになるなら、別に大金はたいて東大に来る意味ってあるの?と思います。

著者自身は子供にいくらなら「課金」するのか


では、布施川さん自身にお子さんができた場合、いくらまで、何に課金しますか?

布施川
子供次第だと思います。
良い大学に行きたいなら学費や塾代は出したいと思うし、他の分野で才能を開花させたいならそちらに、必要な分を投資をします。
私自身も高校時代、音大に行く道も考えたことがあるので、その時に親に金銭的支援をしてもらえれば、その道に進んでいたかもしれません。

そこは、子供の意思を尊重したいし、尊重できるくらいの金銭的余裕を持っておきたいと思うばかりです。

著者からのメッセージ


では最後に、この本を読んでくださる皆様へのメッセージをお願いします!

布施川
この本は、自分の子供を東大卒にしたいと思っている親御さんに読んでいただきたいです。
東大ガチャって結構分が悪いです。子供がある程度勉強に向いていないと、どれだけお金をかけても水の泡になってしまうからです。
お金をかけたとしても、本当に子供自身が努力していて、それが上手くいって、2月の勝者になれるのってほんの一部の人だけです。さらに言えば、開成に入ったって全員が東大に行ける訳ではありません。その他にも、子供の時間や自由をある程度奪っている訳です。
それだけして、やっと東大に行ける確率が50%とか。

それなら、他に子供自身がやりたいこととか、他のことにお金や時間のリソースを割いた方が結果的な幸福度は上がると思います。

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この記事を書いた人

東京大学理学部物理学科に所属。高校時代に生徒会長をした時の楽しさが忘れられず、学祭やイベントの運営に携わって仕事をすることが、至極の楽しみ。カルぺ・ディエムでは出版編集部に所属し、よりクオリティの髙い書籍を出すことを意識している。趣味はピアノとゲームとスラック。

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