パンドラの匣が開けられた!!!
日本でもそんな実況が聞こえてくる日もあるでしょう。
それくらい有名なのが、ギリシャ神話におけるパンドラさんのお話。
ギリシャ神話における至高神ゼウスから「絶対に開けないで!!」と、匣を渡されたパンドラさん。
しかし、やるなと言われればやりたくなってしまうのが人間の常。パンドラさんはその匣を開けてしまいます。
すると、匣からは病気、貧困、犯罪などなどのあらゆる災いが世界に広まってしまいました。
失意に満ちたパンドラでしたが、匣の底を覗くと、そこにはまた希望も残っていました。
というお話です。そもそもゼウスから匣をもらう羽目になった経緯などもありますが、大枠はこのような寓話です。
という話はさておき、ギリシャ語の話です。
僕がギリシャ語で、初めて習った名詞の一つに「贈り物」という意味の単語
※古典ギリシャ語で「贈り物」。左から、単数主格「ドーロン」、複数主格「ドーラ」
があります。このときは、この「ドーラと読む単語」がパンドラ[Pandora]と関係があると全く思わなかったのですが、勉強を進め、
※古典ギリシャ語で「全ての」。左から、男性単数主格「パース」、女性単数主格「パーサ」、中性単数主格「パーン」。不規則変化形容詞。
「全てのを意味する形容詞、パーン」を習ったときに、もしかして、、、と思い調べてみると、
※古典ギリシャ語で「パンドラ」。pan+dora。当時、浸透圧以外で、パイの大文字の使用例を初めて見た。
つまり、パンドラという名前には、(神からの)全て[pan]の贈り物[dora]という意味が込められているのでした。
現代にも残るpan
現代にも全て[pan]という語幹は残っており
・pandemic・・・全ての[pan]民衆[demos]に広がるもの→(規模が大きい)感染症の流行
・panorama・・・全ての[pan]光景[horama]→パノラマ、全景
・Pantheon・・・全て[pan]の神様[theos]→パンテオン(万神殿)
など、直接的に訳語として出てくるわけではないが、元イメージとして全部、全てのが含まれるような単語に多く見られます。
おまけ「筆者が好きなギリシャ語の一文」
まだまだ勉強途中ですが、上記に関連し、学んでいく中で出会った筆者が好きな一文を紹介します。
読み方 [ティ デ ホイ アントポーロイ; テオイ テュネートイ.] 訳「それで、人間とは何なのですか?」「死にゆく神です。」
読み方 [ティ デ ホイ テオイ; アントポーロイ アタナトイ.] 訳「では、神とは何なのですか?」「不死の人間です。」
ギリシャ語で、アントローポイが人間、テオイが神を表します。(どちらも、複数形主格)
この文を見てどのように感じるかは人それぞれですが、一般的に言えばこの文章は、『ギリシャ神話における神の本質がその不死性にあると示している』と言われています。
ギリシャ神話では、最高神はよく不倫するしそれによって奥さんに怒られて嫉妬されて復讐劇が繰り広げられたりと、人間と同じように馬鹿なことをしています。では、人間と神で何が違うのか。それこそが死ぬか死なないかの違いなのだと、この文を書いたルキアーノスは言っているのです。
また、私はこの文章のノリというかテンポが好きで、活用を覚えるために何度も音読した覚えがあります。
『古典ギリシア語初歩』(水谷智洋著)より一部引用
この連載記事では、このような語源にまつわる文章を中心に執筆します。
多岐に渡る分野の言葉を紹介する予定ですので、楽しみにお待ちください。
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