『東大生が共通テストを解いてみた!』正直な感想、東大生はこんなふうに勉強してたから対応できた!を解説〜国語・英語編〜

『東大生が共通テストを解いてみた!』正直な感想、東大生はこんなふうに勉強してたから対応できた!を解説〜国語・英語編〜

共通テストまで1ヶ月をきりました!
2022年度の共通テストは数学が一気に難化したことで話題となりましたが、2023年度は極端に難しい・簡単だった科目等はあまり見られず、平均点も比較的安定しているようです。

とはいえ、やはりセンター試験の時代から比べるとかなり形式も変化してきており、まだまだ戸惑う学生も多いはず。そこで今回は、カルペ・ディエムに所属する現役東大生が実際に2023年度の共通テストを解いてみた感想を紹介した上で、「今後共通テストで高得点を狙うためにはこんな対策が必要」「東大生は現役時代こうやって勉強していたから今回も高得点が取れた」など、皆さんの今後の勉強に役立つ情報をお伝えします。

今回紹介するのは、英語と国語の2科目です。

実際に解いた東大生の感想

国語

国語の中でも現代文は、解いてみた東大生がみんな口を揃えて「不要な選択肢を切って、解答を1つに確定させるのが難しい」と言っていました。解答を1つに絞る難しさは、センター試験の時代からよく言われていましたが、国語が比較的得意な(現役時代には安定して9割近く得点していた)東大生も、今回は苦戦したようです。

たとえば、何人かの東大生の間で話題になっていたのが、現代文の問4です。

4番と5番で迷っている人が多く見られました。たしかに、これだけ見るとかなりややこしく見えますよね。

共通テストになってからは、出題される文章の量も増加しています。まとまった分量の文章を複数読み解きながら、限られた時間で問題を解かなければならない受験生は大変だろうと、東大生も口をそろえていました。

また、傍線部と同じ意味を持つ漢字を選ぶ問題が出題されたことには、多くの東大生が驚いていました。この問題については、西岡が別の記事で紹介しています。

今までは、ことわざ・慣用句の意味を問う問題が出題されることが多かったのですが、今回は一般的な用語の中で使われている漢字に着目した出題でした。

一方、古文や漢文については、暗記しなければならない量はそこまで多くないとの感想が集まりました。中には、すでに受験から3年近く離れているのに満点を取る学生もおり、些末な知識よりも、主題を捉える力や基本的な文法事項を確実に押さえていることが重要だと感じたそうです。

英語

英語は、これまでに比べて格段に難しくなった、などの感想を抱いている東大生は少なかったです。中には、ここ最近目立った英語の勉強をしていないにも関わらず、リーディングで満点を取る東大生もいました。

共通テストになってから、問題に登場する総語数はかなり増加しています。センター試験時代が4000語程度だったのに対し、今年度の共通テストは約6000語。センター試験では発音・アクセントや文法の問題が出題されていたのに対し、共通テストでは基本的に長文読解しか出題されなかったのがその主な原因でしょう。さらに、今年度の共通テスト追試では、ついにトリプルパッセージ問題(1つの大問に3つの英文が登場する問題)が出題されました。

では、長文化した共通テストで高得点を維持するにはどうしたら良いのでしょうか。満点だったその東大生いわく、たしかに文章は長くなり、語数も多くなっているものの、それに惑わされず「ちゃんと」問題文を読めていれば対応できるとのことでした。

「ちゃんと」とは、問題文に出てきた単語や文法の意味を正確に理解しつつ、問題文と選択肢の内容を丁寧に対応させていくことです。共通テストを解いた東大生には、その類語を「本文で出てきた単語や表現を言い換えたものが選択肢に使われるケースが多いから、それを見抜いて解答している」と言っている人が複数いました。

例えば、今年の共通テストでは、以下のような文章を読んだ上で、それに対応する選択肢を選ぶ問題がありました。

まず、問題文のうち、解答に必要なのはこの部分です。

……Also, this sort of repetitive learning is dull and demotivating. ……

そして、選択肢は以下の通りでした。

この問題を解くためには、まさに本文で出てきた単語の意味を理解し、それと選択しを対応させて考える必要があります。

本文の中で鍵となるのは、repetitive(繰り返しの)、dull(退屈な)、demotivating(やる気をなくさせる)という単語でしょう。まず、これらの単語の意味を知っている、もしくは文脈から推測することが必要です。

その上で、以上のような意味を持つ表現が使われている選択肢を探すことになります。今回の場合、①continuous drilling is boring は、continuous(連続的な)、boring(退屈な)が、先ほど紹介した本文の単語とちょうど一致していますよね。よって、これが正解だとわかります。

この問題では、repetitiveがcontinuousに、dullやdemotivatingがboringに、それぞれ言い換えられていました。これを見抜く単語力や注意力が、共通テストで高得点を取るためには不可欠です。

分量が増加する共通テストにどう対応する?

国語は「積極法と消極法」の合わせ技で対応する!

東大生の感想にもあった通り、共通テストは分量が増え、中には紛らわしい選択肢もあり、一筋縄ではいかない試験になってきています。中には、「今まで各大学が二次試験で問うていたようなことを、全学生を対象とした共通の試験が問うようになっている」と、問題そのものの難化に注目する人もいました。

では、そんな共通テストにどうやって対応していけばよいでしょうか? 現役受験生ではない東大生が今でもかなりの高得点を取れた理由を考えていくと、その1つの答えが見えてきます。

まずは、現代文の選択肢の選び方についてです。先ほど紹介した問4は、東大生でも苦戦した人が何人かいたものの、きっちり正答を選べている人も当然いました。その人が使っていたのが、「積極法と消極法の組み合わせ」です。

積極法とは、この問題の解答に最適だと思う選択肢の方から確定させるやり方です。記述問題を解くイメージで自分なりの解答をある程度作り、それに近い選択肢を選びます。一方消極法とは、解答として適さない選択肢を消していって、最後まで残ったものを解答と考える方法です。

どちらかだけを使って問題を解いている人も多いかもしれませんが、共通テストの現代文では、この両方をあわせて使うことで、ぐっと正答に近づきやすくなります。

たとえば問4の場合、「居住性を向上させる」「アスペクト比の変更を目的とした」という話は明らかに違いますよね。本文では、ル・コルビュジエが窓に換気ではなく「視界と採光」を優先したこと、その結果としてアスペクト比が変わったことが書いてあります。居住性の向上や、アスペクト比の変更を「目的とした」というのは、一見して逆だと分かるのではないでしょうか。これが消極法です。

続いて残った選択肢の1,4,5を見ると、これらの選択肢の「主題」は、大きく2つに分かれているのが分かります。ざっくり言えば、「窓」か「壁」か、です。

そして、本文は「ル・コルビュジエの窓」の特徴と効果について説明せよ、というものでした。だとすると、窓について解説したものを選ぶべきだと考えることができるはずです。本文の趣旨も踏まえて自分なりの解答を作る場合にも、自ずと「窓」が主軸になるでしょう。そうして考えると、答えも「窓」を主題にした5番が正解になると考えられるわけです。

もちろん、1番と4番はそれぞれ消極法によって消すこともできますが、こうして考えると時間の短縮にも繋がります。是非試してみてください。

英語は単語の知識を確実に身につけよう!

続いて英語です。こちらは、「本文で出てきた単語を言い換えたものが選択肢に使われるケースが多い」という話がキーになります。

共通テストはたしかに分量が多く、全ての文章をじっくり精読していては、最後まで問題を解き切るのは難しくなってしまうでしょう。

そこで重点的に鍛えるべきなのが、単語力です。

ただ、ここで言う「単語力」とは、単語帳を見て、英単語と日本語訳とを一対一対応させる勉強だけをすれば身につくものではありません。

共通テストを解くために東大生がしていた考え方は、「本文で出てきた単語を言い換えたものを選択肢から見抜く」というものでした。そして、どの単語が言い換えなのかを見抜くには、ある一つの単語の日本語訳を覚えているだけでなく、その単語の類義語を英語で把握しておく必要があるのです。

そこで、これから勉強する皆さんに意識してほしいのが、「ある単語を覚えるときは、それと似た意味を持つ単語も一緒に覚える」「似ている中の違いを正確に理解しておく」という2点です。

1つ目は、たとえば「見る」という意味を見たら、seeやlook,watchといった定番の単語だけでなく、glance,gaze,observe,stareなど、大学入試でよく問われる「見る」に近い意味を持った単語もすぐに思い浮かぶようにしておくことが重要です。

そして、思い浮かぶようになったあと重要になるのが2つ目です。これらの単語を「見る」という日本語訳だけで覚えていては、選択肢を絞り込む時、かえって間違えてしまう可能性があります。

たとえばgazeは「じっくり見る」というニュアンスが強い一方、glanceは「ちらっと見る」というニュアンスになります。この2つは、「見る」という同じグループの中にいながらも、細かく見ると違いがあるのです。似ていることだけでなく、違いまで押さえておくことで、自信を持って「これは本文の言い換えだな」「これはニュアンスが違うから正解の選択肢ではないな」と判断できるようになります。

この2点を押さえるためにとても有効なのが、英英辞典を活用することです。

英英辞典とは、英単語の意味を英語で解説したもの。日本で言う国語辞典ですね。電子辞書などを持っていない人でも、インターネットで信頼できる英英辞典を無料で使うことができます。

あわせて読みたい
Cambridge Dictionary | 英語辞典, 訳 & 類義語 最も人気がある英語学習者のための辞典と類義語辞典。言葉の発音と訳もついた意味と定義

この英英辞典で単語の意味を調べると、ある単語の意味の説明に出てきた単語は、同じグループに属している類語だとわかります。さらに、日本語では表現しきれていないニュアンスを英語で正確に表現してくれているので、微妙な違いを把握するのにも役立つのです。

たとえばCambridge Dictionaryによると、

glanceは

to give a quick short look

とあるのに対して、gazeは

to look at something or someone for a long time, especially in surprise or admiration, or because you are thinking about something else

とあります。glanceは(時間的に)短いことが意味の中心であるのに対し、gazeは長時間であること、さらには驚きや感心など、心が動かされたときの動作だということが分かりますね。

いちいち辞書をひくのは面倒だと思うかもしれませんが、共通テストの長文を効率よく読み解いていくためには、むしろこのほうが近道です。

頻出単語だけでもいいので、一つひとつの単語の意味を正確に理解して、来年度以降の共通テストに備えましょう。

まとめ

2023年の共通テストを東大生たちと解きながら、これから求められていく力について考えてみました。

分量の増加傾向は今後も続くでしょうし、問われる内容も、単なる知識から「思考力」を問うようなものに変わっていくことが予想されます。しかし、勉強の根本は変わりません。基礎的な知識を身に着けた上で、それを使って問題に解答していく。この根本を大事にすることが、今後の共通テストを乗り越える鍵となるでしょう。

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この記事を書いた人

現役時、進路を見つめ直した結果、センター試験の2日後に突然東大受験を決意。1浪の末東大へ合格し、現在は法学を専攻。法律の文章や日々の雑談を含め、「ことば」と向き合うのが好き。趣味はお昼寝。